表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/35

0029.俺は帰るんだ

「倒せずの魔物はそれだけで脅威なのに、毒まで出されたんじゃあお手上げじゃな」

「いや、対処の方法は俺にはある。すこし待ってくれ」


「ふう、今日はもう遅い。里に帰って休んでから、準備した方がええんじゃないか」

「じゃあそうしましょう」


 スライムって弱点が他に無いのだろうか? 

 俺は悪い頭を回転させ考え続けた。


「救世主様、お帰りなさいませ。食事の用意も済んでいますわ」


 どうやら、声をかけて来たのは女性であるらしい。

 俺には男と見分けがつかない。


「ありがとう、いただくよ」


 周りを見ると、双頭胴長に破壊された住処の修復が着々と進んでいる。


 彼らは広い洞窟の中に石を積み、パーソナルスペースを構築するようだ。

 広い場所に群れて住む兎鱗族とは全く違う。


 住処は奥に細長くて、ウナギの寝床って感じだな。

 男女で一つの寝床に入る場合と一人ずつ入る場合があるようだ。


 子供は寝床に入らず広間で面倒を見ている。

 妊婦も寝床に入らない様だ。

 皆で育てるところは兎人族の皆と同じだな。


「まあ飲めや。救世主様ほらこれ持って。ぐーっといきねえ」


 どうやら今晩も宴会が始まるようだった。


「はーはっはは、まあそんなに考え込むんじゃねえよ。どうとでもならあな」


 そう言いながら、体の大きさに似合わない力強さで俺の背中をバンバンたたく。

 痛いのでやめてほしいんだけど。


「普通のスライムならいくらでも駆除できますよ。困っている所は有りませんか」

「頭あ、北の2番鉱を出た所に居座っているスライムが居なくなると楽ですぜえ」


「救世主様には申し訳ないが、頼めますかのう」

「任せてください」


 翌日早々に出かけることになった。

 頭領の案内の下、駆け足で洞窟内を進んでいく。


「頭領、狩りとかやってなさそうなんだが良いのか」

「ああ、救世主様がたくさん倒してくれたおかげで、腐らさないように食べるにも間に合わないくらい食べ物は間に合っているから心配無用だ」


 時々現れるカマキリを倒しながら北に向かってどんどんと進んでいく。

 半日かけて移動し出口の明かりが見えてきた。


 久しぶりに浴びて外の日差しがまぶしい様な気がして思わず目をしかめるが、眩しいわけではないみたいで懐かしいような感じさえする。


 土竜族の皆さんはかなり眩しいみたいで皆目を覆っている。

 遮光器みたいなものが有ればいいのに。


『ギガ、土竜族用の遮光器って作れない?』

『その程度すぐ作れる。そう言えば、一酸化炭素吸着材と散布ガンも出来たので使ってくれ』


 少し待つとギガから出来たとの連絡が有ったので、土竜族に配った。


「おお、これは良い。外でも目がきつくない」

「頭、これかっこいいぞ」

「これで外でも戦えるぞ」


 喜び勇んで石斧を振り回す土竜族。


「おっあっちにゴブリンが」

「いてまえー」


 5匹ぐらいいたゴブリンをあっという間に駆逐した。


「これえーなー戦いやすいで」

「スライムはどっちですか?」

「おっと、すまん。こっちだ」


 そこには10m位のスライムが居座っていた。

 デカいなこれは。

 こんなのが居座ってたんじゃあ邪魔で仕方なかっただろう。

 サクッと消滅させると。


「本当にスライム倒せるんだのう?」


 と、中々に厳しい一言をいただいた。


 やってやる。

 必ずあの色違いスライムも倒してやるからな。


 だが、今日はこの辺りに変な魔物が居ないか探索し帰るだけだった。

 なかなか、アイラ達の所に戻れないな。

 最初の道を行った方が早かったよなきっと。


 心配しているだろうか、俺も早く会いたい。


 次に日、俺達はまた赤いスライムのもとに来ていた。

 手前で一酸化炭素吸着材を散布し、まずは俺が近くに寄ってみる。


「大丈夫だ。毒は無くなった」

「おおっ」


 と歓声が上がる。


 俺は出来るだけ接近し、探知を試みた。

 段々と探知の距離を伸ばしていき、スライムを調べて行く。


 むむっ、分かって来たぞ。

 魔力が発生しそこから周りに魔力が流れ始めている所、つまりスライムの根源と言うか中心核の様な所を発見するに至った。


 こんな場所が有るなら、ここをビームで打ち抜けば倒せるのではないだろうか。

 危険も無い訳では無いので、他の皆を下がらせると俺はレイガンを構えスライムの核に向け出来るだけ線径を絞った荷電粒子ビームを打ち込んだのだった。


 バシュッ!


 まばゆい光と共にビームが打ち出されえる。

 むう、なにも反応がない。

 失敗か?


