エピローグ
ーーーあぁ、おれってかっけぇ。
大学を休んで、昼間からビールを片手に海を眺める彼の心 の中はこんな感じだ。 何を考えるわけでもないのに、物思いに耽る自分の姿によっている姿は周りから見れば実に滑稽だ。
砂浜から眺める江ノ島は何か幻想的で、天気も晴れていて風が心地よい。そんなお昼時。
彼は普通の大学生だ。大学を休んで一人で海でビールというと、中二病をこじらせたラノベの主人公のようなぼっちのニートであると勘違いしてしまうかもしれないが、彼は普通の大学生だ。
友達もそれなりにいるし見た目も悪いというわけではない。ただほんの少しだけ癖がある。
『十人十色、みんな違ってみんないい。人間それぞれ個性があって、尊重すべきものだ。』
大学生になってからそんなことを考えるようなった。その多種多様な人たちの中でも、俺は感情の浮き沈みが激しい人間だと思う。
昨日見たアニメの内容に納得がいかなかった。 それだけの理由で俺は今大学を休んで海にいる。
ふと見渡してみると周りはカップルばっかりだ。
『別におれには彼女なんて必要がない』
彼はそんなふうに強がりながらタバコに火を付けた。
ここまですかしていると自分でも恥ずかしくなってくるものである。
そう、彼には彼女というものができたことがない。
これは、彼ーーサイトウ・マナブの初恋の物語。




