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第六十七話 モンチャレ大会決勝3回戦・激闘そしてフィナーレ

○決勝3回戦ナイスキャッチ戦闘シーン○


『さぁ入って参りましたぁ、ナイスキャッチィ。果たして指定したレベルに逆転の目は、残っているのでしょうかぁ。

 まずは召喚されるモンスターに、注目したいところであります。

 そして今ぁ、カウントダウン開始されましたぁー。8,7、・・・・2,1,ゼロォーッ!

 注目の召喚モンスターはぁ~。

 おおっと、まずはレベル16のビッグピンクアナコンダだぁ。

 そしてぇー、レベル16のパワフルゴリラ。

 最後はぁきたぁぁー、レベル17のシルバーワイルドウルフ。

 もしこれを倒せればナイスキャッチィィィ、63ポイント獲得だぁー。暫定単独1位に躍り出ることになるぞぉーー。

 果たしてその思惑通りの展開に、持っていけるでしょうかぁー。』


「みんな、あの蛇、弱点が狙いにくい。あれを後回しにする。」


「おっけ~。」


「分かったわ。」


 じゃあ最終戦、行ってみますかぁ。


「ウォーターバルーン・アンリミテッド・トリプル。」


ポヨポヨポヨン、プカプカプカーー


『っとまずはぁー、シルバーワイルドウルフが動いたぁ―。』


 先ず一つ、ソレッ、先輩。


「ファイアーボール・アンリミテッド。」


ドォ~ン


バッシャーーーーン


『それをお馴染みの水風船爆弾で迎撃ぃ―。』


 2つ目、ソレッ、桜。


「ファイアーボール・アンリミテッドッ!・・・ロックオンッ。」


ドォ~ン


バッシャーーーーン


『更に追い打ちを掛けていくぅ―。』


 3つ目、ソレッ、先輩。


「ファイアーボール・アンリミテッド。・・・ロックオンッ。」


ドォ~ン


バッシャーーーーン


「ウォーターバルーン・アンリミテッド・トリプル。」


ポヨポヨポヨン、プカプカプカーー


『あーっとここで、シルバーワイルドウルフの反撃ぃ。氷魔法の氷柱が多田君目掛けて伸びていくぅ―。』


 なにっ。


『それを多田君横っ飛びで回避ぃ。正に間一髪ぅー。』


パシャンパシャン


 ちっ、2つ水風船が壊された・・・でもまあこっちはまだ余裕がある。

 っと、悠長に寝てる場合じゃないな。

 早めに魔法を打ち切らないと、時間的にも余裕はないし。


『今度はパワフルゴリラが突っ込んで来たぁー。』


 4つ目ソレッ。


「ファイアーボール・アンリミテッド。」


ドォ~ン


バッシャーーーーン


「ウォーターバルーン・アンリミテッド・トリプル。」


ポヨポヨポヨン、プカプカプカーー


 5つ目ソレッ。


 6つ目ソレッ。


 7つ目ソレッ。


『ピンクアナコンダが小田、紺野両名に忍び寄るぅーーー。』


「サンダーボール・アンリミテッドッ。」


 8つ目ソレッ。


 9つ目ソレッ。


 10つ目ソレッ。


『あぁぁっとシルバーワイルドウルフゥ、まだやれるといった感じで立ちあがったぁぁぁー。

 そして時間は今、2分を経過ぁ。3体のモンスターはいまだ健在といった状況っ。ナイスキャッチィ、これからどういった攻めを見せてくれるでしょうかぁー。』


 ちっ、もうシルバーワイルドウルフには5発当ててるだろぉ?


