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0013.アイラ

「ケンタ様、少しお話があるのだがいいだろうか?」


 朝一番、族長が声をかけてきた。

 いったい何だろうか? 俺なんかしたか?


「おはようございます。族長さん」


 にっこり微笑んで言った。


「うっ!」

「それで、何かあるんですか?」

「ケンタ様に倒せずの魔物を倒していただいたので、その感謝を込めましてお世話係を一人ケンタさまのおそばに控えさせようかと思いまして。そのお傍付きを選ぶのにご一緒していただければと」


 おや、今までホルンがお世話係かと思っていたが? そうだなあれは護衛兼師匠と言った方がいいのだな。


「うん、わかったよ」


 と俺がほほえむと


「うっ!」


 最近、皆俺がほほ笑むと“うっ”とか何とか言ってしかめ面になるのはなんで? 

 族長もなんだが男は腰が引け、なんだか前かがみにもなるんだが? 


 確か子供っぽく振る舞い始めてからだよね。

 そんなに嫌な笑顔なのかね、


 嫌なほほ笑って想像が難しいわ! 

 セルフ突っ込みをしながら、おちこむわ~。


 もしかしたら笑いをこらえているのかも。

 そうだよないきなり子供っぽく振る舞うのだから。

 だが気を取り直そう。


 なんとあなたお世話係ですよ! 

 傍付きですよ。


 女のっ子だといいな~女のっ子だといいな~女のっこだと、あ~んな~ことや、こ~んなこっとが、いっぱい、でっきるっかな~でっきるっかな~♪


(ふむ、ケンタ様のご機嫌は上々だな。よかった。)


 ルンルン気分になって、族長についていくとたくさんの女性が集まっていた。


 彼女たちの前に少し高いところがありそこに族長と登って行った。そこには普段見ない子供の姿も見える。

 どうやら普段は俺から隠されていたようだ。


 もしかしてロリコン疑惑をかけられて……いや俺今どう見ても10歳から12歳くらいの子供なんだが。

 それに彼女らは子供に見えても体の胸部装甲と臀部装甲はとてもでかかった。

 大人程ではないが。


 なんでこんなに集まっているの? 

 一人お世話係を紹介されるんじゅあ無いの? 

 そう言えば? 

 選ぶって言ってたっけ。


 てへっ。

 まさか、好みの女性を選ばせてくれるの? 

 ふふふどうやって選ぼうか? 

 より取り見取りじゃ!


「この度、神の子であらせられるケンタ様は我々では倒しえなかった“殺せずの魔物”を討伐成された。その功績をたたえ、この中からケンタ様のお世話係を選定したいと思う。我と思うものは手を挙げよ」


 へっ? 

 何言ってんのこのおっさん!


 俺は恐る恐る周りを見回してみた。


 大勢いるのに誰も手を挙げていない。

 泣きそうなのを耐えながら見回し続けた。


 いや、一人だけ手を挙げている子を見つけた。


 ありがとう俺は君に救われる。


「今手を挙げた女、名前と年を言え」

「はい、僕はアイラ。13歳です。今は夜の子守をやっています。子守は続けたいので夜は子供部屋でもいいですか」


 おお~僕っ子だ。


(むっなんだあの娘は異常に色気がない。ケンタ様に喜んで戴く為の傍女なのにあれでは)


 族長の目が一瞬泳いだのが分かった、が。


「他には、いないか?」と少し見回して。


「ふむ、仕方ないな! アイラお前は夕食前までケンタ様の世話係をしその後子守にもどるように」

「はい、それならいいです」


 その時女性陣の中の数名の表情が、一瞬“ニチャ~”と笑ったような気がした。

 背筋が一瞬冷たくなった。


 おっ俺はいったい何に巻き込まれているのだろうか?

 女性陣の方が水面下の権力争いは激しいと聞く。

 これもその一環なのだろうか?

 とても闇が深そうだ、恐いよ。


「ではアイラこちらへきて、ケンタ様に挨拶をしろ」


 こちらに向かってくる彼女は、周りの女性とちょっと違っていた。

 背は高く筋肉隆々なのは同世代っぽい子達とそう変わらないが、肩幅は狭く、胸も尻も装甲が薄かった。


 でもCカップかDカップくらいはあって、日本人の同世代よりはボンキュッボンには違いないが、この種族では華奢すぎる位な子だろう。


 狩猟班員以外は水浴びすることもなさそうなので、髪はボサボサで顔も汚れていて分かり難いが、かわいい感じがした。

 他の方々は知っている限りでは好戦的でキツイ印象の顔立ちだね。


「はじめまして、ケンタ様。僕はアイラです。どのくらい役に立つかはわかりませんが。傍付きとして誠心誠意、お仕えしたいと思っております。末永く傍女としてお引き立てのほどよろしくお願いいたします」

「末永く?」

「はい、末永くでございます。もちろん、ケンタ様が此処に居られるのは、一年であられることも知っています。が、もし僕のことをお気に入られれば、そのまま連れ帰っていただいても構わないとの決意を表明させていただきました」






 そう、末永くなの。


 僕は皆と違う、そう感じたのはいつの頃からだっただろうか?

