0031.エーテルを集めて
次の日、俺を中心とした魔物狩りの部隊が集まった。
「え~、今回の狩りの目的はいかに沢山の魔物に俺が止めを刺し、多くの魔力を集め、あのオーガを倒せる剣を出来るだけ早く作れるようにすることにあります。皆さんの奮闘と協力をお願いする」
ウォー!
オー!
俺はどうも熱くなっていたようで、柄にもなくみんなの前で演説めいたことをしてしまっていた。
しかし、そのかいあってか皆の戦意は旺盛で、テンション高いまま魔物狩りへと繰り出した。
戦意は高いが、さすが狩りの達人たちだ。集落を出ると音もたてず皆気配を殺して、次々と森の中を進んでいく。
先程までの盛り上がりは一体何だったのかと首をかしげたくなるほどの豹変だ。
そして、俺を警護する、ホルン、アイラ、プラム、咲女は俺の四方囲って周りを注意深く警戒する。
作太は前線で活躍する予定だ。
『魔物を見つけた。右斜め前方40mにいる。左右から後ろに回り込みケンタ様の前に引きずり出せ』
『おうさ、任せとけ』
事前に役割分担は出来ていたのだろう。
スムーズに左右に分かれ進行していく。
「ケンタ様はここで剣を構えていてください。すぐに弱った状態で御身の前に引きずり出します」
ゾムン族長は自信満々で俺の耳元でそう言った。
「ピギーッ!」
ほどなく、両腕を切り落とされたゴブリンが俺の前に死にそうになりながらも躍り出てくる。
「せいっ!」
俺はその可愛そうにも見えるゴブリンを両断する。
すると
「ギヒーッ!」
と次のゴブリンが俺の前に飛び出てきた。
こいつも足や腕に深手を負って反撃など出来ない状態だ。
「やあっ!」
俺は躊躇なく前に出てきたゴブリンを切る。
それから、休みなくあちこちから魔物や魔獣が俺の前に深手を負った状態で飛び出してくる状況が続くのだった。
ひええ、こんな状況がずっと続くのか?
さすがにちょっと大変なのだが。
「ガウ―!」
狼の魔獣が俺の前に飛び出して来たので真っ二つに切り裂くと。
『皆、この辺りの魔物どもは狩りつくしたようだ。移動するので集合しろ』
『おうっ』
サーと皆すぐに集まり移動が始まる。
「次はここでやるぞ」
1時間ほどかなり速足で進んだ先にあったほんの少し開けた場所に、止まり。
「次は、この場所で先ほどの様にケンタ様の前に魔物を集める」
「おうっ」
おっと、ここで俺が元気ないとまずいな。
「よし、バッチ来いだぜ」
先ほどと同じように、次々と送られてくる魔物を滅していく。
さほど強い魔物が居ない様なので、余りエーテルは増えてないかもしれない。
「確か地下には結構強い魔物がたくさんいたような気がするな」
「なら明日からは洞窟で狩るかね」
「ふむ、そうなると人数を絞らんと身動きが出来なくなるな」
「地下なら土竜族にお任せ有れ」
「へ~地下の敵なんて初めてなの」
「あたいも、楽しみでし」
「ちなみにケイタ様どんな敵と戦いました?」
「そうだな、プラム。カマキリみたいなやつや、ムカデみたいなやつ、と大きなミミズ、色違いの赤いスライムがいたな」
「虫系の魔物が多いですね」
「僕、虫は少し苦手なの~」
アイラは少し引いている。
「あたいがバリバリ戦うでし」
「おお、凄いね咲女」
と言って頭をなでるが。
「あたいは子供じゃないでし。やめるでし」
「あははは~」
「笑い事じゃないでし!」
と真っ赤になっていてかわいい。
集落へと帰り、明日の予定を族長たちと話をする。
「地下であれば少数精鋭がいいね」
「ふむ、チームを選ぼう。地上があまり手薄になるのもいかん」
と言う事で選抜チームが作られた。
地下と言う事で土竜族の頭領チックさんを責任者とし、補佐をホルンが務める。
後は土竜族の若者ピッケとアイラ、プラム、咲女、作太のチームだ。
「作太はそのナリで大丈夫なのか?」
「躰のデカいおらは邪魔にならないよう、しんがりで皆を必ず守るだ」
「ピッケ土竜族の誇りをかけてしっかり先頭を頼むぞ!」
「任せてくれよ頭領! やってやるぜ!」
他の部族と集まるとよく分かるのだが土竜族のテンションは異常に高いな。
その後、家で今夜もしっかり運動して自分のタフさ加減に驚きつつも心地よい眠りについた。
三人を相手に頑張ってもまだまだ余裕粛々だったからだ。
