この檻の外へ
scpの恩人三部作の二次創作をゆっくり書いていくつもりです。
初めてなのでお手柔らかにお願いします
1章 「この檻の外へ」
1.「出会い」
「ここかラ出してくれテありがとウ…」
そこにはクラゲのような触手を持つ不思議な少女がいた。
19xx年 夏
「いただきます」
ゆうの声が静かな家に響く。
両親が離婚してから父親に引き取られたゆうにとって、1人の夜はもはや日常になっていた。
時々帰ってきては最低限の金を置いて暴言を吐く父。
あの頃の優しいお父さんはもういない
ゆうの心は沈んでいた
そんなゆうの最近の楽しみはこの田舎町の探検
「いくぞー!!」
「「おおー!!」」
2人の友達と遊んでいる時だけは嫌なことを忘れらる。山や川へ行っては毎日へとへとになるまで遊ぶ。そんな日々もまた、ゆうの日常だった。
ある日のこと。
「今日は1人か…」
ゆうの友達は家族と出かけてしまい今日はいない。
(よし!今日はなにかすごい物を見つけて、みんなが帰ってきたら自慢してやる!!)
そう意気込んだゆうはいつもより張り切って家を出た。
「日が暮れてきちゃった…今日は帰るか」
山奥まで来たのに何も見つけられず、ゆうは落胆していた。
「うわあ!」
ドンッ
「痛っ…」
足を滑らせたゆうは坂を滑り落ちてしまった。
「ん?」
そこには1軒の家があった。草木に囲まれていて近づかなければ気づけない。
ゆうは好奇心に任せて恐る恐る家へと足を踏み入れた。
ギィィィ
長年誰にも使われていなかったであろう扉が軋む。
家の中にまで雑草が侵入している。見渡す限り特に面白いものもなく、ゆうが諦めかけたその時
「…るノ?」
下から微かに声が響く。
「誰かいるノ?」
(地下室に誰か閉じ込められてる!?)
ゆうは床に目を凝らした。するとカビの生えたテーブルの下が少しズレていることに気づいた。
(そこか)
ゆうはテーブルをどかしてボロボロの床をずらす。
するとそこには地下へと繋がるハシゴがあった。
ゆうは地下室に降りた。
地下室は上の部屋からは想像も出来ないほど綺麗に保たれており、たくさんの本や謎の機械があった。だが、ゆうの目にそれらは映っていなかった。
ゆうの目に映るのは、緑がかった液体が入った水槽の中にいる少女
それが彼女との出会いだった。
「お願イ、ここから出しテ」
透明な触手を持つ少女はそう言った。
逆らう勇気もなく、ゆうは彼女の言う通りにして水槽のロックを解除し、彼女を外へ出した。
人の形をした下半身はクラゲの少女
「ここかラ出してくれテありがとウ…」
「…き、きみは誰?」
「名前は…なイ」
「そ、そっか」
(どうしよう…ていうか人間なのか?なんなんだこの子は…)
「ご、ごめん!僕帰らなくちゃ行けないから!」
ゆうはハシゴを登り、走って山を出た。
(いったいなんだったんだ…)
ペタッ…ペタッ…
(もう行くのはやめよう)
ペタッ…ペタッ…
振り返ると触手を生やした少女がいた
「わああああああ!!!!」
「きゃぁぁぁぁァァァ!!」
「って、なんで君が驚いてんのさ」
「君ガ急に大きナ声出すかラ…」
「そもそもなんで着いてきてるの?」
「帰ル所ないかラ…」
どことなく寂しげだ
「あの家があるじゃん」
「博士もウいないシ…」
「博士…?」
カツカツカツカツ
(誰か来る…)
「隠れて!」
「きゃッ」
(見回りのおっちゃんか…この子のことがバレたらやばいかも…行ったかな?)
「よし、今のうちに家まで走ろう」
「うン!」
ガチャッ
「ふぅ…危なかった…」
(どうしよう、この子連れてきちゃった…)
「「…」」
沈黙が流れる
「ねェ」
「な、なに?」
「君なんテ名前なノ?」
「ゆう」
「ユウか…ねェ、ユウ」
「…なに?」
「名前付けテ」
「え?」
「な、ま、エ!」
「ほんとに言ってる?」
「私モ名前欲しイ」
(うーん…)
「ポチ」
ベチッ
触手パンチを食らった
「痛っ!何すんだよ!」
「なんカふざけてル気がしタ」
彼女は頬をふくらます
「ご、ごめん…じゃあ」
(触手…クラゲ…海月…)
「ルナ…とかどう?」
「いイ名前!」
にひヒと彼女は嬉しそうに笑う
(気に入ってもらえて良かった)
「…お腹空いてない?」
「ルナはお腹空かないヨ!でモ…」
「でも?」
「水浴びないト干からびテ死んじゃうっテ博士が言ってタ」
「それは早く言ってよ!」
ゆうは大急ぎでお風呂に水を貯めにいった
「ふゥ…生き返ル…」
(僕はここにいていいのか…?)
下半身はクラゲだし、彼女は元々服を着ていなかったが、やはり少し恥ずかしい。
「ユウは入らないノ?」
「ぼ、僕はいいよ」
「そウ…えイ!」
バシャッ!
「つめたっ!」
「あははハハ」
「やったな…くらえ!シャワー攻撃!!」
「あははハハ!あったかーい!」
「って効いてないし…」
「はは」
「「あははハハ」」
いつもは静かなゆうの家に、2人の笑い声が響いた




