表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/306

壱百五転生したらヒャッハーだった件九



 東洋竜と西洋竜の違いが云々されるけれども。

 何故か?

 理由は単純に指してる物が違うから。

 東洋竜は自然現象を指してて。

 西洋竜は海賊のことを指す。


 西洋竜(海賊)は空を飛ぶように、海を越えてやってきて、財宝や美女を奪い、逃げる際に街を火で燃やす。

 炎で街を燃やせば、防衛隊は街の消火作業に追われて、海賊は追撃を受けずに楽々と逃げ切れる。


 お金を溜め込んだ教会を襲う事から教会の永遠の敵、古代の西洋教会に、竜の彫刻が敵対者として残っていて、語り継がれるのはそのためだ。


 そのうちに西洋竜(海賊)達の中に裏切り者が出始めた。

 街を襲うよりも、王や貴族を倒して、街を支配。自分達が王や貴族になり、税金を取り立てたほうが良いと。


 そして竜(海賊)の王様や貴族が生まれた。

 

 その結果皮肉なことになった。王や貴族になった竜。

 それが王や貴族になる事を選ばなかった、他の竜(海賊)に襲われる。竜対竜の激突だ。


 王や貴族になった竜は、かつての同胞を恐れた。

 いつの日か、かつて自分達が古い王や貴族を追い出して権力を握ったように、自分達が他の竜に、とって変わられるのでは無いかと。


 古い西洋の家系には、ドラゴンの名前をもじった家名をもつ貴族王族がある。祖が海賊であることをしめしている。


 先祖が海賊である事を隠している家もある。が、そんな家系には、大抵が隠し名として、自らの一族の事を「竜の血を引く一族」と名乗ったリしてる。

 それも大抵が祖が海賊だ。


 例外として、竜の血を引く一族の意味を知らずに、その一族の誰かに憧れ、あるいわ、その名を利用する為に、勝手に名乗る偽物もいる。


「と、言うわけで、この国の王族は竜の血を引く一族である。汝の望みを一部叶え、次は、この国の王族の体を与えるのである」


 半魚人が無茶苦茶言い出した。

 こっちの希望は、空を飛べる竜だったはずなのだけれど。

 それはガン無視された。


「いらない。それってタダの人間じゃん。翼も無いし、俺の希望条件、何も叶って無いし」

「イケメンに、チビ竜さんを、人間基準のイケメンにしてください」


 いや、コイツ等ホントに人の言う事聞かないな。


「安心するである。タダの嫌がらせである。コレは罰である。罰であるからして」

「顔は………顔は、どうせなら私にデザインさせて下さい」

「………まぁ顔はどうでもいいので、セーラの好きにさせても良いである」

「やった〜」

「だからお前達は、言っても聞かないだろうが、俺の竜生を勝手に決めるんじゃない」


 この二人は俺を何だと思っているんだ?


「今から我輩が行くである。お仕置きである」


 ペタペタペタ。ペタペタペタ。ペタペタペタペタ。ペタペタペタ。

 へ? 

 空でホバリングする俺の耳元に、

 いや

 何か頭の中で、ペタペタと何か音が聞こえる。

 何だこれ?


「おい?半魚人。何をした」

「我輩のスキルである。どんなに離れた相手のもとにでも、百八歩、歩けば着く便利スキルである。目をつぶるである」


 へ?

 目をつぶる?

 言われた通り試しにやってみた。

 真っ暗なまぶたの中、遠くに半魚人がいた。

 こっわ〜。


「何だこれ?きっしょいわ」

「吾輩が歩くと、目を閉じた汝の中の吾輩がDonDon近づいて、汝を捕まえるである」

「おい。何だその最悪なスキル。もうストーカーじゃないか?」


 ペタペタ耳障りな音と、まぶたを閉じるたびに脳裏に写る、間抜け顔の半魚人。

 もうホラーか喜劇かわからんな?


「吾輩が汝のもとに行く前に、汝ヒャッハーのもとへと行くである。二人まとめてお仕置きである」

「………」


 なんか怖い事言ってる。


「もしも吾輩が汝のもとに到着したとき、汝がヒャッハーのもとへと、たどり着いていなかったら、お仕置き二倍である。スキル2回使うのは、面倒だからして」

「ちょっとまて〜」

「待たないである」


 ペタペタペタペタ。

 半魚人の間の抜けた足音がする。

 いや、これはヤバイ。

 多分アイツ本気だ。

 空中にホバリングしていた俺は、

 竜の翼をはためかせて、ヒャッハーのもとへ………?

 アイツどこにいるの〜?

 ………

 暗闇の中、周囲を見渡すと、デイジーカッターで吹っ飛ばした、爆心地からでる煙が見えた。

 

「あそこか。あの辺にいるはずだ」


 全速力で空を翼をうつ。

 瞬きする毎に、目の中の半魚人が、だんだん大きくなって暗闇から近づいてくる。

 怖い怖い怖い。


 急げ。急げ。最高速だ。

 今出来る限界速度まで、スピードを上げて、デイジーカッターの爆心地を目指す。

 ………………その時。


 俺は何かを超えた。

 翼から生まれる浮力。

 軽々と体を浮かせ、スピードを上げる事ができる翼。

 そこから矢のように放たれた俺は、

 俺の脳は、何かの快楽物質を解放した。

 ………高速で空をかける。スピードの中、俺の中、脳の中、脳内麻薬か電流か?

 何かが更に脳内を高速で駆け回る。

 何という爽快感。周りが止まっているかのように見える。思考回路がやけにクリアで、最高に気分が良い。


 ペタペタペタペタと余計な雑音さえ、瞬きの際に半魚人が見えさえしなければ、間違いなく俺は絶頂したであろう。心地良さ。

 くわ〜おしい。

 半魚人め〜。

 余計な事を。

 しかし、それでも最高に気分がいい事に違いは無い。

 空を高速で飛ぶスピードのスリルか?


「む、ヒャッハー発見?って何だあれ?」


 俺の使ったスキル。デイジーカッターの爆心地そばに、

 全長数十メートルはあろうかと言う、巨大な青色のクジラみたいな生き物が、傷だらけで、のたうち回っていた。

 

「大怪我してるな。………あれがヒャッハーか?」


 とんでもない化物になってた。

 一歩間違えれば、自分があんなのになっていたかと思うと、ゾッとした。

 

 ん???

 いま俺ゴッキーだったわ。

 竜の翼なかったら、あっちのほうが遥かにましだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