0028.で、ここはどこ
周りががやがやと異常にうるさいが、なんとなくだが理解できるようになってきている。
「めで***、やったぞ、もう***ぶだ」
これは、自動翻訳が仕事をしているようだな。
どうやら、スピリットの修復も終わったようで目覚めれそうだ。
それでもちゃんと目覚めず、頭に何か霞がかかったようでぼーっとするよ。
「いやっほー、らんらんらん、イエーイ」
俺が目を覚まし見たものは、俺より背が低いネズミの様な外見を持つ陽気に踊りまくっている奴らだった。
そう言えば土竜の様な種族が居たはずだ。
「おおっ救世主が目覚めたようだぞ」
救世主ってなんだ?
「おお~救世主様、ありがとうございます」
俺何したんだっけ。
起き上がってみるとそこは大宴会の最中だった。
これはお酒の匂い!
ここには酒が有るのか?
飲んでみたいな。
いや俺の体は子供だった。
無理はするまい。
ええっと、確か大キレツに落ちて、虫の魔物と激闘の末大ミミズを倒した?んだっけ。
もしかして大ミミズの事だろうか?
「誰か話が出来ますか」
「こいつぁーびっくりだぞ! 他種族と話ができるぞ」
そうだったな驚かせてしまったな。
「あの~なんで救世主扱いなんでしょうか?」
「そりゃあ、お前さんがあの双頭胴長を倒してくれたおかげで俺らの里が滅亡のピンチから救われたからだぜ」
「そうそう、あいつ俺たちの里に居座って無茶苦茶しやがって」
「そうだそうだ、思い出すだけで腹が立つぜ」
「よかった目覚めたんだねー」
「双頭胴長を倒してくれてありがとうよ」
「やったね、救世主様のお目覚めだ」
「何にしてもめでたい飲むぞーカンパーイ」
「カンパーイ」
「救世主様も飲めや」
「救世主様、踊ろうぜ」
「いや歌うんだよ! なっ救世主様」
「救世主様は今目が覚めたばかりなんだぞ! お前らは少しは気を使えや」
えっと俺話す間が無いや。
まだ、ぼーっとする頭には、彼らの高テンションがきつい。
「るるる~ららら~へいっ」
「めでたいぞ~、飲めや、歌えや」
わいわいがやがや。
騒がしくて陽気な奴らだなあ。
「すまんな、目覚めたばかりなのに騒がしくして。俺は頭領のチックだ。よろしく頼むぜ」
「ああ、よろしく」
「まあ、飯でも食えや」
「はあ」
出されたものを食べてみるとまるでゴムを食ってるみたいに固く、生臭い。
「これなんですか?」
「ああ、救世主様が沢山倒してくれた大ムカデだ。おかげさんで当分食料に困らないぜ」
ぶっ!
これムカデか。
「どうしたい? 救世主様が倒した獲物だぜ。遠慮するない」
ここにきてこんな物を食べないといけないなんて。
とほほ。
「ムカデは口に合わないのか? ならばこれは、双頭胴長だぜ。絶品だ! 食ってみな」
俺は恐る恐る口に入れてみると。
ふむ、イカの味に近いな。
まだ食える。
が生臭い。
こんな地下深くで火の扱いを教える訳にもいかんので、我慢して食べる事にした。
「なあなあ、お頭、救世主様も一緒に飲もうぜえ」
「そうだそうだ! 飲むと楽しいぜ」
「馬鹿、救世主様は我々より大きいが、たぶん子供だぞ」
そう言われると飲みたくなってくるのが世の常。
「俺も飲もうかな……なんてな」
「おお飲め飲め」
酒の入った器が口に押し付けられ少々口に入る。
余り美味しい酒では無かったが、頭はぼーっとしたままで久しぶりのアルコールの味と香りに理性が負けてグビグビと器の酒を自ら飲み干した。
「ぷは~!」
「いよう、いい飲みっぷりだねえ。飲みねえ、食べねえ」
いや、俺は江戸っ子じゃあないんだが。
アルコールの度数が高かったせいで一気に酔いが回り、一緒に歌ったりして騒いでいるうちに眠くなって寝てしまい、聞きたいことは何も聞けなかったな。
「おはよう、救世主よ調子はどうだい」
頭領の声で目が覚めた。昨日かなり飲んだはずなのに、二日酔いのふの字も無い。
快調な目覚めだ。
とても子供の体とは思えない。
「おはようです、チックさん、俺は田中賢太、ケンって呼んでください」
「OKケン、これからどうするね」
おお~初めてケンって呼んでくれる人に会ったぞ!
感激だ~。
「おい、どうしたんだいケン、涙を流して上を見たりして」
「いや、何でもないさ。俺は兎鱗族の大岩山に帰ろうかと思うんだが分かるかな」
「あの兎耳の体のでかい連中の所へか? ふむ、今は道が塞がっているから遠いぞ」
「どんな風に塞がっているんだい」
「双頭胴長の奴が洞窟を崩しやがった。見に行ってみるかい」
「ああ、よろしく頼むよ」
「任せときなって。おい野郎ども救世主様がお望みだ。いくぞー」
「おーー」
「へいへーい」
「おっもしれー、やってやらー」
皆それぞれに手を挙げ叫んでいる。
はっはっは、陽気な連中だなー。
ノリがいいぞ。
まさかまだ酔ってるなんて事ははないよね?
