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第五十七話 ウォーターバルーンアタック

○午後4時、清川ダンジョン2階層大部屋○


 睡眠習熟を終えた俺達は、一旦拠点部屋へ帰還後、清川ダンジョン2階層大部屋へと向かった。


 昨日まで、せっせと育成したスライム達。

 予定では、レベル12に成長しているはずである。

 そしてレベル12と言えば、そう、ブルースライムが特異個体化するレベル。


 以前はかなり苦労して倒した訳だが、今の俺達はあれからレベルが2つも上がり、スキルもそれなりにレベルアップしている。

 決勝の特訓相手としてなんの不足もない相手だろう・・・ってかむしろちょっと怖いけど。


 こんにちは~。


 大部屋の入り口の外から首だけ出して中の様子を窺ってみる。


 あれっ、小さい?

 ・・・いや大きいのも居る。


~~~~~~~~~~~~~~

名前:ブルースライム

種族:魔物

レベル:12(2%)

HP 34/34

SM 17/17

MP 16/16

STR : 10

VIT : 13

INT : 10

MND : 14

AGI : 6

DEX : 17

LUK : 12

CHA : 7

【スキル】

『酸吐出LV5(3%)』

『物理耐性LV6(13%)』

【強属性】

水属性

【弱属性】

火属性

【ドロップ】

なし

【レアドロップ】

『スライムジェルの瓶詰(ドロップ率0.01%)』

~~~~~~~~~~~~~~


 あ~やっぱり小さいのは通常のブルースライム。

 え~っと、特異個体化比率は10体中2体・・・

 ふ~ん、レベル12で必ず特異個体化する訳じゃないということか。

 にしてもステータス的に両者を比較すると、かなりジャイアントブルースライムの方が強そうだな。


「あの小さい個体は、特異個体化していない普通のレベル12のブルースライムみたいっすね。」


「そうだね~、なんかちっこいし~。」


「そうねぇ。ちょっと気負ってた分、なんか拍子抜けね。で、どうするの?賢斗君。」


「悩むまでもないでしょう。ジャイアントブルースライムの2体だけ倒して、残りは育成を続ける方向で良いんじゃないですか?

 決勝対策の特訓ですから、もうちょっと強い個体を相手にした方が良いと思いますし。」


「ふ~ん何時になく強気ねぇ、まあ私もそう思ってたとこだけど。」


「じゃあ、みんなで一緒に戦わないの~?」


「ああ、今回は、俺と桜と先輩の3人だけでやってみよう。」


「では私は、またタイム計測係をやると致しましょう。あと賢斗さん、小太郎の変身の儀は如何しますか?」


「ここの個体は今レベル高いから、万が一の為に、レベルアップブレスレットは装備させておいた方が良いかも知れないね。」


「分かりました。」


 ともう慣れた感じで円ちゃんと変身の儀を済ませると・・・


スポッ


「にゃ、にゃにゃ、にゃおぅぅぅぅ~。」


 これでよし。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○ジャイアントブルースライム戦1体目○


 さて、今はさっきハイテンションタイムを消化したばかり・・・スキル共有は使えない。

 どうやって、このジャイアントブルースライム2体を倒そうか。


 前回は確か、俺のパラライズエッジで麻痺らせた後、桜のファイアーストームで削り、フィニッシュは円ちゃんの猫キックといった流れだったか。

 決勝の1、2回戦を想定するなら、MPを節約しその消費を3分の1程度におさえた上で、こいつらを倒さなければならない。


 となると、ストーム系は全員温存。

 1回の戦いで使える魔法は、桜はランス系1発かボール系3発、俺と先輩はボール系2発に制限。

 この条件で見事討伐することが出来れば、第1、2回戦のMP消費条件もクリアしたと言える。


「まずは俺があいつらを麻痺状態にしますんで、あとは桜がファイアーボールを3発、俺と先輩は合体魔法を2回使って、今の俺達でどれだけ相手のHPを削ることが出来るか試してみましょう。」


