111 転生したらヒャッハーだった件15
半魚人が戻ってきた、
やっぱりお怒りだが、コチラとしては正当防衛を主張したい。
ちゅ〜か、半魚人は死んだのか?
それとも生きてるのか?
「………半魚人お前、よくも俺を殺したな。この人? 竜? ゴッキー? 殺しめ」
とりあえず逆ギレしてみた。
逆ギレでも無いけど、俺は自分の正当性を主張する。
「な、な、汝は頭がおかしいであるか? 我輩は汝のせいで肉体の修理が必要になったである。痛かったである」
「お前が変なスキルで、俺を殺しにきたからだろう」
「汝が裏切って我輩の言う事を聞かなくなったからである』
「おまえが悪い」
「汝が悪いである』
………たぶん俺の方が悪いのかもだけど、この際半魚人を言いくるめないと、何をされるか分かったものじゃない。
水掛け論にまで持ち込んだ。
あとは何とか騙して、新たに竜の体と翼を手に入れるのだ。
「にしても、お前あの高さから落ちても死ななかったのか?」
「当たり前である。我輩強いである。我輩が墜落死とか洒落にならんである」
「なんとまぁ」
「でも汝のスキルでコブができたし、高い所から落とされて肉体が傷んだである。汝最悪である」
「………もうちょっとで、俺は勝てそうだった?」
「我輩が負けるはず無いである」
半魚人はそう言って胸を張った。
「あれで死ななきゃどうすりゃ倒せるんだ? お前」
「無理である」
「………ふぅ。俺はゴキブリの体だったしな。ゴキブリに殺されかけたお前が、どうしてそんなに自信満々何だか?」
「………はう」
半魚人は目をまんまるにして、口をパクパクさせた。
「俺が竜の体と、もとのレベルだったら俺の勝ちだったよなぁ?」
「な、違うである。それでも我輩の勝ちである。負けるわけ無いである」
「でも、ゴキブリに殺されかけたよね?」
「………………な、何の事である? そんな事あるわけ無いである。我輩余裕綽々だったである」
あ、半魚人誤魔化しやがった。
ゴキブリに殺されかけたのを恥てるのか?
無かった事にしたいのか?
小さい奴め。
いや、待てよ。
半魚人がその気なら。
それならそれで利用してやる。
「じゃあ、俺に何を怒ってるんだ? 殺されかけたからだろ?」
「知らんである。なんの事を言ってるかわからんである」
「そうか。怒って無いのか?」
「無いである」
「では、俺の事はそれで良いとして、一緒にヒャッハーへの罰を考えようか?」
「………………………そうするである」
ふう。切り抜けた〜〜。
もう駄目かと思ったけど、半魚人の恥と俺への怒りを交換で相殺して、無かったことに出来た〜。
よし、頑張った俺。
誤魔化せた。
次の体まで、あともう少し。
そんな俺達をセーラは呆れた顔で見ていた。
そんな顔するな。
お前だって、過去似たような事をしてたはずだろ。
こんな馬鹿で危険な半魚人。
利用する気が無くても、半魚人をコントロール出来なきゃコッチが意味不明な理由で、やられかねん。
………そんな俺達の様子を、ヒャッハーは目をギラギラさせて見ていた。
こっちを観察して学習してやがる。
アイツは、まだ諦めて無いな。
………アイツに一度殺された身としては、アイツは油断もスキもあったもんじゃ無いのを知っている。
アイツは転生者だ。
経験と知恵はあるはずだ。
半魚人を上手く誘導すれば。
今なら奴をイワシ転生とか、カエル転生送りとかたぶん出来る。
今のうちにトドメをさすべきだろうか?




