エピローグ 魔法の効果が永遠になってからの覚悟
告白があった日から明けて。私は正式に琉偉のマネージャーの一人として雇われることになった。親会社も琉偉の影響力は見過ごせないものがあるんだろう。割とあっさり受け入れてくれて。
私は翌月から正式に琉偉のマネージャーとして、彼の傍で働くことになった。
「ねえ! 一宮琉偉のマネージャーしてたって本当!?」
会社へ私物を片付けに来た私に声をかけてきたのは、相変わらずあざとく可愛い格好をしている里奈だ。引きとめようとしたんだろう。困惑した顔の深雪もいる。
「…まあ、本当だけど」
急いでいるんだけどな。会社の外で麻木さんと琉偉が待っていることだし。
「ずる~い! 一宮琉偉って売れっ子俳優じゃん! なんで五月ばかり!?」
「まじめに働くからだって。そう言われてるじゃん。里奈も少しはまじめに仕事しなよ。きっといいことあるよ」
深雪が苦笑いしながら言ってくれたけど、少しだけ罪悪感に胸が痛む。魔法の薬に頼ったのは紛れもない事実なんだもの。けれど、それは私だけが知っていればいいこと。
私は魔法の薬に頼って琉偉に出会った。どこまでどう効き続けてくれるのか? 分からないけれど、彼に釣り合うように努力し続けよう。そう決めたんだものね。
「じゃあ、この後も仕事しないといけないから」
それだけを言って逃げるようにその場を後にする。マーメイドラインのスカートでは少し歩きにくい。けど、もう地味なパンツスーツだけじゃいられない。
「五月、キレイになったよね~。モデルみたいじゃん」
「里奈だって努力してるもん! なんで私じゃダメだったの!? 納得できないんですけど!」
「そう思うなら仕事しなよ。可愛いだけじゃダメな時代なんだって」
里奈と深雪の会話を背にして、私は急いでエレベーターに乗り込み、琉偉の待つ正面玄関へむかう。
どこまでオシャレできてるのか分からないけれど、琉偉のマネージャーとして映える格好もしないとね。その肝心の琉偉はというと…
「やあ。お疲れさん。男に声をかけられたりしなかった?」
出迎えてくれて嬉しいけれど、やっぱりくたびれたスウェット上下にサンダルだ。サングラスは麻木さんのかもしれない。
「そんなことあるわけないってば。私物を少し取りに行っただけなのに」
まだ少しぎこちないけど、敬語を使わないようにして答える。麻木さんは少し渋い顔をしているけど、琉偉が上機嫌にしているので黙っていてくれた。
「二人とも乗ってくれ。急だがスタイリストが琉偉の私服をコーディネートしたいそうだ。新しくインタビューも申し込まれてる」
「はい。分かりました。琉偉は興味なさそうだし、私が選んでもいいですか?」
「あぁ、ありがたいなあ。俺としては仕事が一つ減るからね」
麻木さんの言葉に二人で返す。どれだけ忙しくても私は琉偉の傍にいてあげたい。誰より近くで彼を見守って、理解者になってあげたいから。これからも積極的に仕事に取り組んでいこうと思う。
「いつも黒系が多いのは趣味だったの?」
「いや、スタイリストの趣味だったかな。俺は着心地良ければなんでもいいし」
タバコをやめた琉偉がそんなことを言いながら車の後部座席に乗りこむ。私も続いて乗りこんだ。会社のビルから里奈と深雪が見ているかもしれないけど、そんなことはどうでもいい。
「そうだ。俺の女だって証にさ。これ使ってよ。俺の香水」
そんなことを言うと、琉偉は私に香水を一振りした。確かに中性的な香りで好きではあったけれど… 本当に束縛するタイプなんだと分かって苦笑いしてしまう。
「はいはい。そんなことしなくても、私はほかの誰にも目を向けませんから」
「いいや、俳優仲間にいい女連れてるねって言われたんだ。分からないでしょ。今日もオシャレに決めてくれてるしさ」
そんなことを言ってるけど、琉偉はひどく楽しそうだ。誰のためのオシャレなのか? きっと分かっているはず。だから、笑顔でいられるんだ。自慢したくてたまらないから。
私の守りたいものはきっとこれなんだ。だって、私もこの上なく幸せだから…… 何があっても、きっと大丈夫。そう言い切れるから。
これにて五月と琉偉のお話は終わりです。
第二部(-ω-;) あるとしたら18禁ありになりそうです。
プロットが浮かぶといいです。




