110転生したらヒャッハーだった件14
「助けてくれ〜」
「駄目です」
「俺には力が、なんとしても必要だったんだ。許してくれ」
「嫌です。スイッチオン」
「あ、がががが」
………ゴテゴテした禍々しい椅子にヒャッハーらしき人間が、拘束されて座らされていた。
その横で、冷たい顔をしたセーラが、椅子の横で何かをイジッテいる。
セーラが何かをするたびに、ヒャッハーは、叫び声をあげていた。
………俺達は魂だけになっているのに、生前の姿に似ていて、見分けがハッキリつくのは凄いな。
………ヒャッハーが座っている椅子は、拷問用の機器か何かかな?
妙にトッキントッキンして尖った椅子。
あんなの何処から持ち込んだんだろ?
………むぅセーラが怖い。
声かけるの何か躊躇うなぁ。
自分の今の立場を忘れて、思わず見入ってしまった。
「貴方さえ余計な事をしなければ、私の計画は上手く行った筈なのに。まさか、貴方のようなかたに足元をすくわれるとは、思いませんでした」
「ご、誤解だ。お、俺は………」
「随分楽しそうにはしゃいでましたね〜。ここ迄手酷く、してやられたのは初めてです」
「そ、それは………」
「貴方には敬意をもって仕返しをしてあげます。この椅子はヒャッハーへの鉄槌と名付けました。貴方専用の拷問器具です。楽しんでくださいね!」
「嫌だぁ。拷問なんて嫌だぁ。助けてくれ〜」
泣きわめいて暴れるヒャッハーは、とりあえず置いといて、もう一人の方は、
何だ?あれは。
というか、誰だあれは?
ちょいちょい、セーラは黒い部分が見え隠れしていたけれど、もう何だか黒を突破して何色だ?ブラックホール?
怖いんだけれども、アイツ。
セーラの奴め。
アイツは自分が俺にした事を棚に上げて、ヒャッハーには仕返し拷問するとか、なかなかぶっ飛んだ性格してやがる。
とは言え、ただ見ているわけにもいかないかな?
あいつ等、人を殺してケロッとしてやがって。
やりたくないけど、未知の感性をもつ奴らとコンタクトを試みてみる。
「何やってるんだ?オマイラ?」
「おお、兄弟助けてくれ〜」
「誰が兄弟だ。俺を殺した殺人鬼A」
「う……、」
殺人鬼Aと呼ぶとヒャッハーが黙った。
「セーラもずいぶんはしゃいでるなぁ?」
「ち、ちがうんです。コレは仕返しで………」
「へえ」
「やっぱり、この方には罰が必要だと思うのです」
「その椅子は何処から出したんだ?」
「海神様に、この世界の使い方を教わって、他の世界から持ってきました」
そんな事出来るのか?
俺も他の世界から、この椅子みたいに呼ばれたのかな?
「なぁセーラ。もう一個この椅子持ってきてくれ」
「え?良いですけど、何に使うので」
「俺を殺した主犯格の殺人鬼Bに使うとか、どうだろう?」
もちろんセーラの事だ。
セーラは頭が良い。
俺が何を言いたいかわかるはずだ。
………セーラは顔から汗を流して。
「ま、まさかチビ竜さんに、女を拷問して喜ぶ趣味があったなんて」
セーラは微妙に分かってなった。
いや、わかった上で言ったのか?
「そんな趣味ねえよ。お前と一緒にするな」
「私にもそんな趣味ありませんわ」
セーラはにこやかに微笑んだ。
「き、気を付けろ兄弟。その女は超弩級のSだ。短時間で俺の心はへし折られた。あ、あががが」
ヒャッハーの口を塞ぐためか、
セーラが椅子の何かのスイッチを押した。
椅子の痛そうな機能がヒャッハーを責める。
そういう所だぞ、セーラ。
そしてヒャッハーよ。キジも鳴かねば撃たれまいに。
全く、こいつ等はどいつもこいつも、自分の事を棚に上げて、反省って事を知らないのか?
とか思っていたら。
「もう一台、拷問椅子を呼び出すである。馬鹿な竜を座らせるである」
………あ、いかん。
半魚人が帰ってきた。