移動の途中であのカマキリと遭遇戦があったが、彼らはカマキリなど物ともしなかった。
俺はあれほど苦労したのに、自分の弱さにがっくりとするのだった。
「ここだ、この先に進めば大岩山方面に進む事が出来る」
「どの辺に出れるんですか」
「大キレツ南の切れ目あたりだが。他の出口は山の北側に通じているか、東側はキレツの中だぞ」
そうかここはキレツの西側なのか。
「キレツを越えて向こう側に行く穴は無いのかい」
「キレツは深く広いので越えられん」
キレツの底まで落ちた訳じゃあなかったのか。
「ここを掘り直すより、北側からキレツを迂回して東に掘った方がいいかなあ?」
「上に向いて掘るのは大変だぞ」
そうだったここはキレツの底じゃあないが、それでもかなり落ちた先だった。
『ねえ、ギガここから帰る最短ルートってわかる?』
『少し待て検討してみる』
その間にここの穴を開けておこうかな。
『ギガこの崩れた穴をビームで開けても大丈夫だろうか』
『大丈夫だ、やっておくといい』
「じゃあ、ここを直すよ。下がって」
「何をする気じゃ」
俺はハンドレイガンを構え荷電粒子ビームを崩れている洞窟に向かって撃った。
激しく光るビームがあっという間に崩れている部分を貫通し大きな穴を作る。
「な、なんじゃ、それは」
そう言えば、彼らが見るのは初めてか。
「これ程の力、やはり救世主様はすごい」
「お頭~、これほどの力が有るんなら、北東の穴の倒せずの魔物も倒せるんじゃあ?」
「そうじゃのう、あれが居るせいであの先がどうなっているか、我々にもわからんからな~。もしかしたら、東の山へつながる道もあるやもしれん。救世主様どうするね」
洞窟の中にも、あのスライムいるんだな。
「いいよ、倒しに行こう」
このまま南に出てもかなり遠いからねえ。
裂け目は北の崖の奥へと続いていたが、それほど深くはなかった気がするので、その北東側の道には期待がかかるな。
俺達は来た道をひきかえすことになった。
「しかし、救世主様はなんであんな所におられたんだ?」
「いやー、大キレツの下を眺めていたら、後ろから蹴り落されちゃった」
「救世主様はを蹴るなんて不届きな者もいたもんですな。でも我々には大きなプレゼントじゃったが」
「はははは」
俺は目をそらして苦笑するしかなかった。
いやしかし、あそこで蹴られるとは恨まれたもんじゃあるものだな。
誰だろうやったのは?
俺達は倒せずの魔物の所に向かった。
スライムが見えてきて思ったんだが、赤い。
色が違うぞ!
と言う事と洞窟なので全容が全く分からない、と言う事だ。
「今まで倒してきたスライムと種類が違うみたいなんだが」
「そうじゃのう、確かに洞窟の外の奴とは色が違うような気もするの」
「まあ、外の奴と同様にやって見ますね。何が有るか分からないので、後ろに下がっていてください」
なんとなく嫌な予感がしなくもないが、いつものようにマイクロ波ビームをスライムに向かって撃った。
いつもなら、ばふんとか言う音とともに消えるはずが、ぼこぼこと沸騰してきた。
『マスター、撃つのを止めてすぐ退避しろ。一酸化炭素が発生している』
えっ。
「退避! 退避だ。皆逃げろ!」
やばいやばい。
ギガの警告が無ければ皆分からない内にあそこで死んでいた。
「いったい、どうしたんじゃ。救世主様」
「毒の様な物が発生したんだ。逃げてなければ全滅だった」
洞窟に一酸化炭素って最悪じゃん。
どうしたらいいんだ。
『一酸化炭素を無毒化するには、三つの方法が有る。換気するか、燃やすか、触媒による吸着かだな。エネルギー不足により未だに使う事の出来ない技術の中には直接分解する方法も、そもそも発生させない方法もあるがな』
『で、どの方法が有効なんだい?』
『選択肢は触媒による吸着のみだな。他の方法は出来ない』
まあ、考えてみればそうだよね。
『今発生している一酸化炭素は吸着粉を撒けばいいだろう。今から作る』
『よろしく』
熱に強いスライムって反則だろう。
さてどうやって倒そうか。
腕を組み考え込んでみるが、浮かばない。
あのスライム弱点は無い物かと探知してみるが、この距離からではちゃんと探知できない。
もっと近寄る必要がありそうだ。
さて明日も更新できると思います
「最弱の吸血鬼?が生き残るには?【最弱では死にそうなので毎日せっせとダンジョンに通い、最強になってしまったので悠悠自適に生きれる】」も連載中ですのでよろしくね




