0020.超巨大
俺が死んだ母さんを思い出してちょっとセンチになっていると。
「おはようなの、ケンタ様」
顔を若干赤くして照れたアイラ可愛い。
「おはよう」
「おっ速いねケンタ様、おはよう、昨日はよかったわよ」
プラムが耳元で囁いた。
俺も真っ赤になっているのだろう。
心臓がドキンと跳ねる。
「おっおはようプラム」
「おはようございますケンタ様」
「おっはー」
「おはようです」
「おはよう、昨夜はお楽しみでしたね、うふふ」
「あはは、おはよう」
他の皆からも声をかけられる。
うれしいな~勘違いしそうだよ。
野営場所の撤収作業が進められるので手伝おうとしたら。
「ケンタ様は見ていてなの」
と言われた。
族長がやってきて
「今日は森を出てスライムが居ると思われる箇所を通り、他の部族の居住地へ行きます。その時は頼みますぞケンタ様」
へー森を出るのか。
「皆そろそろ出るぞ、ケンタ様これらを次元庫へお仕舞下さい」
椅子やら机やらが増えた備品を次元庫に仕舞うと、昨日の隊列で出発した。
しばらく進むと、森と草原の境に出た。草原と言えば広々とした緑の絨毯の上に広がる青い空を想像していたが、全く違っていて背丈の倍は有りそうな草が生い茂っていて立ち塞がる草しか見えなかった。
「草原には毒蛇などが居て危険だ。我々には毒蛇の牙など刺さらぬが、アイラとケンタ様は違うので皆警戒しろ」
ひえーそりゃそうだよね。
しかし、皆は牙刺さらないほど強化できるんだね。
隊の編成は変わらず先頭が草を切り払いながら進んでいく。
前の5人は本当に疲れ知らず、すごいや。
ばっと草原が切れたのが見えたら、先頭の5人が飛び下がってきた。
「ケンタ様スライムです。お下がりを」
皆で10m程後ろに下がった。
えっスライム何処?
見えるのは茶色い不毛の大地。
「くそっ。こ奴、此処まで広がっていたか」
よく見ると茶色い台地はぬめぬめと揺れて鈍く光っていた。
げっ、ここから見える光る茶色全てがスライムか?
薄く広がって海のようだ。
「ケンタ様あれに踏み込むとあっという間に取り込まれて息を止められ殺されます。脱出は至難の業です」
こんなのレイガンで倒せるのか?
誰だスライムが最弱なんて言ったやつは。
ギガに聴いてみるとここからスライムに向かって打つと、最大偏向で縦3km、横1kmの楕円で撃てるらしい。
「ケンタ様お願いします」
俺はレイガンを構え縦2km程の偏向と10cmほどの厚さを想定して撃った。
ポシュウ
マイクロ波ビームが当たった範囲からは白い湯気が上がり消滅。
切り離されたスライムも消滅した。
消滅しなかった残りのスライムは後退を始めていた。
『マスターレイガンのエネルギーは残り30%だ。満タンまで4時間程』
『ありがとギガ』
「族長、次はすぐに打てない。時間を稼ぎたい」
「分かりましたケンタ様、まずは撤退するスライムを追いながら様子を見ましょう」
撤退する姿をよく見ると10cmも厚さは無いな。1cm以下かもしれない、エネルギー余分に使っちまった。
「スライムについて詳しく教えて」
「ふむ、ケンタ様、奴らは3mくらいまではすぐ育つのだが、そこからはなかなか育たないようで、今追っているスライムなどは伝承によっても、昔からこの地に広がっていると伝わっているのです。殴ったり切ったりの攻撃は効きづらいので、倒すにはまだ小さいうちに見つけて殺すしかなく、また何も考えて無いようで、気配が薄く発見が難しい厄介な魔物です。捕まれば段々溶かされて死ぬか、窒息で死ぬかと言う無残な最期が待っています。昔大人数で切り刻む方法を試した者たちがいると聞きますが失敗したと伝承されています」
なるほど聞けば聞くほど厄介な魔物なんだな、どんどん大きくならないのが唯一の救いの様だ。
此方が歩くよりもスライムはかなり遅いが、段々厚くなっていってる。
うん?なんだ他に声が聞こえる。
「+++++++」
何を言っているのかは分からない。
皆耳がスライムの方に向いていて気づいてないようだ。
「族長、あちらの方に誰かいる」
「む、誰かだと」
族長はその方向を向き耳も向けた。
「確かに何者かいるみたいだな」
「ヒンス、あちらにも警戒を頼む」
「了解、敵意はなさそうに感じるな」
「さすがは、ケンタ様鋭いですな」
「さす、ケンタ様なの」
さすケンタって、アイラ何処で覚えた?