 俺 MP 8/28

 桜 MP 0/34

 先輩 MP 0/24


 ちっ、これでまだ1体も倒せてないとか・・・


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 稲妻ダッシュ・・・


シュピンッ


 ・・・っ、ヤベッ。バックバック。


『さあ、こう着状態の様相を呈しているが、もう残り時間は半分をきったぁ。』


 ハァハァ・・・ちゃんとクリティカルエッジは入っている。

 でもこの刃渡りの短い短剣の斬撃じゃ、この巨躯の狼さんには、元々のダメージ量が少なすぎるってか・・・ったく、ふざけろっ。


 桜は火の杖を使って小さな火球を放ち、敵を牽制するのが精一杯。

 先輩の矢もあの蛇に対し、有効なダメージを与えているようには見えない。

 もうこれ以上は打つ手なし・・・


 っとに、勝利の方程式はどこ行ったんだよっ。


「魔力変換っ。ファイアーストーム・アンリミテッドッ!」


 えっ・・・


ボォファボォファボォファボォファ・・・・


 なっ、桜にはもうそんなMP残ってないだろっ?


『あーっとここで小田さんのファイアーストームが3体のモンスターに襲い掛かったぁー。

 そしてパワフルゴリラはこの火嵐に包まれ消滅していったぁー、がしかし他の2体は素早く回避しているぞぉー。

 っとぉ、これはどうしたことでしょう。攻撃したはずの小田さんが蹲っているぅー。』


 『魔力変換』って、まさかあいつ・・・


『そこへ多田君、紺野さんの両名が透かさず駆け寄りフォローに回る。』


~~~~~~~~~~~~~~

名前:小田桜 16歳(152cm 42kg B79 W54 H80)

種族:人間

レベル:10(2%)

HP 6/21

SM 3/18

MP 0/34

~~~~~~~~~~~~~~


 HPとSMが15ずつ減ってる?


「勝たないと・・・温泉・・詰まんな・・はぁはぁ・・・なる・・はぁはぁ・・賢斗ぉ。」


 ちっ・・・こんなん何時覚えたんだよ。

 ったく、無茶しやがって・・・


「ヒー・・」


 俺が桜にヒールを掛けようとした瞬間、桜が俺の腕を必死に掴む。


「今は・・・いいよぉ・・・・・勝と・・・ね。」


ヒュンヒュンヒュン


「賢斗君っ、早くっ。」


 俺は先輩に左手を上げて応える。


 あ~、何だろうこの感じ。

 まだ2体の敵が残っている。

 この後、俺と先輩で挑んだとしてもタイムアップ濃厚で、勝機すら見い出せていないこの状況。

 それでも絶対に勝たなきゃいけないって気にさせられる。


 ・・・桜。

 絶対に勝ち筋を見つけてやる。


 今しかない・・・ハイテンションタイム、発動っ!


ドッドッドッキィィィィィィィィ・・・・・


「桜はちっとばかしそこで眺めてろ。これからいいもん見せてやっから。」


「・・・うん。」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


『さあ、ここで残り時間は1分をきったぁ。』


ヒュンヒュンヒュン


『しかし、バトルスペースでは、紺野さんが弓攻撃で敵を牽制する中、多田君が紺野さんの肩を揉んでおります。これは一体どうしたことでしょう。』


「ねえ賢斗君。この状況でふざけてるんなら、流石の私も本気で怒るわよ。」


「何言ってるんですか、先輩。俺は至って大真面目ですよ。」


ヒュンヒュンヒュン


「はい、終わりましたよ、先輩。早く『ルンルン気分』を使って下さい。」


「えっ、何で?ってあれ?・・・あらやだっ、こんな時なのに私ったら、不思議と気分が・・・・・・ウフ♡」


「じゃあ時間も無いので早速行きますよぉ。先輩はあの蛇担当で。」


「仕方ないなぁ、賢斗君はぁ~。」


 ったく、この人のポテンシャルを最高に引き出す手段が、こんな方法しかないとは・・・

 っと俺の方も早くしないと。


「サンダーボール・アンリミテッド・ソードモデルッ。」


ビリビリビリィー・・・ブォ~ン


 よしっ、取り敢えずは成功。

 短剣にサンダーボールを乗せた上での形状操作・・・これでリーチ不足も補える。


シュタッ


稲妻ダッシュ・・・ブォン、バチバチ


ブォン、バチバチ


稲妻ダッシュ・・・ブォン、バチバチ


ブォン、バチバチ


『ああーっと、今度はシルバーワイルドウルフがふらついたぁぁぁー。何だぁ、あの電気を帯びた斬撃はぁー。』


 よしっ、確実にダメージは入ってる・・・これなら行けるか?


