0012.池を目指せ
ここ野人の惑星に来てから、15日程たった。
俺と野人たちの関係は改善も無ければ悪化もしない。
うまいことこんな関係を一年間維持できればいいな~。
ただひたすら汚くは成ってきているので、垢とかはかなり溜まっているかもしれない。
母艦での洗浄が恋しい。
そうだな、変わった部分をあえて挙げるなら、ホルンや他の男どもと朝とか夕方とかに時々、棒をもって手合わせをしてもらっている位だ。
この体こんな子供みたいな見た目だがパワーも反射速度もかなり高く、付いて動くことは可能だったが戦いの経験が違いすぎてそのものずばり子供扱いされている。
ま~ホルン達の方が身体能力も上なんだけどね。
ホルン達と訓練をしない時は見つかり辛そうな所で魔法の練習かレイガンの練習に充てている。
なかなか上手くは出来ないが、少しずつ手ごたえを感じている。
ここにいる約束は一年なので実権を奪う云々は、それを超えても居座ると発生しそうだが、それまではさほど影響はないだろうと考えている。
女性の視線はずっと冷たいままなので、女性の関心云々も大丈夫だろう。
泣いたりなんかしないんだ。
これでいいのだ。
そして、ゾムンとホルンの関係もわかってきた。
戦闘力は模擬戦で7:3の勝率なので圧倒的差ではなく、ゾムンが少し強いようだ。
二人とも他の男たちには一敗もしないのでかなり強い。
実はホルンの方が年上で元族長なんだそうだ。
模擬戦でゾムンのほうが強いと認めた時に族長の座を自ら譲り次長に収まった。
違うのは性格で、ゾムンは野心家で幅広い視野を持っていて柔軟だ。
政治家に向いてそうだな。
ホルンは強さにこだわる堅物で視野もゾムン程広くないがさっぱりとしている。
ゾムンはホルンを尊敬し頼りにしてるみたいだった。
そして二人は過剰なまでに俺に対して過保護だ。
とてもギガが怖いのだろう。
よくわかってるなー。
「お~い!狩りに出るぞ~」
ホルンが呼んでいる。
「はーい」
俺の答え方がまるっきり子供だ。
俺は神っぽく振る舞うのに無理を感じて、子供として保護してもらう作戦に変更していたのだ。
ギガと相談して決めたのだ。
『ねえ、ギガ俺威厳なんて出せないのだけど、子供として振る舞うのはどうだろうか?』
『そうだなマスター精神年齢はどうしても外見に引っ張られるので、その方が安全かもしれないな。子供の姿にしか作ることができず迷惑をかける』
といった会話があったのよ。
ま~大人の姿でも威厳とは全く係わりのない性格だったと思うのだけどね。
「ホルン、今日はどのあたりへ行くの?」
「今日は少し遠いが北の大きい池の辺りまで行ってみようと思う、そう言えばあの辺りに行くのは初めてだね」
「池に行くの? うれしいな。水浴びってできるの?」
「ああ出来るね。季節がらもいいし皆で浴びよう」
「やったー!」
俺は無邪気に喜んで見せ、ホルンはあきれ顔だ。
演技だとばれてるよねこれ。
皆が集まってきたので出発だ。
ちょっと遠くに行くので人数がいつもより多い16人。
獲物を狩ったら出来るだけ急いで住処に持っていくためだ。
何故かと言うと、住処で血抜きをやっているのだ。
運搬係は戦闘には参加しないが重要な仕事、足が速くて力もあるが戦闘は苦手に近い人たちがやっている。
要は戦闘に必要な意思の疎通や周囲の気配探査などの外部エーテルへの関与が苦手な人が多い。
そして俺のことが嫌いな人が多くいて、よくにらまれるのだ。
今も獲物を運びながら俺をにらんでいった。
そりゃ俺は虎の威を借る狐でしかないから気に入らないのは分かる。
けどそんなに怖い顔しなくたって、ねえ。
「ぬっ、森の様子がおかしい」
急にホルンが周りを見回して語気を強めていった。
皆の耳がせわしく左右に動く。
「うわ~化け物だ~」
さっき運搬係が行った方からだ。
確かによくない気を感じる。
そう、気を感じるのだ!