これが、ギガの作ったスペシャルな肉体と言う事だな。
などと色々考えていたがいつの間にか寝ていた。
その次の日朝早くからまだ土竜族すら知らない洞窟の奥へと魔物探索及び退治に向かう。
その未知の領域突入に皆の緊張感は高まっていき無言の行軍が続く。
まあ、洞窟では音が響くからなあ分からんでもないがなんかきつい。
「(なんかしんどいでし。あたいずっと静かなのは苦手でし)」
「(このくらい我慢しろ! 大人なんだろ?)」
「(大人にも苦手な物はあるでし!)」
暗いのが怖いとかじゃなくて静かなのが嫌とか咲女らしい。
敵を見つければ自らは気配を絶ちほぼ無音で行動するのが得意な咲女だと言うのになんという我儘な話なんだろう。
俺は暗さも怖い。
だって探知できない何かが見えない所からいつ “わっ!” と現れるかもと思うとねえ。
洞窟の中を奥へと進んでいくとカサカサと這いずり回るゴキ〇リの巨大版が近づいて来た。
(ひええっ! きしょい! よくあんなのと戦ったな)
ああそう言えばこいつらが居たなあ。
なんだか黒く滑っと鈍く光るあたり、まるで本当にゴ〇ブリ。
アイラが俺の腕を掴んで震えているのが分かる。
虫嫌いにとって確かにあれは恐怖以外の何物でもないだろう。
よく悲鳴も上げず耐えているものだな。
「アイラ下がって」
「いやなの。戦うなの」
アイラは気丈にも恐怖をはねのけ前へと出る。
「来たぞー。食らえ。うりゃあっ!」
ピッケが切り込むが、ゴキブ〇は羽を広げ素早く避ける。
「ピッケ情けないぞ。だがここは、ふふふ、ワイらに任せておけばええんじゃ」
土竜族の頭領チックが小回りを利かしてゴ〇ブリの羽を切り飛ばすと。
「俺にも仕事をさせるね。そりゃっ!」
ホルンが足を一振りですべて切り捨て俺の前に〇キブリを撥ね飛ばした。
「ケンタ様今ね!」
「よっしゃ」
俺は無力化されたゴ〇ブリを切り捨てた。
この狭い洞窟でもまるでオートメイションの様にお膳立てされるのだな。
凄い。
ゴキ〇リは、その後凄い勢いで大量にやってきたが。
ピッケも最初の失敗は何だったのかと思える活躍をして、俺の所に無傷でたどり着く〇キブリは一匹たりともいなかった。
倒しても倒しても次々と送り込まれるゴキブ〇。
倒すとエーテル(魔力)に戻る魔物じゃ無かったら死体に埋まってしまいそうだ。
「なるほど! 洞窟は効率がいいね。このわけわからない程湧く虫も、小鬼などよりよほど手ごたえもあるね(食べる気にはなれんがね)」
おい! 小鬼だったら食べられるのかよ?
いやま、さしものホルンも少し堪えるのか少し息が荒い。
そうか皆はこいつらを倒しても別に強くなれないのだから積極的に狩る必要なんかないよな。だからこんな連続で戦う事なんてないよな。
襲ってくれば別なんだろうけども。
「あー気持ち悪かったなの!」
アイラはぐったりとして座り込む。
いつもの元気なアイラらしくない感じだ。
「アイラこのくらいでへばっていてはだめよ」
そういうプラムも肩で息をしている。
いつの間にか殺到していた魔物どもは影も形も消えていた。
「ふう、いい運動になったぞ! なあケンタ様」
「そうだね……」
「はぁっはっは! 地下だと時々あるからなこの程度」
「ほう、地下は厳しい所だね」
「皆さん凄いです。これでも若いもんの中では最強だと思ってたです」
「ピッケもやるなしねー。あたいは感心したなしよ」
咲女はかんらかんらと笑いながらピッケの背中をたたいた。
「なんか。おらだけ役立たずな用で申し訳ないだど」
そう言えば後ろからの急襲など今回は無かったな。
作太どんまい!
「いや、作太が後ろにいるお蔭で前に集中できたね。気にする必要ないね。暇だったら次は俺とポジションを代わってやろう」
「申し訳ないだす。おらも活躍するだす」
へ~ホルンってこんなキャラだっけ?
実は疲れた?
とじーっと見ていたら。
照れたのかプイっとホルンは他所を向いた。
ふむ、ホルンも実はいい年なのかもしれない。
族長の前の族長だったと言うからな。
少しは労わってやらないといけないのかもな。
明日も頑張る
「最弱の吸血鬼?が生き残るには?【最弱では死にそうなので毎日せっせとダンジョンに通い、最強になってしまったので悠悠自適に生きれる】」も連載中ですのでよろしくね




