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第六十五話 モンチャレ大会決勝2回戦

○ナイスキャッチ1回戦終了後○


「たっだいま~。」


「お帰りなさい皆さん。とても凄かったですよ。」


「えへへ~。」


「皆さん、お疲れ様でした。まずは大成功って感じじゃないですか?」


 いや~、まあホント、ヒビを見つけたのはラッキーだったな~。


「まあ、そんなところっすね。」


 っと、トイレ、トイレ。


 混雑するのが嫌なので、ダンジョン外に設けられた公衆トイレまで行ってみると、大会真っ最中の今、こちらのトイレはガラガラ状態。

 よしよし・・・読みが当たったなぁ。


ジョ~~~~~~~~


ジョ~~~~~~~~


 ん、誰だこいつ?

 他にも空いてるのに、わざわざ隣で用を足すとか・・・


「よう、多田。凄ぇじゃねぇか。あの爆発するやつ。流石の服部さんもビックリだったぞ。」


 んっ、お前か。


「そいつはどうも。あんたの『居合』スキルも大したもんだったよ。」


「おっ、『居合』スキルまで見破ってるなんてやるじゃねぇか。でも俺を呼ぶときは服部さん、なっ。」


 はいはい、服部さん。


「いやぁ~それにしても悪かったなぁ。」


 えっ、何が?


「俺達が居なきゃ、お前には高校一年での初優勝まであったかもしれないのによ。」


 ちっ・・・また始まったか。


「正直俺もなぁ、美少女揃いで、魔法主体のお前らの方が派手だし、そんなお前らが優勝した方が、世間も喜ぶって分かってんだけどよ。」


 ったく、毎度毎度、俺は・・・


「まあ俺達も目の上のたんこぶが消えてようやく初優勝できるんだし、あんまり悪く思わないでくれよな。」


 あんたのそういうとこが・・・


「服部さん、そういうことは、優勝してから言ってくれ。」


 気に食わねぇんだよ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○ナイスキャッチ待機席○


 あ~、腹立つ。

 まあ、ここは気分を変えるためにも、『気分スッキリマッサージ』でもしておくか。


モミモミ・・・


 いやぁ、効くねぇ。

 こうしてみると、意外とこのスキル役に立つよなぁ・・・普通に疲れも取れるし、更に気分転換まで出来てしまう、うんうん。


「賢斗~、私にもやって~。スッキリコースぅ~。」


 おっ、なんだかんだ言って桜の奴、俺のマッサージ三昧がお気に召したのか?

