プロローグ4《暗躍する少女達》
楠木寮で春樹が酷い目に遭ってるころ……。
夜の学校で事態は急速に動き始めていた。
その中心は生徒会室。
月明かりのもと、そこで蠢く影が二つ。
ひとつはこの部屋の主でもある薫。
もう一つは三角帽を目深く被る人物だった。
「本部から通達です。滅せよとのことです」
「……そうですか」
「今回は私も参加します。コンビで頑張りましょう」
「…………」
「どうしました?」
「いえ……なにも」
薫は内心悩んでいた。
自分がやろうとしているのは正しいのだろうか?
これまでもやってきたいつものこと。正しいことをしてきたつもりだ。
だけど……ホントに?
それは正しい?
それは正義?
正義を盾にした横暴ではないのか?
最近になってそう感じていた。
今までにない未知の存在である彼は確かに脅威になるかもしれない。
だからといって排除するのは正義なのだろうか?
なにも知らない彼を排除するのは正義なのだろうか?
これが……今まで信じてきた正義なのだろうか?
「薫さん?」
「……はい」
「見知った生徒を相手にしなければならないことを心苦しく思っているのは分かります。しかし、これは平和のため安全のための行動です」
「…………」
「敵対組織も活発化している今、不安要素は排除しなければならないんです」
――正義のために
その言葉は魔法の言葉。
ありとあらゆる罪を正当化してしまう魔法の言葉。
それは返してみれば責任から逃れるための卑怯な言葉。
だから……
だったら……
私は…………!
私は……!
自分の信じる正義の為に……!