【プロットタイプ】プライス・レス
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
価値が分からない時には、
『それ、幾らの値打ちになる?』
と内心では思います。
でも価値が分かるなら、何も言いません。
プライス・レス。
何かを提示された時、自分の中で価値を上手く換算出来ない時、大抵思う浮かべる言葉は一つだった。『それ、お金に換算すると幾らになる?』。
デリカシーのない言葉だとは分かっている。けれども最も明確で公平な基準である。
価値が分からないから、持ってくるだけである。価値が分かれば何も言わない。
普段は誰に対しても愛想が良く、棘の立つ言葉を控えている鏡花であるが、打算的な部分も相応にある。利用価値の無いものに興味を示さないし、利にならないものは総じて捨てにかかる。
そしてそのせいか、金銭に関しても相応にしてシビアである。得になる様なら支援を惜しまないが、無駄だと思ったら一円たりとも支払わない。そんな一面を、意外と気に入っている。
学生時代、鏡花とファミレスに訪れた時のことである。鏡花からの申し出で、フライドポテトを一円単位の割り勘にしたことがある。
下手に借りを作るのが、きっと嫌な質なのだろうと、その時から薄々予感はしていた。そして其れは今でも続いている。
そして今、高校時代と同じ場面に遭遇している。
「瑠衣たんさ、ポテト半分個しない?」
「あぁ」
「割り勘にする? あーでも、私の方が髪長いし、水道代は遥かに私の方が使ってるし、ポテト代だけじゃ埋め合わせ出来ないか。やっぱ……」
「割り勘で良い」
「あ、大丈夫だよ。瑠衣たんが大量の水を使うことになっても、取り立てる真似はしないから」
「……いいから早く頼め」
此処で思い出した様に生活費の話に持っていくのは、相手が俺だからかも知れない。
少なくとも、諭羅の前でその様な事を口に出した事は一度としてないし、諭羅と二人で出掛けた時の話からもない。
今此処で話すべき事ではない故に、遠慮もない。人前では決してしない。それ故にかなり気を許しているのだろう。
「お前、変なところで神経質だな」
そんな事気にする事はない。互いが互いに好きに生きるし、好きに振る舞う。嫌だと俺が拒絶してない時点で、其れは承認されたと言う事だ。変な気は要らない。
「いやいや、瑠衣たんとは長い仲でいたいからさ。こういう事はちゃんとしときたいなーって。
お友達とポテト割り勘する時も、大抵は一円単位なのね。で、何時も私の方が一円多く払ってるから申し訳ない。って言われたことあるの。でもその子達とは一円以上の価値は絶対あると思ってるからさ。あんまりとやかく……」
「一円以上の価値を感じているならば、 下手な気を使うな」
すると鳩が豆鉄砲を食らった顔をして、此方を見つめてきた。
「それもそうだね」
お金にがめついとは思ってるんですよ。
ただ何にでも代われますからね。お金って。
高校化学の『mol』に似てるから好きなんです。
これ一つで、どんな物にも化ける。
そうそうそう。聞いて欲しくて!!
お友達とのノロケ話。
中学ぐらいから、お友達とご飯行くじゃないですか。
私も誘われるままに遊びに行きました。
そしてよくやったのが、別々の物頼んで、分けっこして、金額は一円単位の割り勘。
端数の一円はじゃんけんで決める。
其れは中学、高校、大学と続く、暗黙の了解でした。
※『分けっこしよー』→『いいよー』→『じゃあ計算するね。端数出ちゃうわー』→『じゃんけんしよー』→『いいよー』。
勿論、きっかり出せない時は『お釣りいらない』ですが、其れが密かな楽しみでもありました。
んでもって『何時も一円多く払ってしまって申し訳ない』というを話題が出た時の話。
『一円如きでグチグチ言って、この関係終わらせるのが嫌。一円以上の価値があるでしょうが!!』
『一円を笑うものは一円に泣くんだよ……。一円を馬鹿にしちゃダメでしよ……』
という会話になりました。
歳をとるに連れて、たまに会う友人ってだけでも貴重なんですよ。価値とか付けられない。プライス・レス。
だから割り勘に対してそこまでグチグチ言いたくない。
でも皆だってそうだよね?
いつも数万単位で立て替えてるなら、『私、財布なの……』だけど、こういう話が出来る時点で、価値とか付けられない。
皮肉だけど。
一円の関係じゃない。そんな価値が付けられる様な、やっすい関係じゃない。
という話。プライス・レス。