バチンッ


 なっ、サンダーボールの効果が消えちまった。

 くそっ、4撃しか持たないって耐久力低すぎだろっ。


 おっと、バックバック。


 残りのMPもあと5MP・・・次で決められないと終わりだな。


「サンダーボール・アンリミテッド・ソードモデルッ。」


ビリビリビリィー・・・ブォ~ン


『おーっとぉっ、紺野さん、弓技『スターダストレイン』かぁー。

 無数の矢がビックピンクアナコンダに降り注いでいるぅー。

 これは決まったかぁーーー。っといやまだです。辛うじて踏みとどまっています、ビッグピンクアナコンダァ。』


「賢斗く~ん、たいへ~ん。もう矢が残り1本になっちゃったわぁ。」


 そりゃそうだろ、あんな乱れ撃ち・・・う~ん、『ルンルン気分』ってバカになるスキルなのか?


「先輩、こっちも手一杯なんです。その1本で何とかして下さい。」


「え~、やだやだぁ~♪」


 ・・・。


「はいはい、分かりました。あいつを何とかしてくれたら、後で何でも言う事聞いてあげますからっ。」


「えっ、それ、ほんとぉ?ウフ♡」


ニタァ~


ヒュォーン


ドゴーン


『おぉーっと、これはもの凄いっ!紺野さん、高レベル弓技の『コメットアロー』でビッグピンクアナコンダの喉元に風穴を開けたぁー。』


 ったく、どうなってんだ?先輩は・・・

 案の定、ルンルン度合爆上がりじゃねぇか。


『っと、しか~し時間はここであと10秒を切ったぁぁぁー。』


 っと、やばい。こっちも早く決着をつけないと。


 シュタッ


 もういい加減・・・


『ごぉー。』


 ブォン、バチバチ


 倒れろっ。


『よんっ。』


 ブォン、バチバチ


 これがぁー・・・


『さんっ。』


 ブォン、バチバチ


 最後ぉーっ!


『にぃー。』


ピカッ・・・・・・・・・バチッ・・・バチバチバチッ・・・


 シルバーワイルドウルフの首が、スーッとゆっくりずれて行く。


『いちぃー。』


『ピロリン。スキル『雷剣』を獲得しました。雷剣技『紫電一閃』を獲得しました。』


『こっ、これはぁーっ、・・・・・・・・・。』


 シーーーーーーーーーーン


『げっ、撃破だぁぁぁー。』


 ワァァァァァ―――。


『時計は4分59秒で止まっていますっ!

 やりましたぁーーー、ナイスキャッチィィィ。正にタイムアップ寸前っ、起死回生の殲滅劇ぃぃっ!

 見事モンスター3体の撃破に成功し、この3回戦もクリアですっ!

 そしてぬぁあんとぉーーー、ナイスキャッチはここで63ptを獲得ぅー。

 総合ポイント153ptでソードダンスを抜き、一躍単独首位に躍り出たぁーーーーっ。』


ウォォォォォォォォォォーーーーー。


ワァァァァァ―――。


「はぁ、はぁ、どうだ、桜。いいもん見れただろ。」


「・・ん、超かっこいぃ。」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○午後3時、第22回高校生モンスターチャレンジ大会閉会式○


