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0023.美味しい奴らの逆襲

「ブヒィ~」


 遠くから響いてくる鳴き声が聞こえる。

 悲壮感に染まった顔の部下からの報告を受けた。


「北からブーの群れが! 30頭位のブーが迫ってきています」

「なに~そんなにもか? 奴らが群れるなんて、そんな事が。くそっ、戦える者は全員準備しろ。残りは奥へ隠れろ。打って出るぞ」


 奴らが馬鹿でよかった遠くから大きな声で鳴きながら迫ってくるので先手が打てる。

 しかし、此方の戦力は100人前後だが全員が戦士ではない1/3は戦闘がそう得意では無い者たちだ。

 ワイなら1対1でも遅れは取らんが他の者は違う。

 上位陣なら2対1でやっと、一般戦闘員では4~5対1で辛勝と言った所だ。

 普段戦いなれていない者は何人で囲んでも勝てないかもしれない。


 厳しい戦いだ。


 たとえ勝っても、此方の被害は大きいものになるだろう。

 そして、住処の部屋に1頭でも入ろうものなら、戦えない子供らと妊婦は全滅するだろう。


 本当は狭い場所、住処内の狭い場所で迎え撃ちたいが、それではいつ中に攻め入られるか分からん。

 出来るだけ早く狭い場所に打って出ねば。


 こんなことも有ろうかと探しておいた岩場が通り道であることに気づきそこで迎え撃つことに決める。

 普段は全く群れないはずのブーがこんなに群れるなんて聞いた事がないぞ。

 ワイが少しでも多く倒さねば。


「少し先の岩が多い場所で奴らと戦う。そこまで急ぐぞ! お前とお前はここに残り入り口を死守しろ」


 住処の廊下に当たる部分に配置する。


 ここなら1頭や2頭くらいに回り込まれたとしても、2人でも少しの間なら戦えるはずだ。


 奴らより先に岩場へ着いた。

 ここなら6か所での戦いになる。


 ワイは急いで人員を振り分け鉄壁の布陣を引いた。

 上位陣を2人ずつ、戦士を8人と残りを後衛として全体に貼り付けた。


 これならかなり有利に戦えるはずだ。

 真ん中はわいと上位の1人シャンと戦士4人と後衛数人だ。

 これなら連戦も出来るはずだ。


 奴らは大きく、ここは狭い戦うなら1頭、2頭は難しいが後ろから手を出すくらいは奴らにも出来るだろう。


 そこを気を付ければ問題ない。


「ブブウウ~~~」


 近くに桃色の姿が迫って来た。


「やるぞう、みな死ぬ気で戦え」

「うおおおーー」


「ブウウウ」


 戦端は開かれた。


 ガキイン! 

 ドカ! 

 ボーン! 

 バカッ! 


 すさまじい音が鳴り響き、戦闘は拮抗しているが予想通りの展開だ理想的と言ってもいい。

 これなら、さほど被害を出さず勝てるかも。


 そう思っていたが、奴らの後ろにデカい! 

 奴らもデカいが普通のブーより1.5倍はありそうな茶色いブーが見えた。


「なっ何だあれは、あんなのは見たことも聞いたこともない」


 茶色い奴は周りの岩を砕きながらこちらに迫ってくる。


「なんの、負ける物か」

「ブウウウーーー」


 変哲もない鉄拳。

 しかし。


 ガッキイイン! 


 奴の一撃を石斧で受けたが。

 わいの石斧が砕けた。


「ブウウウウ」


 ボコオッ


 返してくる奴の拳を肩で受けたが自慢の鱗が飛び散り、跳ね飛ばされた。


 シャンが向かっていったが。


「ブウッ」


 バカーン


 拳一振りでぶっ飛ばされた。いかんこいつには勝てねえ。

 次々と跳ね飛ばされる仲間を見て。

 くらくらする頭でも分かる。

 わいは負けを悟った。


 ボヒュウム! 


 変な音とともに、奴の、茶色い奴の頭が消えた。

 それだけじゃない奴の後ろの数頭の頭も消えた。


 いったい何が?