魔法の練習をしていたらだんだん周囲のエーテルを感じれるようになってきてかなり感動を覚えたのである。
そのエーテルが発する感情のような物もなんとなく感じ取れ、それがホルンの言う気だと思う。
皆で声のする方へ駆けていくと、3mくらいありそうな巨大スライムが見えてきた。
「これが魔物だ! ケンタ様はここより近づかない方がいい。皆はそこの二人を避難させろ! 俺が出る」
見ると、運搬係の二人が腰を抜かして座り込んでいて、運んでいた獲物はスライムが捕食し始めていた。
捕食された獲物がだんだん溶かされていくのが見える。
うええ気持ち悪い、吐きそうだ。
ホルンが石斧を構えてゆっくりと近づいているとスライムが触手のように体を伸ばし始めた、ゆっくりと、どうやらスライムは動きが鈍いらしい。
ホルンは気合を込め石斧で触手を切断した。
切られた触手は地面に落ちジュワッっと地面を溶かし水のように広がり動かなくなった。
さすが最弱魔物のスライム。
これなら簡単に倒せるんじゃね、と思って見ていると、ホルンが石斧で滅多切りにし始めた。
スッとホルンがバックステップし距離をとりスライムを見た。
スライムのずたずたに切られている跡がスウウっと塞がっていくではないか!
「くっ、この魔物はやはり倒せないね。こんな魔物がいるようでは池にはもう行くことは出来ん」
へっ? スライム倒せない? 池にはもう行けない?
そんなことは許せない。
絶対水浴びするんだ!
「我にも攻撃させて、近づかないから」
「それ以上近づかないのならやってみろ」
「はい」
俺はレイガンを構えレーザーでスライムを撃ってみたら、なんと透過するのかまるで効かない。
外したのかとも思ったが、さすがにほぼ動かない3mもの的はこの距離で外さない。
荷電粒子ビームだと火事になりそうだしエネルギーがすぐなくなる。
俺は焦った。
しかし、俺は考えた。
ギガに聞こうかと思っていると一つ思い出した。
奴は液体なので熱することができる。
マイクロ波ビームを中ほどの威力で全体に照射してやると、ボムっと音を立て白い水蒸気を大量に振りまき消滅した。
少し過剰だったようだ。
「やった!」
皆何が起こったのか分からないようだった。
だが、スライムが居なくなっていることに気づきだして。
「おおおお!」
「すげー!」
「神の子って本当だったんだな!」
「いったいどうなったんだ?」
大騒ぎになった。
ここだ、ここでどや顔だ!
どや。
全力でどやする男がここにいた。最弱の魔物スライムを倒してどやする男がここにいた。
それも、レイガンなどと言うチートを使ってどやする男がここにいた。
いや、やってみたら恥ずかしいはこれ。
もう二度としない、たぶんだが。
しかし、スライムって大きいと強いんだな。
小さいとホルンならバラバラにして殺せそうだが、大きいと物理攻撃が効かないので魔法をある程度まで扱えないと、まったく倒せないよ。
皆が喜んでいるように見えたが一部違っていた。
運搬係の連中はあまり喜んでは無い者が多いように見える。
特に助けたはずの腰を抜かしている二人は怖い顔でにらんでいた。
なんでや~怖いやろ、にらむのやめて~な。
すこし、やりすぎてしまったようだった。
まさか、恨みを買うとは。
その後、予定通り池まで行った。
水は思ったよりきれいだった。
詳細は内緒だ。
ただ言えることは狩り部隊は男女混合で奇乳もちちそれだけだ。
とても良かったと追記する。
それと皆の髪の色(耳もほぼ同じ色)が判明した。
黒から薄い茶色とばかり思っていた。しかし、黒も多かったがホルンは金髪だったし、白や赤、薄ピンク、薄紫など実はカラフルだった。
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「ホルン今回は大変だったようだな?」
「ああ、まさかあんな所に殺せずの魔物が現れるとはな。中々に緊迫したね」
「あの魔物は気配を殺して近づいてくるからな。とても厄介な奴だ。しかしあれを殺すとはさすが神を名乗るだけの力が有ると言う事か」
「ケンタが持ってる道具が強いだけに見えるね」
「あの腰につけてるやつだな。ふむ、お前からあれを誰にも取られないように注意を喚起してもらえるか」
「分かった。あとな、運搬係の連中がなケンタ様の事が気に入らなくて眼を付けてるみたいなんだね」
ふむ、お前がそれを言うか?
それは罪なことだな。
しかし、さしものホルンでも自分のことにはなかなか気づかないものだな。
「ワシには奴らの気持ち分からんでも無いが、ケンタ様に何か不都合を出すわけにはいかん。いつ父親が出てくるかわかったもんじゃない。他の信用できそうなやつらにも声をかけてケンタ様を見守らないとな。しかし、助けて恨まれるでは、いかにケンタ様がお優しくてもたまらないだろうな。今回のことで褒美の様なものを考えるか。さて何がいいかな?」
「女がいいんじゃないか? 興味はあるようだ」
「ふむ、そうだなそれがいいか。では妻たちも入れて話をしよう」
神の血を引く子供が我らの血族に……この期を逃す手は無いだろう。
まずは一人差し出して様子を見るとするか。
まだやる毎日更新
「最弱の吸血鬼?が生き残るには?【最弱では死にそうなので毎日せっせとダンジョンに通い、最強になってしまったので悠悠自適に生きれる】」も連載中ですのでよろしくね




