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128バブバブ、戦国時代


 聞いてくれアキリア。

 何とかアキリアを説得しなければ。


『半魚人は空を飛ぶのは下品。泳ぐ事こそ究極とか言って、俺に、ヒレつけようとするんだよ』

『あ〜〜〜アイツなら、そうだろうね』

『な〜アキリア。半魚人を説得してくれよ』

『ぼ、僕が? 僕がアイツを説得? 何故、どうして? 何をどう考えれば、そんな事を言えるんだい?』

『騙すでもいいからさ。俺のためと思って』

『それは君の都合じゃないか。僕を巻き込まないでくれよ』

『俺がお前達の都合に巻き込まれて、こんな事になってるんだよ』


 思わず、アキリアに猛烈に抗議する。

 すると


「おい、みろよ。モヒカンの赤ん坊が、マ、ソウル様の像に、凄い勢いで、バブバブなにか言ってるぞ」

「ああ。びっくりだな」

「怒ってる。赤ん坊がバブバブ怒ってるぞ』


 ………おい〜。

 ちょっとアキリアと、行き違いがあっただけで、エライ注目浴びて、騒ぎになってる。

 筋肉教団内部、しかもアキリアの像を壊した者が次の指導者、とかイベント絶賛開催中。

 そんな中、赤子の俺が、バブバブ黒いアキリア像に文句言ってる。

 それは目立つなんてものじゃない。


 もう見世物だろ。

 それ。


『え〜い。アキリアがすぐに竜の翼をくれないから、この騒ぎ』

『え〜。僕のせい?』

『そ〜だ』

『君の都合を押し付けないでよ』

『つべこべ言わずに、スキルでも何でもいいから、竜の翼をくれれば良いんだ』

『敵対してる半魚人の使徒化した君に、僕が力を与えるはず無いじゃん』


 あ、そういう事か。

 ………アキリアにとっては、俺は敵対認定されてるのね。

 小さい奴め。


『細かい事を気にするなよ』

『細かくない。細かく無いし、気にするよ』

『昔、飢えすぎ献身、という偉い人がいてな。敵が塩不足で悩んでた時に、敵に塩を送って、名声を後世まで鳴り響かせたらしい』

『………半魚人。君をテキトーに治したらしいね。記憶が、ちょいおかしいね』

『間違ってたか?』

『まぁね。いいかい』


 そう言ってアキリアは詳しく説明してくれた。




 昔、武田信玄と上杉謙信という二人の王様が戦争をしていた。

 武田信玄は両刀使いで、男も女も愛してた。

 武田信玄は高坂昌信という、武勇知力魅力がカンストしてるような男を愛人にしていた。


 高坂昌信は後の世に、「我等一般男性は、高坂昌信の性格が悪いのを願うだけ」って嫉妬するほどの、完璧男性だ。

 だけど実際は性格も良かった。

 良すぎた。

 武田信玄と上杉謙信が戦争をしたあとに、戦死した死体を敵味方の区別なく、人間死ねば仏と丁重に弔う程、性格が良かった。

 

 その話を聞いた上杉謙信は、文字通り、ぶっ飛んだ。

 上杉謙信は寺育ちで、信心深かったが、そんな彼でさえ、敵を丁重に弔うなど、したことが無く。

 そんな事をする武将の話を、聞いたことすら、なかったからだ。

 大きな借りを一つ作ったと上杉謙信は思った。

 それまでは、上杉謙信は武田信玄の事を外道と蔑んでいたが、以降、武田信玄に一目おくようになった。


 武田信玄は、この事を知らなかった。

 愛人の高坂昌信の独断だった。


 武田信玄が周辺国と揉めて、塩を売って、もらえなくなった。 

 そのときに、敵である上杉謙信は、配下の死体を、丁重に弔って貰って作った借り。

 それを返す大チャンスと、敵の武田信玄に塩を送った。


 武田信玄は、何故上杉謙信が塩を送って来たのか、訳がわからずに、上杉謙信の懐の深さに一目置くようになった。

 その後、愛人の高坂昌信の行動の結果と知って、狂喜したとかしなかったとか。

 そんな真偽不明の言い伝えがある。


 とアキリアは長々と語った。

 

『………ふむ。つまり俺は、高坂昌信だったのか?』

『なんでだよ。僕の話を、何処をどう聞けばそうなるの?』

『武力知力魅力性格の良さ。全てを兼ね備えた俺に、アキリアが翼を送ると言う話だろ?』

『いや、違う。違うから。高坂昌信、裏切って無いよね』

『気にするなよ。細かい事は。話の肝は、寛容さが寛容さと名声を産むって所だろ? 寛容に翼をおくれよ』

『い、いや。そんな話だっけ? え? え?』


 アキリアは混乱している。

 半魚人なら、コレで誤魔化されるだろうに。

 アキリア手強いな。



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