『それではぁ、第3位から発表してまいりましょー。

 第22回高校生モンスターチャレンジ大会第3位はぁー・・・

 シュヤリーズだぁぁぁーーー。』


ワァァァァァ―――


「シュヤリーズの皆さんは、前にお進みください。」


「え~表彰状、シュヤリーズ殿・・・・・。ん~とっても頑張りましたぁ。いや~感動をありがとぅ。泣けるぅ~。」


 おいっ・・・こんな場所で嘘泣きは止めろ。


ウォォォォーパチパチ~


『続きましてぇー、第22回高校生モンスターチャレンジ大会準優勝はぁー・・・

 ソードダンスだぁぁぁーーー。』


ワァァァァァ―――


「ソードダンスの皆さんは、前にお進みください。」


「表彰状、ソードダンス殿、・・・・・・。3回連続2位とは、服部君も運がないねぇ~。いよっ、ミスターセカンドッ。パチパチ~。」


 ここで傷口広げてやるなよ。


ウォォォォーパチパチ~


『それではいよいよ第1位のパーティーの発表に移りたいと思います。栄えある第22回高校生モンスターチャレンジ大会の覇者はぁー・・・

 ナイスキャッチだぁぁぁーーー。』


ウォォォォォォォォォォーーーーー


「うぅぅぅおっしゃぁぁぁ~っ!」


「きゃっほ~~~っ!」


「ウフフフフフ♡」


「ナイスキャッチの皆さんは、前にお進みください。」


「表彰状、ナイスキャッチ殿、・・・・・。いや~初めて見た時からビビビッって来てたんですよ~。もう私ったら天才っ!参ったなこりゃっ。パチパチ~。」


ウォォォォォォォォォォーーーーーパチパチ~


 ったく、誰だよ。こんな奴を大会委員長にしたの。


『そして今、電光掲示板に最終結果が表示されましたぁー。』


********************


第3回戦終了結果


第1位 『ナイスキャッチ』 153pt

第2位 『ソードダンス』 150pt

第3位 『シュヤリーズ』 120pt

第4位 『グリーンベレー』 97pt

第5位 『ホットスパイス』 72pt

第-位 『ガンマニア』 失格

第-位 『紅華のトナカイ』 失格

第-位 『ねずみ小僧』 失格

第-位 『隠れキリシタン』 失格

第-位 『ピンポンダッシュ』 失格


********************


『ソードダンス一強という予想を覆し、今大会を見事制したのは、まだ結成2か月のナイスキャッチ。

 この新たなチャンピオンの出現には、何か新たな時代の幕開けを感じてしまいます。

 なお、今大会のMVP賞は特例と致しまして、多田賢斗君、服部高貴君の2名が選出されておりますぅー。』


ワァァァァァ―――


『最後にぃ、今大会激戦を繰り広げ、大いに盛り上げてくれた10組の勇者達に、今一度大きな拍手をお送りくださいっ。』


ウォォォォォォォォォォーーーーーパチパチ~


「それでは選手の方々は、選手待機席へとご退場願います。」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○モンスターチャレンジ決勝大会、開会式○


 俺達が居た中央スペースでは、直ぐに大会のフィナーレを告げるセレモニーが始まった。


ドドドドカ~~~ン


 中央スペースの四隅から火柱が上がり。


ドンドンドッドドドンドドッドドンドンド・・・・♪


 アップテンポの曲が流れ始めると、中央スペースでは、チアガール達の華麗なダンス。


 ・・・終わったな。


 そんな賑やかな光景に、終わりゆくこの大会への寂しさを少しばかり覚える。


 ・・・まさか本当に優勝しちまうなんてな。


「賢斗ぉ~、お寿司屋さんで祝勝会が待ってるよ~。」


 なにっ、出前じゃないの?

 知らぬ間にご褒美をスケールアップさせるとは・・・うちのボスも憎いことを。


「それにしても三ツ星名店の予約なんて、良く取れたわよね~。」


 なんとっ!