 首のあたりが黒く焦げていて。


 ズッズーン


 奴らは倒れていった。


 周りのブーは訳が分からないようでキョロキョロと周りを見ている。


 ボヒュウム 

 ボヒュウム 


 何度も連続する音に合わせブーの頭が消える。

 ブーは20頭近く倒されたように見える。


 ブーが敵の存在に気づき後ろに数頭向かっていくと。


「ワーーー」


 奴らの横から数人の兎鱗族が飛び出してきた。

 数頭のブーを圧倒している。


 おお皆強い。

 先頭のやつはワイにも勝るとも劣らない。

 これなら勝てる。


 安心したら、ワイの意識は遠くなっていった。


 ****


 盛岩の連中と別れ魔物を倒しながら進んでいると、切り立った大きな崖のある岩山が見えてくる。


 この辺りにスライムはそう居なくてゴブリンが多い。

 見つけられないだけの可能性もあるが。

 盛岩から離れると見つけ難くなっていって遭遇がめっきり減っているのは確かだ。


 討伐隊はどんどん崖の部族の住処に近づいていった。


 ブウーーー、鳴き声が聞こえた気がする。

 崖の方向だ。


「族長」

「うむ、あれはブーの鳴き声だな。しかも1頭で鳴いている様では無いな。これは大変なことになっているかもしれない。ヒンス前方を重点的に探知だ。皆急ぐぞ!」


 ブーって確かあの美味しい奴だよね。

 鳴き声から想像するに豚いや大猪とかオークかな。


 名前からも少しは予想できていたけどね。

 皆の緊張具合から手強い奴だと俺にもわかる。


「ぬう、数が多い! 30頭以上は居ますよ、族長」

「奴らがそんな多くで群れる事なんて普通は有りえん。いったい何が起こっていると言うのだ?」


 俺は新しくギガに作ってもらったハンドレイガンを出して準備した。

 このレイガンは手の平に収まるほどの大きさの小型レイガンと違って、オートマグナムより一回り大きい位なのだが軽い! まるでプラスチックの玩具だね。


 照準システムが視界に直接表示され、止まっている物なら外す事の無い親切設計だ。

 レイガン本体をグリップから前に伸ばすことが出来、伸ばした本体の方向を自由に変えれる。


 つまり隠れて手を物陰から出すことなく相手を狙える安全設計だ。

 いいね、こんな機能欲しかったんだよ。


「ブーってどの位の強さなんですか?」

「ワシでも1対1で戦うのがやっとだ」

「おいしいなのー」


 なるほど、族長が30人居るようなものか! 

 えっ、それって不味いんじゃ。

 族長が本気で暴れたら止めれるのってホルンぐらいしか。

 後は各部族の族長クラス位。


 アイラ、この状況でもしかして奴らの味?


「族長、相手があまり動いてなく乱戦でないのならこの銃でやれます」

「ケンタ様、ありがとうございます。そのような状況ならお願いいたします」


 まるで、グランドキャニオンのミニチュアの様な場所までやって来た。


「どうやら、この向こうで戦闘が始まっているようです」

「狭い場所で迎撃か、いい場所が有ったものだな」


 ガキイン! 

 ドカ! 

 ボーン! 

 バカッ! 


 奥の方から戦闘音が聞こえてくる。


「ケンタ様、ここでなら奴らはそんなに動けないはず。ワシらは横に回り込むので。銃で出来るだけ奴らを減らしてもらえますか」

「分かった。そうしよう」

「ファンとヒンス、アイラ、プラムの4人はケンタ様とともに。他の皆はワシと行くぞ」

「オウ~」

「ファン、ワシらにもしもの事が有れば、ケンタ様を連れて逃げろ。いいな!」


 こくんとファンは頷いた。


 岩の陰から低い姿勢で銃先だけ出して戦闘を確認すると。

 後ろ姿からオークだなあれはと思う。


 しかし、1頭だけやたらデカく周りと色の違う奴がいる。

 あれが世にいうオークキングとかユニークモンスターとか言う魔物なのかもと思う。


 奴に照準を合わせよう。


 レイガン本体がクイッと自動で向きを変え照準を合わせる。

 足を止めての殴り合いなのかあまり動かないので狙いやすい。


 線種をレーザーとし、ついでに被る個体にも当たるように射線を決め、引き金を引いた。


 ボヒュウム


 数頭の頭を蒸発させた。


 ボヒュウム

 ボヒュウム


 とどんどん撃っていく。


「奥へ隠れてくださいケンタ様」

「私が前へでるなの」


 あ、最後尾の奴がこちらに気づいて、何頭か誘い向かって来ている。

 がそこに族長たちが猛然と襲い掛かった。


「ワーーーー」

「うりゃー」


 ゴンン! 


「そりゃー」


 ドオオン! 


 皆大活躍だ。

 迫力あるなー。


「ブ、ブギ~!」


 ドスウウン 


 最後のブー(オーク)が倒された。


「やったぞ~!」

「勝ったのか俺たち?」

「うおお~!」


 族長たちの援護もあり、戦闘は程なく終了した。


 皆手を振り上げ大喜びだ。


「いや、ケンタ様大活躍でしたな」

「族長たちこそすごかったよ、皆無事でよかった」

「さすケンタ様なの」

「ケンタ様ささ、こちらでお休みください」


 プラムはその辺の石に俺を座らせるのであった。


「族長、族長」

「うん、・・・ワイは?・・・そうか、生き残れたか。手を貸してくれ、起き上がる」


 戦士の手を借りながら不自由そうな体で立ち上がる。

 どうやらあれが、この部族の族長っぽいな。


「カラム族長久しいな」


 族長が前に出向いていく。


「お主は? ゾムン族長か。そうか、大岩山の方々が救援してくれたのか。ありがとう。この恩は必ず後で返す」

「手ひどくやられた様だな」

「ああ、まさかあんな化け物が居るとはな。想定外だった。……そうだ、あの化け物の頭が消えたのは何故だ? お主分かるか?」


「分かるとも! あれはな、ここに御座す(おわす)神の子ケンタ様の御業成り」


 崖の部族皆の頭には一様に?マークが浮かびその場は変な空気感に包まれた。

きっと明日も投稿

「最弱の吸血鬼?が生き残るには?【最弱では死にそうなので毎日せっせとダンジョンに通い、最強になってしまったので悠悠自適に生きれる】」も連載中ですのでよろしくね

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