 昨日はくすぐったいとか言ってたくせに。


「おっけ~。でも今は肩もみじゃなくて腕もみマッサージだな。このスタンド席じゃ場所的にちょっときついだろ。」


「わかった~。はい。」


 俺が桜の右手にマッサージ三昧を施していると・・・


「賢斗君、次は私もスッキリコースね。」


 ほ~う、先輩まで気に入っていたと・・・


「賢斗さん、私は最後で良いので、爽快コースをお願いします。」


 大人気じゃねぇか・・・マッサージ三昧。


*おさらいと展望*


 さて、スッキリしたし、1回戦のおさらいをしておくか。


 まず俺が、ウォーターバルーン×3で、MP 16/28

 桜はファイアーボール×5で、MP 19/34

 先輩はウォーターバルーン×2で、MP 16/24


 終了時のMP消費はこんな感じだったな。


 こっからMP速度回復のレベル差を考慮して、1時間後を予想するとこんな感じか。


 俺が、MP 24/28

 桜が、MP 27/34

 先輩が、MP 22/24


 やっぱ着火役の桜の負担が大きいな。


 そして2回戦を同じレベル指定にしたとして、同じMP消費量と仮定したら、3回戦はこんな状態で挑む感じになる。


 俺が、MP 20/28

 桜が、MP 20/34

 先輩が、MP 20/24


 う~ん、これじゃあ3回戦でも桜はファイアーボール6回しか撃てない・・・

 節約してもこれだもんなぁ。


 とまあ、この現状を踏まえた上でだ。

 俺達の次のレベル指定・・・どうするか考えておかないとな。

 現状としては、俺達を含め上位3組が、1位タイの横並び状態。

 この拮抗した展開だと、おそらく他の2組は、次で指定レベルを上げてくるのは確実だろう。


 しかし俺達にはMP的にそんな余裕はない。

 そしてこのまま行って、そのビハインドを覆せるほどのMPの余裕が捻出できるかと言われれば・・・

 極めつけは服部のあの余裕・・・

 下手すると3回戦で、更に上げて来るなんてことも・・・


「桜、先輩、次のモンスターレベルの指定、1つ上げて行こうと思うんだけど、どう思う?」


「おお~、ガンガン行こう~。」


 いや、桜。もうちょっと考えてくれ。


「う~ん、そうねぇ。レベル15でも何とかなると思うけど、そうすると3回戦が悲惨にならない?」


 確かに・・・それは俺も同意見。

 それでもここで何とかしておかないと、取り返しがつかないことになる気がする。


『さぁ、第1回戦最後のパーティーもこれで、決着ぅ。』

『そして今、電光掲示板にその結果が表示されましたぁ。』


********************


第1回戦終了結果


第1位 『ソードダンス』 40pt

第1位 『ガンマニア』 40pt

第1位 『ナイスキャッチ』 40pt

第4位 『シュヤリーズ』 35pt

第5位 『紅華のトナカイ』 27pt

第6位 『ねずみ小僧』 25pt

第7位 『グリーンベレー』 24pt

第8位 『ホットスパイス』 22pt

第-位 『隠れキリシタン』 失格

第-位 『ピンポンダッシュ』 失格


********************


 ワァァァァァ―――。


『第1位が40ptで『ソードダンス』、『ガンマニア』、『ナイスキャッチ』の3組と横並び状態。それに続いて35ptの『シュヤリーズ』が続きます。

 この辺りまでが、現在の優勝圏内といったところでしょうか。

 そして既に2組が惜しくも失格。また次回の参加を期待したいところであります。』


「え~それでは、第2回戦に進まれるパーティーの皆さんは、今から第2回戦のモンスターレベル指定用紙をお配りしますので、1回戦同様10分以内での提出をお願いしま~す。」


 さて、俺達の次のレベル指定・・・


「それで賢斗君、2回戦目のモンスターレベルの指定はどうするの?やっぱりレベル15?」


「はい、3体ともレベル15で行きましょう。」


「おお~、ガンガン行こう~。」


 ・・・もう後戻りは許されない。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○第2戦開始○


『あーっと第2戦1組目の『ソードダンス』、何とレベル18のトロールが3体出現だぁー。

 これをクリアできればかなりの高得点だぞぉー。』


 ソードダンスのパーティーレベルは13だから、これを倒せば、50pt獲得。

 やっぱり仕掛けてきやがったか。


『それにしてもこれは、1回戦で最も苦戦していた相手が3体。大丈夫かぁー。』


 ・・・あいつはまだ何か隠してる気がする。


『なにぃぃぃー、リーダーの服部君、今もう1本の剣を抜いたぁ。これはまさかの二刀流かぁー。』


 ほ~ら、やっぱり。


 しっかしホ~ント悪い予感ってのはよく当たるなぁ。

 どうせ服部達は、間違いなく50pt獲得するだろうし。

 そして次の3回戦目・・・更に指定レベルを上げてくることも想像に難くない。

 でもそうなってくると、俺達的には、次の2回戦を何としてもMP消費を抑えたままで突破しておかなければ・・・


『けっちゃーーーくっ!。『ソードダンス』見事に50pt獲得して見せましたぁ―ッ。』


 何か良い手は・・・


ウォォォォーパチパチ~


『続きましての登場は『ガンマニア』だぁー。』


「ほら賢斗君、そろそろよ。」


ワァァァァァ―――


 う~~~~ん。


「賢斗~。」


 あ~こんな時、『羽化登仙』スキルがあればよかったのに・・・


「賢斗ぉーっ!」


 うわっ!


