成果
フェリー乗り場は参加校の生徒たちでにぎわっていた。思い出話しや笑い声、記念撮影なんかでざわついていた。はんが甲子園の延長戦をここで行っているかのようだ。
三人は青ざめていた。船に乗らなければならないからである。来島した時の酔いが否応なく思い出されたのだ。とはいえ、乗らなければ帰れない。
一応の成果を上げた美術部部長の鵜飼は今後の活動を思案しなければならない。それと同時に、描くことが自分の中でどういう位置づけなのか、なんてことがぼんやりと浮かんだ。将来はプロとか、そんなこと決めていない、決められない。ただ今言えるのは描くことがやはり好きだということだ。だから少なくとも決めていることは、描き続けることだった。
梅川はやり投げのトレーニングにまた新しいジャンルの開拓をするだろう。改札に並んで待っている時に、すでにスマホで動画を見ていた。覗きこんだ鵜飼も内海も苦笑いしたが。
内海は内心弾んでいた。鵜飼が早速段度ってくれていたからである。藤開に作業中に撮影した内海の姿をすでに送信してあったのだ。その返信には藤開のこれまでの内海への印象が芳しく改善された文面だった。何よりラインのスタンプが内海のひねくれを徐々にでもまっすぐに直してくれるだろう。