「りょうか~い。」


「わかったわ。」


 作戦の確認を終え、俺と桜と先輩で大部屋内に入ると、先ずは俺がジャイアントブルースライムへと突進、パラライズエッジで切り刻む。


シュピンッ、HP 41/43


シュピンッ、HP 39/43


シュピンッ、HP 37/43


シュピンッ、HP 35/43


 おっ、意外とイケてる。


 前回は俺の斬撃はノーダメージだったが、まあ俺も2レベルアップしてるし、先輩に短剣を強化して貰ったからな。


 っとバックバック。


シュワ―


シュピンッ、HP 33/43


シュピンッ、HP 31/43


シュピンッ、HP 29/43


 っとバックバック。


シュワ―


シュピンッ、HP 27/43


シュピンッ、HP 25/43


シュピンッ、HP 23/43


 よしっ、麻痺った。


「桜っ、魔法撃っていいぞ。」


 俺はジャイアントスライムから距離を取る。


「おっけ~。ファイアーボール・アンリミテッド・ラピットファイアッ!」


ドォ~ンドォ~ンドォ~ン


 お~、これは普通サイズを3連射?・・・魔力操作の新しい技能かな?


 って1体に3発も撃ったらMP消費がオーバーするだろぉ。

 1戦で3体召喚されるのを忘れてんのか?桜のやつは。


HP 8/43


「先輩っ!」


「はいはい。」


ビュゥーボファ~バリバリバリィ~


 俺と先輩の協力魔法で止めを刺すと、ほどなくジャイアントブルースライムが光の粒となって霧散した。


 ふぅ~、まあ前回より楽に倒せたな。


「賢斗さん、今ので1分30秒くらいです。」


 ほほう、1体当たりの時間がこれなら、3体倒したとしても5分以内という制限時間をクリアできてるな。

 しかし問題はやはりMP消費。

 桜がなんか勘違いして3連射かましてくれたが、結果的にあれは無駄撃ちではなかった。

 となるとこれをあと2体殲滅するとしたら、完全にMP消費が最大MPの3分の1を超えてしまう、う~む。


 まあ何にせよ、折角ドロップした水魔法のスキルスクロールとスライムジェルの大瓶詰を先ずは回収しとくか。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○ジャイアントブルースライム戦2体目○


「賢斗君、もう1体のジャイアントブルースライムは、私の秘策を試してみない?」


「先輩の秘策?」


「そうそう。」


 まあMP消費問題に手詰まりを感じている現状では、色々と試していく必要もまだまだあるし、ここはひとつ先輩の話に乗ってみるのも手か。


「分かりました。じゃあ俺は何をすれば良いですか?」


「賢斗君は、そこでちょっと見ていてくれるだけで良いわよ。」


 えっ、仲間外れ?


「じゃあ桜、行くわよ、ウォーターバルーンアタック。」


「りょ~か~い。」


 何そのちょっとかっこいい名前。


「ウォーターバルーン・アンリミテッド。」


ポヨーーン、プカーーーーーー


 先輩の手から放たれた球状の大きな水の塊が、ジャイアントスライム目掛けてゆっくり空中を進んで行く。


 やがてその水風船はジャイアントスライムに命中すると、その身体を包み込んだ。


 ふ~ん、これは窒息を狙う系の魔法かなぁ。

 でもスライムって、そもそも呼吸してんのか?・・・う~ん。


「桜っ!」


「おっけ~。ファイアーボール・アンリミテッドッ!」


ドォ~ン


バシャーーン


 うわっ、凄ぇ爆発・・・何で?