「お、おう。どうした桜?ちゃんと聞こえてるから耳元で大きな声出すなって。」


「もう私達の番になるよ~。」


 えっ、ホント?


「お、おう、そうか。悪りぃ。」


「もう、しっかりしなさいよ。」


 そうだな、もう時間はない。覚悟を決めるっきゃないか。


『おおっ、このマシンガンによる弾幕に、流石のブラックパンサーも身動きが取れないぃぃーっ!

 ああっと、ここでリーダーの樋口君、マスケットライフルを取り出しているぅ。止めの一撃『シューティングスター』の準備に入ったかぁー。』


ドゥーーーン


『いったぁぁ―っ!流れるような一筋の弾丸が、ブラックパンサーの眉間を貫いたぁ―。』


 お~凄ぇ、やっぱ弱点攻撃上手いな~、このパーティー。


ウォォォォー


『決着、決着です。これで『ガンマニア』も45点を獲得。暫定順位2位となりましたぁー。』


ワァァァァァ―――


 ん・・・・・弱点攻撃?


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○決勝2回戦ナイスキャッチ戦闘シーン○


「じゃあ作戦通りに頼むな~。」


「おっけ~。」


「わかったわ。」


『さぁいよいよ『ナイスキャッチ』の第2回戦が始まります。8,7、・・・・2,1,ゼロォーッ!

 注目の召喚モンスターはぁ~。』


 ・・・何が来る?


『ああっとナイスキャッチに召喚されたのは、3体ともレベル15のロックゴーレムだぁーっ。』


「これより、ウォーターバルーンピンポイントアタックを開始する。」


「ほ~い。」


「うん。」


「ウォーターバルーン・アンリミテッド・トリプル。」


ポヨポヨポヨン、プカプカプカーー


 うん、やっぱこの大きさがベストだろう・・・小さすぎても不味いし。


「ウォーターバルーン・アンリミテッド・トリプル。」


ポヨポヨポヨン、プカプカプカーー


『お~~っと、1回戦とは違い、今度は3分の1程度の大きさの水風船が、3人の前に6つ現れましたぁー。』


「ロックオン。」


『なにぃー、急発進した水風船がロックゴーレムの頭部を包んだぁ。』


「ファイアーボール・アンリミテッドッ!」


ドォ~ン


バッシャーーーーン


『あーっとまた爆発したぁー。これには堪らずロックゴーレムよろめいたぁー。』


「ロックオン。」


「ファイアーボール・アンリミテッドッ!」


ドォ~ン


バッシャーーーーン


「ロックオン。」


「ファイアーボール・アンリミテッドッ!」


ドォ~ン


バッシャーーーーン


『なななぁあんとぉ、ロックゴーレムの頭部が破壊されています。撃破です。ロックゴーレム1体撃破しましたぁ。』


 よしっ、旨く行った。


 水風船がちょっと小さくなってはいるが、爆発時に蒸気化する水分量としてはこれで必要十分な量・・・威力は落ちない。

 そして起爆点が弱点である頭部に近い分、与えるダメージは寧ろ増大する。


 う~ん、気付いてよかった弱点攻撃。


『来た来た来たぁ―――、またもや頭部破壊だぁぁぁ―。

 そして今ロックゴーレムの身体がゆっくり霧散していくぅ。

 やりました、ナイスキャッチ。見事ロックゴーレム3体の撃破に成功でぇーーーすっ。

 これによりナイスキャッチの獲得ポイントは50pt。ソードダンスと並び、初出場ながら暫定順位第1位タイとなりましたぁーーー。』


 しっかしこれで桜のMPは空っけつ・・・まっ、それに関しちゃ対応策は残してあるけど。


『なんとも末恐ろしい新人パーティーが現れたものでありますぅ。』


 ・・・さ~て、問題は次だな。

次回、第六十六話 モンチャレ大会決勝3回戦・勝利の方程式。

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