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134/306

134、バブバブ20



 な、何だ。

 その不気味な微笑みは?


 アキリアの様子が明らかにおかしいよ。

 さっきまでの不機嫌が嘘のように、ニヤニヤしてる感じがするのは不吉の予兆か? 

 吉兆か?


 黒い霧が人の形を取りつつ、小刻みに震えていた。

 赤い色が、目と口の部分を形作り、ニヤニヤと嗤う。

 不気味で不吉な邪悪さをかんじさせる。


 くそう。

 アキリアは怒らせるよりも、上機嫌で笑ってる時のほうが、なにか企んでそうで怖い。

 上機嫌で自爆系のスキルを渡してくる奴だし。


『いやぁ。僕とした事が悪かった』

『な、何がだ?』

『いやいや、君に謂れの無い疑いをかけてしまった。謝るよ』

『そ、そうか』


 アキリアが素直だ。

 気味が悪い。


『でも、君は嘘をついてなかった』

『そりゃあ、嘘なんてつくほど弱く無いし』

『………いったい嘘と弱さにどんな関係が?』

『嘘は弱者がつくものさ』

『え? 何、そのキミの謎理論』


 アキリアの影は首をかしげる。


『強者は人を騙さ無くても勝てるからさ。嘘をつく必要一切な〜し』

『そ、そうなの』

『そうだ』


「お、おい。何だあの黒い霧は」

「それよりも竜だろ、問題は。何で剣を振り回してる?」

「それより翼だろ。あれは天使の翼じゃないか?」

「いやいや、翼の色が青い。天使なら白だろ」

「なんで、あの竜モヒカン何だ?」

「それよりも竜にしては筋肉が貧弱じゃね?」

「いや、でも俺らが壊せなかった像を壊してるから」

「じゃあフィジークを極めたわけか」

「ほ、細マッチョドラゴンが次の我等の指導者になるの?」


 ………外野の筋肉達が騒がしい。

 聞き捨てなら無い言葉がいくつかあったが。


『俺って竜状態でもモヒカンになんの?』

『あ、気がついてなかった?』

『もしかして。ヒャッハースキルを外してなかったら、鳴き声もヒャッハーだったとか?』

『………………。あぁ。僕は何故ヒャッハースキルを外してしまったんだ』

『おいおい。他人事だと思いやがって』

『ヒャッハードラゴン。鳴き声を聞いてみたかった』


 ………モヒカンで、ヒャッハーとか鳴くドラゴン。

 きっと火を吐くに違い無い。

 想像してみて、げんなりした。

 なるのも見るのも嫌だわ、そんなドラゴン。

 もっとこう、ドラゴンはカッコ良くあるべきだ。


『アキリア、モヒカンスキルを外してなんかスキルをくれ』

『ん〜〜〜。ま、いいか』


 あれ?

 あっさりしてやがる。


『さっきまではあんなに渋ってたのに』

『ん〜。君と半魚人の関係性は大体わかったからね。危険は無いと判断した』

『そ、そうか。あのやり取りだけで』

『僕は賢いからね』


 ………アキリアが賢いと言うか、半魚人が愚かというか。

 半魚人が、複数の自分の使徒に裏切られて、ボコられたと聞けば、危険は無いと判断もするか。


 む、その時周囲でざわざわと騒いでいた筋肉をかき分けて、

 見覚えのある胸。

 天使みたいに優しげな女が近づいて来た。

 

「やっと見つけた………けど。お、王子ですよね?」


 自信無さそうに俺に話しかけてきたのは、ちょっとだけ世話になった天使みたいな乳母だった。

 何だかやたらとピッタリした黒い革の服を着込んでるから、暗殺者っぽいけど。

 竜になった俺を見抜いた。

 鑑定もちかな?


「王子?」

『王子?』


 筋肉達とアキリアの言葉がかぶった。

 ………俺って王子だっけ?

 第三王子が父親では、あるらしいけど。

 父親が王子じゃ無いので、俺は王子では無いだろう?



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