 別に仲間外れにされるとかそんなことは無くて、今は子供部屋で楽しくやっているの。

 でも男の人の見る目が皆と違うの。

 僕のことはぞんざいでまるで居ない様に扱われるの。


 でも僕も悪いの。

 僕には皆の言う力強い筋肉、野性的な顔つき、それらがかっこよくて素敵と言うのが分からないの。

 とにかく暑苦しくてうざったく感じるの。

 近くにいるのが耐えられないほど嫌なの。

 だから僕も男の人にそっけなく対応するの。


 なので同罪。

 あまり子供部屋から出ることのない僕だけど水くみの時に偶然ケンタ様を見かけたの。


 他の皆は、“ケンタ様は華奢で貧相なのでとても見てはいられない”と言っていたなのが、里にいる男共とは全く違うすらっとした体形、美しいお顔、まるで何かに全身を撃たれた気がしたなの。


 僕はこの里ではきっとうまくやっていけないなの。

 だから末永くなの。






 えっ何? この重たい子。

 困ったなー。


 でも彼女だけなんだな俺のことを思ってくれているのは。

 これは大事にしなくちゃね。


「そそうか、末永くは分かんないけど、とりあえず仲良くやろうね。それから、そんなに固い話し方しなくていいよ、普通に接してね」

「はい、ケンタ様、分かったなの。末永くしてもらえるよう頑張るなの。改めてよろしくお願いなの!」


 彼女はにこやかに飛びよるとうれし気にがばっと腕に抱き着いてくる。


 おっと! 彼女は距離の詰め方がすごく早いな。

 明るくていい感じだな。


 腕に押し付けられぐにゅっと圧し潰された柔らかな胸の感触が拡がる。


 初めてあじあうその感触に童貞の俺を刺激しむくむくっと元気になって来そうになったが、ぷんっと強烈な生臭い匂いが鼻を突いたため、すんっと萎えてしまった。


 これは何と言うか、いかな美少女でもこれほど汚れていれば、その、いろいろと残念である事が分かったのだ。

 なんてこったい。


 そういえばここに来てこんなに人と接近したのは彼女が初めてだったことの気付き少しげんなりとした。


「では、ケンタ様のお世話係も決まったことだし、集まってくれた皆はご苦労だったな。解散して仕事に戻るように」


 族長の言葉を聞くと皆潮が引くみたいにさあっと解散していく。

 なんだか寂しいな。



『ねえ、ねえ、ギガ~、母艦まで付いてくる気満々な子がいるんすけど、その辺りどうなんすか?』

『幾らか決まりが有るが、それさえ守れば副マスターは何人でも登録できるので大丈夫だ』


 何人でもって、ギガってもっと秘密主義で排他的だと思ってたよ。


「じゃあ、今日の狩りからアイラは一緒に行くの?」

「そうだな、アイラ今日からケンタ様のお世話するのは大丈夫か?」

「えっと、子供部屋で確認してきますの」

「ではケンタ様狩りの時間までごゆるりと」


 族長が一礼して去っていった。

 時間が少し空いたので俺が魔法の練習を始めていると、アイラが帰ってきた。


「お待たせなの、ケンタ様。僕今日から一緒に行動するの。それでケンタ様は今何をしてるの?」

「今は魔法の練習をしてるんだよ」

「魔法?」

「ああ魔法だ。そう言えばそんな概念無いんだっけ……」


 俺はアイラの目をじっと見ながら言った。


「これから教えるのは秘密だよ」

「はい、ケンタ様! 誰にも話しませんの」


「そうだな、皆知らずに使ってるのだが、族長や次長が戦闘の時、突然目に追えないほどの速さで動いたり、信じられない重さのものを持ち上げたりするのを見たことがあるかい?」

「あるの」

「その時に使ってるのが身体強化と言う魔法なんだ。他にもいろいろ不思議な事が出来る技術、それが魔法さ」


「すごい、すごいこと知ってるの、あれは皆どうやってるかよく分からないって言ってるの、何と無くできるんだって言ってたなの」

「へ~そうなんだ」


「僕にも魔法使えるの?」

「使えるよ。習得は難しいけどね。我もまだできないし」

明日も投稿するよ

「最弱の吸血鬼?が生き残るには?【最弱では死にそうなので毎日せっせとダンジョンに通い、最強になってしまったので悠悠自適に生きれる】」も連載中ですのでよろしくね

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