「かおるさん、そこはお店との交渉ではなく、予約しているお客さんへと交渉するのがセオリーなんですよ。」


 なるほど、流石はボスの後継者。


「皆さ~ん、のんびりしてたら、お店の予約時間に間に合わないかもしれないですよ~。」


 何っ、そりゃ一大事。


「よし、みんな、急いで帰ろうっ!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 俺達が座席を立って通路に出ようとすると、そこに服部が立ちはだかった。

 俺はしれっと奴の横をすり抜けようとするが、がっしりと肩を掴まれる。


「待てよっ、多田ぁ。」


 嫌です。


「今回の結果に関しちゃよぉ、実力ってもんがしっかり現れていなかったと思うんだが、お前はどう思う?」


 はぁ?何言ってんだ、こいつ。


(賢斗君、こういう人は相手にしちゃダメよ。)


(分かってますって。先輩達はちょっと先に行ってて貰って良いですか?)


(そんな事言ったって、今にもケンカになっちゃいそうじゃない。)


(ああ、それに関しては大丈夫ですから、安心して下さい。)


(ほんと?)


(ホントホント。神に誓って。)


「ほらっ、返事はどうしたぁ、多田ぁっ!」


 あら、お冠。


「う~ん、俺としては、実に順当な結果にしか思えないけど、それがどうかしたか?」


「なっ、てめぇっ!ふざけた事言ってんじゃねぇぞっ!」


 その言葉を聞くや否や、左手で俺の胸ぐらを掴み、右手を振り上げ、殴りかかろうとする服部さん。

 しかし俺は特になんの抵抗もせず、只黙って時を待つ。


 ・・・1、0。


「たっださ~ん。」


ピタッ


 10mほど先から聞こえた女性の声で、目前まで迫った服部の手がピタリと止まる。


 はぁ~、蛯名っちに見つかる前に、この会場を去りたかったんだけどなぁ。


「ほら、やっぱり俺の方が、実力は上じゃないですか。」


「てめぇ、なに言って・・・」


「あんたは彼女の接近に、直前まで気付けなかった・・・

 こういうのも、実力の一つだと思いませんか?服部さん。」


スッ


 10秒ほど俺の胸ぐらを掴み、プルプルと震え続けていた手から力が抜けた。



「ああぁぁぁっ!たくっ。おめぇのその性格、最悪だなっ!」


 おい、そういうの、ブーメランって言うらしいぞ。


 服部さんは踵を返すと、最後に捨て台詞をひとつ。


「今回は負けにしといてやる。首を洗って待ってろっ。チャンピオン。」


 こっちはもう二度と会いたくないですよ・・・ミスターセカンド、ぷっ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ほどなく服部と入れ替わるように、蛯名っち参上。


「たっださ~ん。祝勝会、何と私も飛び入りで参加させて貰う事になっちゃいましたぁ~。パチパチ~。」


 えっ、嘘。嫌なんですけど。


ブンッ


 猛烈な勢いで首を捻って水島さんを睨むと、申し訳なさ気に小さく合掌していた。

 そしてこの様子を見ていた円ちゃんが、俺の耳元で囁く。


「三ツ星店の予約を譲ってくれたのが、蛯名さんだったらしいですよ。」


 えっ、何その偶然。

 そんな事あってたまるかっ!


 ・・・って、ちょっと待て。

 三ツ星店の予約といえば、数か月前が当たり前。

 もしこれが偶然ではないのだとすれば、俺と出会って直ぐにでも店の予約をしない限り、今回の飛び入りを仕込むのは理論上不可能。

 それってつまり・・・いや、まさか。

 ハハ、ないない・・・全く、悪い冗談だな。

次回、第六十八話 お誕生日会。

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― 新着の感想 ―
[一言] 服部さんへのザマァ期待してます
[一言] 面白かったです。次章も続きを楽しみにしております。
[一言] 服部さんとの会話があると思ってたw 更新待ってます!
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