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第七十五話 決意 ~One who bears the name”Domination”

 書き貯めが全く無い、自転車操業状態……(;´Д`) エンディングまで休みなしで行けるかなあ?



 青白い顔色、赤とも黒ともつかない色合いの吐血、出血にその身を染め、鷹城佐重樹(たかしろ さえき)はその立場に相応しい毅然とした態度で、間もなく死を迎えるであろうその身体を律していた。


 椅子に座っているだけでも辛いだろうはずのその身を横たえる事もせずに、連理を真っ正面から見つめている。


「それでもキミは……先に進むのかい?」


 その問いかけは真摯だ。

 心配している訳ではないが、それでも真剣に問い掛ける。


「当然だ」


 その答えに躊躇いはない。

 その為にここまで来た。

 内なる激情のまま、人間を叩きのめしてやって来たのだ。 まるでタタリやスレイヤーの様に。


「……理由を訊いても、いいかな?」


「アイツはオレの女だ。 取り戻すべきオレの半身だ。

 文句があるか?」


 臆面もなく言ってのける連理に、スレイヤーの長は目を見開き、


「いいや」


 と、短く答えを返した。


 そして今まで見せた事はない様な屈託のない笑みを浮かべる。

 先程まで以上に狂気などまるで感じさせない表情に呆気に取られるのは連理。 その隙に彼は《黄昏(クレプスクルム)》を鷲掴みにすると、その刃を自らに導き ――貫かせた。


「なっ!?」


「……餞別だ。 持って行きたまえ」


「何を言ってるんだ!?」


「喰うのなら最後まで喰えと言う話だよ。 食材に対する礼儀だろう?」


 色素の薄い瞳を向け、『ラスボス』が微笑む。 薄いのはその双眸だけではない。 指先も、零れた内臓も、薄く薄くなっていく。

 喰われているのだ。

 連理の持つ《黄昏》に、それを通して彼自身にも。


「食材って……」


「この奥には」


 言葉を遮る声には、今のその姿からは想像できない様な力強さ。


「《支配(イムベリウム)》と呼ばれるテルムの持ち主がいるはずだ……。

 取り返して見せたまえ、『彼女』を」


 今度は『挑戦してみろ』と言わんばかりの不敵な笑み。

 ファンタズマであるササを、今は狐と呼ばず『彼女』と言い、


「……詳細は彼自身に訊きたまえ。 ヤツは、そう言う男だ……」


 味方であるはずの『奥にいる人間』を蔑む様に言って、鷹城佐重樹は消えた。 霧に映る影の様に、ただの霞だった様に音もなく消えていった。


 連理は進む。

 ちからの漲るその身体を、『彼』を喰った《黄昏》を()ながら……。



◇ ◇ ◇



 そこは最奥かと思っていた鷹城佐重樹がいた場所よりもっと奥に存在する空間だった。


 鍵の掛かる金属製の扉を蹴破った先にあるそこは、広さだけなら先程の『ボス部屋』よりも更に広い。 グラウンドほども在る壮大な地下空間。


「何だ、もう来たのか? 社長も存外情けないな」


 連理の姿を見てそう言ったのは六十くらいに見える、初老の男だった。


 体型は中肉中背だが、距離のある今でもカサカサした肌が見て判る。 そうでなければもっと若く見える事だろう。 逆に言えば五十代前半でもおかしくはない。

 もっとも、天頂の一部は肌が露出しておりそのせいで年嵩に見える部分はある。

 手に持つのは金属製と思しき杖、腰と腿にあるホルスターにあるのは当然銃か。


 そんな男の傍に、ぼーっと佇むのはササ。

 そこから離れた場所にあるテーブルには複数の薬剤や注射器なども置かれているのが見えた。


 ならば彼女の様子がおかしいのは薬のせいか、テルムのせいか、もしくはその両方のせいか。

 先程鷹城佐重樹はテルムの事を《支配》と呼んだ。 それは至極解りやすい名だと言えるだろう。


 そう。

 とても解りやすい。


「あのオッサンもアンタには言われたくないだろうさ。

 そいつを返してもらうぞ、ハゲじじい」


「吼えるな! クソガキが!」


 男は冷静に見える連理とは逆に、いきなりキレた様子で金切り声を上げた。


「既にこのメスはおれが! このライアードが『支配』した!

