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130/306

130、バブバブ16、竜変幻


 半魚人にアキリアからスキルをもらった事がバレても。

 最悪の場合。

 ………なんとか半魚人は騙せば良いし。

 いやぁ、でも半魚人の奴は、アキリアの事になるとムキになるからなぁ。


 半魚人は簡単に騙せるか?

 それとも、そもそも話を聞かないか?

 そのどっちかだから、賭けてみる価値はあるか。


『はぁ。やれやれ。どうして僕が、半魚人の手下になった裏切り者に、スキルをあげてるんだか』

『手下になったつもりは、全くないし。オマエラの喧嘩に巻き込まれた俺は、被害者だと思う』

『ハイハイ』

『わかったら、翼、翼、翼』


『何だか、僕がいい感じで壊してた時よりも、更に君からは、壊れた感じがするのは、気のせいだろうか?』

『失礼な。俺は何時でも正常だ』

『………半魚人の奴。修理が雑。これだから魚類は駄目なんだ』

『そんなことよりも、は〜や〜く〜』

『ステイ。まて。まって火力発電太。ステイ』


 何だかアキリアが、気になる事を言っていたが、そんな事は気にならない。

 なんと言っても翼がもどってくる。

 翼が戻ってくるんだ。

 わくわくドキドキ胸が熱く、トキメク。


 尻尾があったら、きっとぶんぶん振ってるだろう。

 大好物を貰うペットの気分が少しわかる気がする。


『はやく。はやく。遅いぞ遅リア』

『だからちょっと待ってってば。ん? 僕の事なんて呼んだ?』

『あ、あああ、きたきたきた』


 何かが、ぐぐぐっと、頭の中に打ち込まれる感覚。

 今まで意識してなかったけれど、待ち望んだスキルを得るのはこんな感じがしてたんだ。


『スキル竜変幻を渡して、ヒャッハースキルを取るよ』

『竜変幻? 変幻じゃない?』

『どうせ半魚人に見つかれば、取り上げられるんだし。コストの安い変幻の劣化スキルをあげるよ。竜にしか変身できない劣化版変幻スキルだけど、それでも君は満足でしょ。文句ある?』


 ………文句なんてあるはずは無い。

 だってさ、待ち望んでいた翼が戻ってくるんだもの。


『アキリア有難う』

『ふん。僕は慈悲深き女神だからね』

『慈悲深き女神アキリア有難う』

『う………なんか、やけに素直だね。気味が悪い』


 なんかひかれてるが気にしない。


『喉から手が出るほど欲しいものが、手に入ったんだ。素直にもなるさ。変幻に失敗すれば死ぬとわかってても、感謝しかない』

『え! 知ってたの』

『半魚人に聞いた。使用する毎に10%の確率で死亡するって』

『知ってて、なお、そのスキルを使うのかい?』

『当たり前さ。空を飛ぶのは夢さ。命をかけるのに値する』


 心の底からそう思う。

 あぁワクワクする。

 再び空へと戻るのだ。


『………やっぱり、ちょっと半魚人の奴は修理に失敗して、不具合だしちゃってるね』

『俺は元々こんなんだぞ。半魚人も似たような事言ってたけれど』

『………』

『ま、どうでもいいか。空を飛べるんだしさ。他の全てはどうでもいい』


『いや、ちょっと待って。おかしいよ。深刻なエラーが出てるよ。きっと』

『どうでもいいさ』

『せめて僕を、この像を壊して、出してからスキルを使ってね』


『そんな事どうでもいいさ』


『良くないよ。このまま君がスキルを暴発させて死んだら、僕出れないじゃん』

『どうでもいい。1分1秒でも早く空を飛びたいから黙ってて。集中出来ないだろ』

『待って。それは君、最悪だ。無責任だ』


 アキリアが、ぎゃあぎゃあ騒いでいた。

 ああは言ったが、実のところ、本当はアキリアの騒音は気にもならなかった。


 だって、かつて持っていた素晴らしいもの。

 それを奪われて………

 再び空を取り戻す機会に恵まれたのだ。

 細い何を気にする事がある。

 これこそが幸せだ。

 一度失ってしまった幸せを、取り戻す事以上の幸せは、そうそうないさ。

 これ迄にない程の意志と憧れと想いを乗せて

 ドキドキワクワク


『竜変幻発動』


 俺は、憧れへ向かって飛んで行く。




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