HP 20/43


 ・・・っ、しかもかなりの高威力。


「三連ウィンドアロー。」


ビュゥ~ヒュヒュヒュン


ザザザッ


 ウォーターバルーンアタックにより、ジャイアントブルースライムの身体は半分ほど吹っ飛び、核がむき出しになったところへの、風魔法を乗せた矢の三連射。

 その結果、ジャイアントブルースライムの身体は霧散していく。


『パンパカパーン。多田賢斗はレベル9になりました。』


 お~、寄生的レベルアップ。


「やった~。」


「どお?賢斗君。結構凄いでしょ。」


「そっすねぇ、にしてもあの爆発って何すか?意味が分かんないんですけど。」


「あっ、それは水蒸気爆発よ。前にジャイアントスライムが壁作った時、桜の火魔法が爆発しちゃったじゃない。それと同じことよ。」


「あ~、そういやそんなことありましたね。

 風魔法を乗せた矢もスピードと威力が増してるようでしたし、お見事です。」


「うんうん。それにウォーターバルーンは消費MPも大したことなさそうだから、きっとコスパも良いはずよ。」


 どれどれ~。


「ああ、確かに消費MP4ってなってますね。」


 あの威力でこの消費MPなら確かに・・・

 上手く使えばウォーターバルーンアタックは、決勝の基本戦略として行けるかもしれない・・・当たればだけど。


「賢斗さん、今のは2分ほどでしたよ。」


 あ~、そっちは見事にタイムオーバーか・・・

 コスパは良くても5分以内に3発撃てない。


 いやまあ問題点はあるものの、この威力でMP消費の少なさは捨てがたい気がする。

 決勝はなによりMPの運用が俺達にとっての鍵となりそうだし・・・


 となれば、問題点を改善する方向で行くか。


「先輩、このウォーターバルーンアタックなんですけど、もうちょっとタイムを縮めたいんで、決勝まで魔力操作のレベルアップ重視で行って貰えますか?」


 魔力操作が上がれば、発動速度も命中率もある程度改善可能・・・タイムに関しては何とかなるだろ。


「うん、わかった。頑張ってみるわ。」


 あとは俺がどうするか・・・

 俺も『水魔法』スキルを取得して、レベル4まで上げるってのも有りか?

 そうすりゃ、MP消費を分散することができるし、タイム的な面も更に短縮できる。

 うん、そうだな。幸い時間はまだある事だし、その線で行ってみるか。


「賢斗~、残ってるレベル12のブルースライムはどうするの~。」


「ああ、この分なら残りの個体を全部、もう一回瀕死処理しとくか。レベル14の通常個体なら何とでもなるだろ。」


「おっけ~。」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○午後9時、ハイツ令和、201号室○


 帰宅後、夕食を済ませお風呂上りのひととき。

 俺はスポーツドリンクを一口飲むと、自室のパソコンを立ち上げる。


 あの脳裏に過った身に覚えのある残念感は、俺にその先に煌めく確かな可能性を感じさせていた。


カチカチカチカチ・・・・


 う~ん、やっぱり検索に引っ掛からないか・・・


カチカチカチカチ・・・・


 しかしこんなネット情報でその答えが見つかってしまう様では、俺としてはむしろ白けてしまうところだ。


カチカチカチカチ・・・・


 よしっ、ネットには情報が皆無。

 つまりアレは相当のレアスキルだということだ。

 となれば俺の経験上その先には・・・

 ふっふっふっ、これは俄然期待が高まってしまうじゃないですか♪


 俺の予感が正しければ、次あたり、MP回復マッサージなんてものを覚えてくれても可笑しくない。


 そしたらほら、あれだろぉ。

 モンチャレ決勝にだってかなり役立ち、みんなの絶賛間違いなしっ。

 この『マッサージ三昧』も特別強化スキルに組み込んでおくべきでしょ~♪


 俺はジャージに着替えると、風呂上りのマーサージに、清川ダンジョン2階層大部屋へと転移した。


○午後9時20分、清川ダンジョン2階層大部屋○


「さて、お風呂上りのマッサージでも始めますかぁ。」


 俺は腰を下ろすと、ハイテンションタイムに突入し、自分にマッサージを施し始める。


 まあ風呂上りだし、マッサージのタイミングとしては丁度いい。


モミモミ


 ・・・っ、何これ気持ちいい。


 マッサージの気持ち良さに、ハイテンションタイム中の超敏感状態が作用し、目くるめく快感が俺の身体を駆け巡る。


モミモミ


 ・・・小太郎はこんな快感を味わっていたのか。


モミモミ


 油断すると意識が飛びそう・・・おっと涎が。


ジュルリ


 身体に襲う快感に心を奪われ、貪るようにマッサージを続けていると。


『ピロリン。スキル『マッサージ三昧』がレベル2に・・・・。』


 ん~、気持ち良過ぎて何言ってるか良く分からんかった。


・・・・ドドドクン、ドクン、ドックン、ドックン


 ふぅ~、終わっちまったかぁ。

 にしてもハイテンションタイム中のマッサージは人をダメにするなぁ。

 あっ、人だけでなく猫もか・・・


 んで、取得した新特技の確認をせねば・・・


 お目当てのMP回復マッサージ・・・


 お願いしますっ!


~~~~~~~~~~~~~~

『気分爽快マッサージ』

種類 :アクティブ

効果 :マッサージ後に気分爽快になります。

~~~~~~~~~~~~~~


 ふ~ん、そう、爽快になるだけね~。


 って、ふざけんなっ!

次回、第五十八話 散々な一日。

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― 新着の感想 ―
[一言] うん。コレなら雷魔法で瞬間電気分解からの水素燃焼爆発のがありかも? 現実の理論に合わない部分はファンタージー補正って事でゴリ押しすればOKだなw
[一言] 粉塵爆発と水蒸気爆発がごっちゃになってる感
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