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0034.オーガキング目指して

「ケンタ様、僕は実力が追い付かないので剣がもらえなかったなの。だからついていけないなの。くやしいなの! ケンタ様を守れないなの」


 今にも泣きそうで悔しさをにじませながらアイラが縋り付いてくる。


 オーガキングの討伐には各族長に認められ高周波ブレードを授けられた20人の内16人が参加する事になったからだ。

 高周波ブレードを持たないと足を引っ張る可能性が高いからな。


 そして今この里には大量な避難民が溢れていて、いつオーガの襲撃があるか分からないので4人は留守番である。

 アイラも強い方なのだが自族内でTOP10に入るほどの実力はまだない。


「アイラ、私が必ずケンタ様を守って見せる。だからケンタ様の前で取り乱すな!」


 プラムはアイラに厳しく言い放った。

 模擬戦において場合によってはホルンに勝つこともあるプラムは実質3位の武力を誇っている。

 そのプラムの言葉は戦闘部族である兎鱗族に置いて重いのだ。


「っ! わかったなの。僕が留守を守るの」

「おらもケンタ様を必ず守るだ」

「あたいも居るんでし」


 作太も咲女も熊犬族では長と同程度には強いらしく今回の攻撃に参加する。

 二人は権力的な事に興味が無いから長にならないだけだ。


 なぜ俺の警護や傍女などをやっているかはきっと厄介払いの意味もあったのだろう。

 自分を脅かすものには傍にいてほしくはないというのもきっとある。


「アイラには護身用にこれを渡しておこう。危なくなったら使うといい」


 俺はアイラにそっとアイラ専用になっているビームソードの柄を渡す。

 実はギガに頼んで作ってもらっていたのだ。


「こちらからエネルギーの剣が出る。魔力分の攻撃しかできないが少しの間なら使えるはずだ。一度は使って練習しておくといい。光る剣は高熱を発する。身を近づけると焼き切れるからな。気を付けるんだぞ」

「ありがとうなの。僕頑張るなの。ケンタ様も気をつけてなの」

「ああ行ってくる」

「ケンタ様なのーー」


 手を振るアイラを後に残し俺たちはオーガキングを滅するために旅立つ。


 途中色々な魔物をついでに退治しながら丸二日あまり休憩も取らず移動しオーガキングの居場所と思われる場所の少し手前まで移動した。


 まあ色々な種族も居るので行軍速度は歩くより早い程度では有るが。


 そして平らな場所を選びゾムン族長の呼びかけで部隊は停止した。


「ケンタ様ここで一服していきましょう。流石に皆疲れておるようです。なので明日こそオーガキングの居場所に突入しましょう」

「そうだな疲れた状況で突入しても碌な事にならないかもな。急ぐといっても負けたら意味が無いから万全な体制で行こう」


 俺達は周りの木を切り倒し野営地とした。

 この星はいたるところにこれでもかと大きく固い木が生えているがギガ作の高周波ソードさえあれば切り倒すのも簡単だ。

 素早く平らで休める空間を作ると寝床に毛皮を敷き詰め野営地が完成した。


「ケンタ様は此方でお過ごしください」


 ゾムン族長が指さす先は木の板で仕切られ中の見えない屋根のない仮設住宅の様な所だった。


「えっここで?」


 いつの間にこんな。


「ささっケンタ様私たちとこちらに」

「アタイも忘れたら嫌なんでし」


 プラムと咲女が俺の腕を引き仮設住宅?に入っていく。

 今回の遠征は他部族と一緒だし純粋に強さで選ばれているはずなので女性が少ない。


 えっ! そんな中、この中でするの? 

 見えなくても声は駄々洩れだよ! 


 というか、まあ今更だったことを思い出し苦笑い。

 ここは魔獣が跋扈する森。

 いつ何が起こるか分からない。

 いま楽しめるだけ楽しんでおかないとね。


 俺は二人に手を引かれるままに幕で仕切られた入り口から寝所へと入っていった。


 事も終わり見張り以外は寝静まった頃。


「敵襲だー!」


 けたたましい声が野営地内に響き渡った。


「なっなにごとなし?」

「ケンタ様確認してまいります」


 咲女とプラムは素早く飛び出していった。


「なにが起こった?」


 寝所を出た場所でゾムンが指示を飛ばしていたので聞いてみる。


「ケンタ様。どうやらこの野営地はオーガの拠点に近すぎたようで奇襲を受けました。ですがお任せを。ケンタ様より授かりしこの神剣。我々はオーガどもなどに引けは取りません」


 戦況を魔力で探知してみると、こちらのほうが数も多くオーガは無手なので少しだけど有利に事は進んでいるようだった。


「ぐわあっ!」


 それでもオーガは皆より素早く動き当たれば確実に重症な長い爪で鋭く引き裂いてくるため、こちらも無傷とはいかず一進一退の攻防が続く。


 木が乱立しているため全体の動きは分かりづらいが、どうやら不利な環境のようで皆苦戦しているのが分かる。


「ちっこんな所をオーガキングに叩かれたらやばいね」


 珍しくホルンが弱音を吐いた。

 しかし狭い場所なので俺は援護がしにくい。


「オーガキングは俺が止めて見せる」


 俺はオーガキングを探し走り回っていた。

 だが、おやっ? まてよ強い存在、オーガキングが見当たらないな。

 一体どこに? 


