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作者: qmmkruz
掲載日:2026/06/10

短い現代ホラーです。

一人暮らしの始まりに起きた、ちょっとした出来事を書きました。

気軽にどうぞ。


希望の大学に合格した。

憧れの一人暮らし。さあ準備だ。そんな時期に諸々が被さってきやがった。

おかげで賃貸物件探しにも出遅れてしまったが、運よく、本当に運よく、家賃がとても割安な物件を借りることができた。


引っ越し、荷物を運びこんだ。

5階建ての5階の部屋。窓からの見晴らしがとてもいい。


段ボール箱を放置して、窓辺に横になる。

温かい日差しが睡魔を呼び込む。さすがに疲れた、寝る。


寒さで目が覚めた。もう夜だ。さすがにこの時期は、日が落ちれば寒い。

布団はどこだ?

明かりを点けぬまま、窓から夜景を望む。

街の灯りがとてもキレイね、ヨコ…、あれ?


ベランダに女の人が立っていた。

半透明というか、透明度90%くらいだろうか。

ちなみに透明度というのは、値が大きい方がスケスケである。


肩までのボブ、目には生気がない、ヤバイ会見をしている政治家並みに。

これはアレだ、ゆう…。

何だか怖い顔。でも美人さん。あー、服って着てるんだあ…。


窓を開けて、手でさっさっと。アレだと確信した、けれど何も起こらない。

うーん、どうしよっか。


とりあえず、1週間の様子見とした。


体調に変化なし。快食・快眠・快…、皆まで言わせんなっ。

昼夜、天候、一切関係なく、彼女は四六時中立っていた。立ち尽くしていた。

スケスケ度が高いからか、日中は見えづらいけれど。


家賃がとても割安になったのは、彼女のおかげなのだろう、きっと。


しかし、他人の目というのは、やはり気になるモノである。

他人様に見せたくない姿は、他人様には絶対に見られたくない、見たくない。

たとえ、それが同性であっても、だ。

オトメゴコロに例外は無い。


カーテン? アホか。せっかくの夜景、それも家賃のうちだぞ。


だから私は黒いテープを貼った。窓の内側、その顔の目の位置に1本だけ。

どうやら彼女も同じだったらしい。口元が緩んでいるからね。


遊びに来る友人たちには、いにしえの幸運のおまじないだ、と言っておいた。


読んでくださり、ありがとうございました。

見える・見えないの境目には、案外いろんな距離感があるものです。


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