「あい++は、なに+++」
おっ何と無く分かり始めたぞ、さすがは自動翻訳能力。
存在を忘れてたよ。
そうこうしている内にスライムの中心らしきところがこんもり盛り上がって来た。
が盛り上がり切れない感じに見えるな。
盛り上がり切れなくてもビルのようにデカい。
奴は盛んに触手の様に体を伸ばしてくるがここまで届かない。
「へっ、あいつ届かねーことがわかんねーんでやんの。必死で伸ばしてくるぜ。くすくす」
「スライムも丸見えだと全然怖くないのね」
「ふむ、ただのでくの坊だな」
「これでも、気配は少ないな。本能のみで動いているのだろう」
「あそ・++・いる・++・兎鱗族・++・++・どうやって・+++」
皆の声に混ざって、つけて来ている奴らの声も聞こえる。
でも今はスライムに集中しないとな。
奴らはヒンスに任せておいていいだろう。
『マスター、あのスライムを倒せる量のエネルギーのチャージが終わった』
『了解、ありがとう』
「おい・長・を・呼ん・で・くるだ」
おっ中々分かるようになってきたぞ、そうか長を呼ぶのか。
もう少しチャージしてから撃つかな。
すごい速度で1人離れて行くのが遠くに見える。
20分ほど待って撃つかな。
そのくらい待てばレーザーを何回か撃てるだろう。
「族長撃ちます」
「よろしく頼みますぞ、ケンタ様」
俺はレイガンを構えスライムを倒せる大きさと威力を想定し引き金を引いた。
ボッヒューーンと大きな音とミニキノコ雲を残して巨大スライムは消えていった。
切り残された部分もバシャっと音を立て崩れて消えた。
討伐完了だ。
『マスター、今回の様な敵がいるようでは今の小型レイガンでは対応が難しそうだな。少し待て。エーテルも順調に採取出来ているので、レギュラーサイズのハンドレイガンを異次元接続庫に作り入れておこう』
『たのんだよギガ』
『マスター、剣の方は長剣を扱えそうか?』
『いやーまだ自分切っちゃいそうだ』
『なら剣は、また後にしよう』
「ひえー魔物が消えただ。どうすればええだか」
おっ、はっきり聞き取れるようになったぞ。どうやらパニクッているみたいだが。
「おお、やりましたなケンタ様。退治できず。どのくらい前から居座っているか分からないレジェンド級の魔物を、消し去るとは。さすがです」
「さす、ケンタ様なの」
ああ君それ気に入ったのね。
「族長、後問題なのは後をつけてくる奴らだの」
「ふむ、そうだなワシらと同じ種族じゃ無いようだしな」
「言葉が通じないぜ、きっと」
「あの、言葉なら俺分かりますよ」
「おお、ケンタ様、その時はよろしく頼みますよ」
「ケンタ様、こちらへ」
俺はプラムの後ろから覗いていた。
遠くからまたもやすごいスピードでこちらに向かってくる一団が見える。
うん、四足で走ってくるね、と言うことは熊犬族かな。
彼らは合流し15人程度になりこちらへ向かってきた。
彼らの中からひときわ体のでかい奴が前へ一歩出て言い始めた。
「「オデは、オデらの部族の長だ。お前ら、あの魔物をどうしただ」と言ってますよ族長」
以下ケンタ訳済み。
「あれはワシたちの神様が倒した」
「神だなんて、そっただこと言って誤魔化すんじゃねーど」
「今言葉を訳して下さっている。この方が神様の子ケンタ様だ。彼にかかればあんな魔物なんてお茶の子さいさいだ」
「そっただこと信じられっけ、証拠を見せるだ」ケンタ訳ここまで。
「ケンタ様あそこの岩、溶かしていただけますか?」
「分かったよ」
「では合図しますので、それからお願いします」
族長はあそこの岩を指さしながら。
以降ケンタ訳。
「分かった、ではケンタ様にそこの岩を溶かして力を示していただこう」
「そっただ事できっこねーべ、下らん事言うな」
「出来たらどうするね」
「できねーべ」
少しの間、睨み合った後
「らちが明かない。岩を溶かしてみせるぞ。ケンタ様お願いします」
俺はレイガンを構え岩がゆっくり溶ける様を思索しレーザーを放つと、岩は真っ赤に燃え上がりドロドロと溶岩になり流れ広がった。
「とっ溶けただ! いや、そっただ事あってたまるか。しょ勝負だ、オデと一対一で戦い勝てたら信じてやるだ。オデは豪熊森林の長、ゴンだ」
「ふっ往生際が悪い、良かろう。ワシがやってやる。ワシは大岩山の族長、ゾムンだ。ケンタ様、棒を2本出してください。ほら、この棒を使え」
俺は初めて住居のある山の名前を知った。
対外的に用が無いと地名なんて要らないよな。
「いっ今棒をいったいどっから……棒なんていらね、素手でいくべ」
「ならワシも素手で行くぞ」「なめやがって、吠え面かかせてやんべ」
ケンタ訳ここまで。
やってられっか。
後は好きにしてくれ。
明日も更新!
「最弱の吸血鬼?が生き残るには?【最弱では死にそうなので毎日せっせとダンジョンに通い、最強になってしまったので悠悠自適に生きれる】」も連載中ですのでよろしくね