 そう思って見ていると突然スライムはバッシャーンと音を立て流れながら消えていった。

 やったぞ倒した。


「おおおっ、救世主様がまたやってくれたぞお」

「ばんざーい、救世主様ばんざーい」

「では、この先に行ってみよう」

「おー」


 その先にはゴ〇ブリを大きくしたような醜悪な虫の魔物がいたが、俺たちの敵ではなかった。


 新しい剣は思い通りに伸縮するため、狭い所でも使いやすくどんどん魔物を切り裂いていける。

 先へ先へと進んでいくと、大キレツへと突き当たった。


 亀裂の向こう側にも少し上の方に穴は続いているが、亀裂の幅は短くなっているとは言え、8mから10m位は有るように見える。


 幾ら身体能力が上がって飛び越えられるかもしれない距離でも飛び越えるのは怖い。

 亀裂はまだまだ北に向かって伸びている。


「救世主様これを越えるのは無理ですな」


 うーんここも無理か。


 俺はこの場所を諦めかけている。


 しかし、その時、俺は閃いた。


 これ位長い木が次元庫に入ってるんじゃねと閃いたのだ。

 あちらまで届く木が有れば、橋を作るのは簡単だ。

 木の枝はすでに落としてある、15mを越える、次元庫内の最も長い木を俺は次元庫からあちらの洞窟にかかるように出したのだった。


「なっなんじゃそれは」

「この木を橋にしよう」


 そう言って、俺はレーザーで木の上の部分をUの字に彫り込み渡りやすくする。

 簡易に作った橋に飛び乗り俺は言った。


「さあ、向こうに行こう」


 彼らはお互いを見合い少し不安げに相談していたが、族長が俺に続き飛び乗って。


「皆、行こう。救世主様に付き従うのだ。我々が受けた恩は忘れまじ」


 勇敢な土竜族の男たちは、俺の作った橋を恐る恐る渡っていく。

 高い所は怖いんだな。


 それからも虫系魔物が幾らか出たが問題なく倒し、長い上り坂になっている洞窟を進むと出口へと到着した。


 ここは大岩山西側の麓辺りだな。

 俺はやっと兎鱗族の集落に帰れそうだ。


 山を登っていくと懐かしい兎鱗族の村が見えて来た。


「おーい」

「むっ、なんだあれは? おおっケンタ様じゃないか。おい皆に知らせてこい。ケンタ様が帰ってこられたと」

「よかったよかった無事帰ってこれて」


 伝令が一人住処に向かって走っていく。

 すこしすると。

 大勢の兎鱗族が走って来るのが見える。


「本当だケンタ様なの~」


 先頭はアイラだ。

 アイラの元気な声が聞こえる。

 心配かけたんだろうな。


「わ~ん、ケンタ様~心配したの~元気そうでよかったなの~」


 と泣きながら抱き付いてきた。


「おお~、ケンタ様だす」

「心配したでし」


 作太や咲女の声も聞こえる。

 プラムとホルンが見えないな。

 狩りにでも行ってるのかな。

 大勢が寄ってくる中、皆をかき分けて族長がやって来る。


「ケンタ様、無事ご帰還おめでとうございます。そこな者たちは?」

「ああ、キレツに落ちた先で良くしてくれた土竜族の方々だ。こちらが頭領のチック」

「そうか、俺は兎鱗族の族長ゾムンだ。よろしく頼む」


「チックじゃよろしくのう。しかし、なんで言葉が分かるんじゃ?」

「ふふふ、それは神の子たるケンタ様の奇跡だ」

「おお~、何か違うとは思っていたが神の子とは。ケンタ様。今までの失礼をお許しください」


 ぐすん、もう土竜族の皆にも、ケンとは呼んでもらえないのね。


「ああいいよ、そんなに固くならなくても、普通道りで」

「有りがたき幸せじゃ」


 こりゃあ何言っても無駄だな。

 しかし、ずっと洞窟だったので時間感覚が分からなくなってるな。


「ホルンやプラムは見えないが、狩りなのか?」

「それがですね、最近あちこちの集落に、鬼が現れる事態が発生していまして。見回りに出ているのです」


 えっと、鬼ってオーガだっけ。

 それは危険度がオークの比じゃないな。

 オークでも無茶苦茶強かったのに。


 グワラン、ガラン、グワーン


 大きな音が響きまわる。


「何だ、これは何?」

「鬼だ! 鬼が出たぞー」

「ちぃっ、こんなめでたいタイミングでーこなくそ」


 俺は右手で剣を抜き放ち左手にレイガンを握る。


「俺がやる。案内を頼む」

「いえ、ケンタ様。鬼はとんでもなく強い。我々にお任せを」

「いや、俺は強くなったんだ。もう皆より強い」


 そう言って体に魔力を巡らせ強化していく。

 そして、強化しきれない余剰魔力が体中から漏れ始める。


「おっ、おおお、おーー。凄い力だ!」

「ケンタ様! まさかこんなに! 凄いなの~」

「おお~濡れるでし~。漏らしそうでし~」

「キレツの底で強敵と戦い、死にかける思いをしてまで鍛えてきてきたんだー。行くぞ! 皆~」

「お~~」

「わしらも加勢するするぞ、ケンタ様!」


 心強い味方達と俺はオーガ()に向かって走り出した。

明日も投稿

「最弱の吸血鬼?が生き残るには?【最弱では死にそうなので毎日せっせとダンジョンに通い、最強になってしまったので悠悠自適に生きれる】」も連載中ですのでよろしくね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