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132 バブバブ18



 ゴロンと転がる像の上半身。

 思ったよりも切れ味良かった。

 てか良すぎた。

 なんだ? これは?

 

「うおお」

「すげぇ」

「あれだけ硬かった像を切りやがった」

「な、何だあのドラゴン」


 はしゃぐ周りにいる筋肉達。


『こ、………』

『ん〜と、アキリア出られたのか?』

『殺す気か〜。裏切り者。やっぱり裏切って僕を殺す気だったな』


 開放してあげたのに、アキリアはご立腹だ。

 なんで?


『おいおい。なに怒ってるんだ?』

『ちょっと痛かった』

『………あ、もしかして、俺は中身のアキリアごと切っちゃった?』

『そうだよ。そんな軽いノリで誤魔化せるか〜』

『落ち着け』

『君がその気なら、いいだろう。かかってきな。戦争だ〜』


 アキリアはお怒りだ。


『そんな事を言われても、像を壊すってそういう事だろ』

『端っこだけ、ちょこっと壊してくれたら、そこから出れたんだ』

『そ、そうなの』

『それなのに、上下分かれるほど横真っ二つに切るなんて。中に僕がいるのは、知ってただろ』

『それならば、そうと言ってくれよ』


 言われてみれば最もだ。

 でも、言われなきゃ、そこ迄頭まわらないよ。

 ………そもそも、あんなに切れ味が良いとは思わなかった。

 思ったよりも剣が強すぎた。


『君が殺る気なら、いいよ。やってやるよ』

『いや、待て。ステイ、アキリア。その気はない』

『ふーふー』


 上下二つに切られた黒い像から、モヤモヤと黒い霧の様な物が出てきた。

 アレがアキリアかな?

 肉体無いって言ってたし。

 コッチじゃ存在出来ないんじゃ無いの?

 アレが精神体かな。


 なんにせよピンチだ。

 あんなのとケンカなんかしたら死んでしまう。

 せっかく竜に復帰出来たのに。

 死んでしまったら元も子もない。


『誤解だ。偶然だ。狙った訳じゃない』

『君は半魚人の使徒化してるもんね。動機は十分』

『そもそも使徒って何だ?』

『神同士で戦争する時に使う手駒だよ』

『手駒って』

『大抵は力持って暴走するから、後始末に困るんだ』

『半魚人は反逆されてたな』

『それはレアケース。普通反逆まではいかない』

『半魚人は片っ端から裏切られてたけど』


 半魚人は特別駄目駄目なケースだったか。


『大抵は反逆までは行かないけれど、力得て調子にのって、やりたい放題やって、あちこちから苦情くるから面倒くさいんだ』

『そんな事になるの?』

『現に君も僕に挑んできてるし』

『違う、違うから』

『何が違うのかな〜』


 モヤモヤと黒い霧が人形に集まって、赤い目が光る。

 ところどころ赤い光が漏れて、なんかやたらと強そうでボス感ある。


 あ〜もう。

 どいつもこいつも、どうして人の話を聞かない奴等ばかりなんだ?

 やったるか………、


 形を取りつつある霧の様なアキリアを見る。

 口が三日月形に釣り上がり、不気味に嗤っている。

 怖。


 いや、こりゃ、やっぱり無理だな。

 なんか見た目が尋常じゃ無く怖い。

 馬鹿な半魚人は、まだつけ入るスキがある気がしたが、コイツは弱点らしき物が全く見当たらない。

 

 言い訳通じそうにないし逃げようかな。

 俺の背には翼があるし。


 そ、それか。

 そうだ。

 もしくは毒をもって毒を制す。

 

『………許してくれないと、半魚人呼ぶぞ』

『え!』

『福音使えば、きっと半魚人は、すぐに来るぞ』

『え! なんでそんな馬鹿な事するの?』


 毒気を抜かれたかの様に、アキリアから殺気が消えた。

 明らかにに戸惑ってる


『アイツは、気味の悪い移動スキルを持ってるから、すぐ来るぞ』

『あ〜。やっぱり君、半魚人の手下に成り下がっていたな』

『いや、そのつもりは全然無いけど、殺られるぐらいなら、呼んでやる』

『やめて〜。生臭いんだよアイツは』

『だったら、大人しく俺を許すんだ』

『卑怯だぞ。あんなのに頼るとか恥ずかしくないの?』

『我輩を呼んだであるか?』


 あ………あれ? 

 なんか頭に半魚人の声が来ちゃった。

 目の前にいる霧の様なアキリアが、露骨に歪む。


『まだ呼んでないのに、なんで、半魚人そんなに反応良いんだ?』






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