 返すだと!? 返してどうする!? おれの支配下のメスと乳繰り合うのか! バカめ!?」


 男 ――ライアードがササを前面に押し出す。 彼女はされるがままだ。

 つまり彼女はテルム《支配》によって意思を奪われている状態と言う事だろう。


 メキリ、と連理の拳が鳴った。


 彼女の腕に、幾つもの注射痕が見える。

 だがそれは朗報でもある。

 彼女は鷹城佐重樹に気絶させられここまで運ばれたはずだ。 それでいて尚且つ薬剤を投与したというなら、男のテルムは《支配》などと嘯いても、そのくらいをしなくてはいけない『程度』のものなのだ。


「そうかよ」


 鷹城は『彼自身に訊け』と言ったが、なる程、この状況で騙し討ちも出来ない程すぐに激昂したコイツなら、少し誘導するだけで一から十まで話してくれそうではある。


 だが――。


 そんなのは連理が我慢できそうにない。

 《黄昏》を構え、すぐさま突っ込もうとするが、それよりも早くササがライアードの前を陣取った。

 男は特に命令を出した様子はない。 その様は正しく『支配』と呼べそうだが、動きは精彩に欠けるし、庇う位置についたもののこれと言って魔法を使う様な様子もない。

 支配しているというよりは、ぎこちなく糸で操っている様に見えた。


 ササが飛びかかってくる。


 その攻撃は何らかの武器ではなく、両手の爪。 今の彼女なら他者に対しそれなりの傷を負わせる事は出来るだろうが、それは今の連理に対してではない。

 一般人(ピュア)や肉体的に頑強ではない上坂朱音や如月白亜であえば有効だろうが、言ってしまえばその程度。

 これもだ。

 これも『支配』といいつつ結局支配してはいない証左。


 しかし、ぎこちない操り人形状態でも支配は支配なのか、ササの動きは緩急がない。 全力で動き続けているのか、息が徐々に荒くはなっているがその速度自体に変化はない。 彼女の肉体は以前よりずっと強靱ではあるが、それでもこの状態が続くのはよろしくないだろう。


 ライアードは常にササの後ろ ――とは言っても真っ直ぐ直線上ではないし、距離も取っている―― にいる為、直接狙う事は流石の連理も困難だ。

 と言って無視するのも面倒な相手ではある。


 ――ガァン!


 何せ銃を持っているのだ。


 今の自分に拳銃でどの程度のダメージがあるかは判らないが油断は出来ない。 ササの影から撃ってくるせいで軌道が非常に読みにくい銃撃をそれでも読み、躱す。

 彼らの目的からすると銃での致命傷は避けるだろうし、ササごと撃つという方法も取りにくいはずだ。 どの道拳銃(ハンドガン)ではササの身体を貫けても、勢いの落ちた弾丸では連理にまで致命傷は負わせられないのだろうが。


 だからササの身体は目眩まし、その攻撃は当たればマシ程度のものなのだ。


「諦めろ! お前はここで死ね!」


 ――ガァン!

 ――ガァン!


 だが先程のやり取りを見る限り、ライアードは気の長い方ではない。 むしろ短気だろう。

 連理から見た『タイムアップ』は、奴がキレ、ササに害を為しつつ連理を攻撃する時であり、それは決してそう先の事ではないのだ。


 ――何かないか!?


 ライアードは達人ではないが、それなり以上には銃撃もその立ち回りも優れていた。 操られたササがいなければどうにでもなる距離が、詰められない。

 そのササは虚ろな表情のままぎこちない動きで、それでもその身体能力を限界まで使い、連理の動きを阻害し、また攻撃を仕掛けてくる。


 ゆらり


 ふとササを見る連理の目に何かが揺らいで見えた。


 黒い、靄の様な『何か』。


 ――ガァン!


 ライアードの銃撃に邪魔されるものの、その『何か』は連理の視界から消えずにただ揺らぐ。

 ササの(うち)に、まるで纏わり付く様に居る『何か』。


 ――あれだ

 呪詛に近い『何か』

 ササを縛る『何か』


 それを感じ取る。

 いつの間にそんなものを感じ取れる様になっていたのか、それは判らない。 知らないだけで以前から出来ていたのか、それとも先刻に鷹城佐重樹を喰った時に得たものなのか……。

 いや、それはどうでもいい話だ。


 ――連理さんが《黄昏》をもっと使い熟せるようになれば、そういう斬り方も出来ると思いますわよ?


 いつか、徳倉鏡子の言った言葉を思い出す。

 思い出し、連理は《黄昏》を両手でしっかりと握りしめた。



 佐重樹を倒してレベルアップ! 喰ってステータスアップ&特殊能力をゲットしました(*^O^*)

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