『ギガ! オーガキングはどこにいる?』

『ちょっと待て。調べてみよう……どうやら、マスターたちを迂回してオーガキング一体で里への反撃を目論んでいるような進路を移動中だ。かなり速い』

『なんだって!』


「まずいぞ族長! オーガキングが兎鱗族の里に向かっているみたいだ」

「なんだってー! くっ、だがここで退却すると、逆に囲まれて我々は全滅する! なんてこったい!」


 オーガに剣を振りつけながら族長は悔しさに表情を歪ませる。


「まさかこちらの作戦の裏をかかれるとはね」


 数に勝る連合討伐軍では有るがオーガも思いの外強く苦戦を強いられてしまっていた。


「俺が単独でオーガキングを追いかける。ここは任せた」

「そんな! ケンタ様危険です!」

「族長! 里が全滅しては意味がないね。ここはケンタ様に任せるね! 熊犬族は他の部族よりかなり足が速いからね。作太と咲女をお供につけるのが良いね。その位の戦力減俺達なら支えられるね!」


「そうだ、そうだ。俺達ならやれるさ」

「おー!」


 皆苦戦しながらも無理やり笑顔を作り強がって魅せる。


「もともとケンタ様がオーガキングとやる予定だったね。だからそうは変わらないね」

「なるほど、ホルンの言う通りだな。作太、咲女。ケンタ様を頼む」

「おらに任せるだ」

「アタイはやるでし」


 二人は俺の護衛も兼ねているので近くから声が聞こえる。


「では行くぞ! 作太、咲女」

「ケンタ様おらに乗ってくだせえ」

「分かっタ頼む」


 熊犬族の足は本当にびっくりするほど早いのだ。

 しかしこうなってくると里に残したギガ作成の剣が少ない事が非常に悔やまれる。


「ケンタ様すみませんがよろしくお願いいたします」

「俺にまかせろ」


 俺が作太に急ぎ跨ると作太と咲女は凄い速度で走り出した。


 里に残してきた皆、そしてアイラ心配だ。

 間に合え! 


「ケンタ様アタイたちは早いでし。心配そうな顔をするなでし。とばすでしよ。作太」

「咲女生意気だす。おらの方が早いだす」


 作太はそう言うと一段階ギアを上げたのかさらに速くなった。


「結構距離あるぞ。大丈夫なのか?」

「アタイら熊犬を舐めてもらっては困るでし」

「あのくらいの距離オデたちなら一気に疾走できるだす」

「すまない。頼む」


 所狭しと生い茂る木々の間を風のようにすり抜け俺達は兎鱗族の里へと急ぐ。






「今頃ケンタ様どうしてるかなの~」


 僕はケンタ様が出かけられたので子供部屋で仕事をやっていたら、つい寂しさが溢れてしまっていたの。


「あのつんけんアイラもすっかり恋する乙女だねえ」

「ふんっ、そんな凹凸のない奴よく神様が相手してくれたもんだな」

「もう、ペグもダグもひどいの。僕はちゃんとした乙女なのー」


「ふんっ、なにが乙女だ。バキバキに殴られたのは忘れてないからな」

「昔の事をグジグジと男らしくないの。ケンタ様を見習ってほしいなの」


「あいつもなんだか強くなって。ふんっ」

「まあまあ二人とも喧嘩しないで仲良くねって。でもオーガキングを倒すなんて、ケンタ様確かに心配だね」


「おーい皆。なんだか大人がさわいでるぞ。良くない物が近づいているって」


 走り込んでくる子の言葉で子供部屋に衝撃と緊張が走る。


 そうこの里の主戦力はオーガキング討伐の為に遠征中なの。

 族長も副長もいないの。

 他部族なら何人か族長クラスが残っているがやはり不安はぬぐえないなの。

 何よりケンタ様がいないなの~。


 ケンタ様ああ~~。

明日も投稿

「最弱の吸血鬼?が生き残るには?【最弱では死にそうなので毎日せっせとダンジョンに通い、最強になってしまったので悠悠自適に生きれる】」も連載中ですのでよろしくね

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