閑話 封印
かぐつち・マナぱさまにイラストを頂きました!
可愛いッス!
何か結果的に色々注文を付けた形になって有り難いやら申し訳ないやら。 マジありがとうございました!
コレを目の前にして煩悩を抑え込むとか、連理は何処の聖人なんだろう、と思ってしまいましたよ。
だって、下着姿とか全裸とかペロペロとかされてるんだよ?
その日、帰寮するとササは何故かブルマだった。
いや、そんな服を持っているのは知っている。
初めて彼女に逢った日、隠れ里で手に入れたモノだ。
だが普通の服は何着も購入しているし、荒れ木三度Lossでも幾つか貰った為、それ以降着ているのは見た事がなかったはずだ。
「……ただいま。
何でそんな格好をしてるんだ?」
「お帰りじゃな、連理。
この格好には深い訳があるんじゃよ」
コントローラーを置き、彼女は真剣な顔でそう言った。
だから連理は大したことではないと判断し、話し続ける彼女を尻目に着替え始める。
「最近、暖かくなってきたじゃろ?」
「まあ、春めいて来ているな」
連理が「ながら」で聞いている事に気づき、ササも再びコントローラーを握った。
お互い慣れてきているせいか、この様な「お巫山戯」はなあなあになりつつある。
「そのせいじゃろうな。 ぽけーっとしておったら洗濯するのを忘れておっての。 着替えがなくなっとった」
「……あ~、お前さんの分は手洗いだもんな」
明らかに女子服であるササの服を、男子寮の洗濯機でこっそり洗う、なんて事も出来ず、彼女は基本手洗いである。 コインランドリーでもいいと思う連理だが、ササは日常的に使う気にならないらしい。
「うむ。 下着類は間に合うんじゃがな、それ以外はあまり買い足しとらんしのお」
ぶっちゃけ収納スペースの問題である。
所詮は寮のひとり部屋なのだ。
「あ~、不甲斐ない家主ですまんね~」
「それは言わない約束でしょ、おじいちゃん」
「ジジイ扱いかい。
それで、今日の分はブルマでいいとして、明日からの分は間に合いそうなのか?」
「大体はもう乾いとるよ。 まあ、厚手の服はまだ生乾きじゃが、明日になれば大丈夫じゃろ。
……あっ!? 武器が壊れたのじゃ!」
話しながらのプレイのせいか、油断したのか、声を上げるササ。
「壊れた? 何やってんのお前さん」
画面を覗き込むと、そこには特徴的な戦闘シーン。
初期のせいか、敵キャラ一体と自キャラひとりだけが対立する様に向かい合っており、側に虫の様にも見える妖精が飛んでいる。
ファミコン版『覇邪の封印』である。
長らく平和が保たれていた異世界で ――異世界という概念が既にこの時代にあったのである。 ちなみに初版PC88版は1986年発売である―― バァンドゥラの通路の封印が解かれた為異次元から邪悪な魔物が侵入してきたのだ。
そこで長老達に選ばれた戦士アーガスはその通路の封印をすべく、覇邪の封印を手に入れる旅に出るのだ。
一部ユーザーからはマゾゲー呼ばわりされた一品で、その理由のひとつはパスワード ――所謂『復活の呪文』の長さだろう。 何と100文字を超えているのだ。 ドラゴンクエスト2の復活の呪文は52文字である。 それでも間違いは多発していたものだ。
もうひとつは武具の耐久度だろう。
このゲームは中盤程までは非常にお金を貯めにくいのだが、その理由のひとつが異常な出費の強要である。
それが武器と防具の破損だ。
何せ一度攻撃を仕掛けると、武具双方の耐久が減る。 ゼロになると壊れる。 壊れてしまえば買い直しだ。
だがそのお金が単純に手に入らないのだ。
そこに『知名度』という数字が絡んでくるからだ。 まあ、知名度とは言っても実際は善行値と言える様なものだが。
このゲームには敵が三種類、考え方によって四種類いる。
ゲーム全体を通して敵になる異次元からの侵入者 ――異次元獣。
元々この世界に住んでいる魔物 ――地元獣。
それと善悪の人間だ。
異次元獣は強く、経験値も大きく、知名度がちょっと上がる。 しかし換金アイテムである『牙』をあまり落とさないという特徴がある。
地元獣はそこそこ強く、経験値もそこそこだが知名度がそこそこ下がる。 相手によっては異常に下がる。 だが『牙』の取得数は多めで特別なアイテムを落とす事もある。
人間は経験値は低く、その善悪によって倒した際の知名度は上下する。 だがどれも『現金』を持っている存在だ。
知名度は攻略する際に下げる必要性もあるが、基本的には高くキープしていきたい数字であり、また一定以上の数字がないと攻略に支障が出るものだ。
だが、最低値は10000。 そこまで下がったら殆ど復帰は出来ないだろうというものでもある。 この数字が低いと王も民衆もこちらを支援してくれないのだ。 情報もくれないし、アイテムもくれない。 ○○する、という許可も下りない。
フィールドで出現する敵は当然ランダム。
現われた相手からは、善の人間でない限り、逃げた時には大抵追撃を受ける。 その時にはダメージだけではなく、防具も破損していくのだ。 やっかいである。
平地より森の中の方が強い敵が出る様になってはいるが、初期は兎に角「人間キャラ」を倒していきたいのだ。
そう、勇者であろうがなんだろうが、積極的に倒していきたいのは現金300ゴルダ(お金の単位)を持っている『とうぞく』。 そしてそれよりも美味しい『しょうにん』である。
商人には普通の商人と悪徳商人がおり、悪徳商人を倒せば2000ゴルダも入手出来る。 ただしこの二者は双方『しょうにん』と表示される為、注意が必要だ。 もっとも注意をして見ていれば2000ゴルダと知名度の上昇をする悪徳商人は、赤い服を着ている事に気づくだろうが。
だからといって悪の人間だけを選んで倒していくのも難しい。 人間キャラはダンジョン以外であればどこにでも顔を出すし、異次元獣はどこのマップにでも出現するのである。 この世界は彼等に侵略を受けているのだから。
ちなみにこのゲーム、世界地図はゲーム上ではなく物理で入手出来る。 というか布製のワールドマップが同梱されている。 超合金製主人公アーガスのフィギュアも一緒。
ちょっとかっこいいのだ。
反面説明書に描かれたイラストは古いアメコミっぽくて、好みにもよるだろうがちょっと微妙な感じだ。 メディアという女性の仲間もいるのだが、彼女の顔はどこか石川五右衛門っぽい。
「……序盤だったらやり直した方がいいんじゃないのか、それ」
この覇邪の封印というゲーム、素手で戦う事も可能だが、実はアーガスの持っている初期装備の短剣(グラフィックはいつでも長剣だが)は店で買う物より若干強い。
序盤で壊すのはお金以上に勿体ないのである。
「何でじゃ?」
「武器は高いし、最初の内は金が貯めづらいからな」
短剣は一本で3000ゴルダ。 悪徳商人の財布を弄っただけでは買えない金額である。
とうぞく ――賞金首十人分と言えばその高価さが判るだろう。 長剣の場合は8000ゴルダ、とうぞく二十七人分だ。
「おぬしがそう言うという事は余程なんじゃな」
「まあ、悪循環に陥りやすいゲームだしなぁ」
手っ取り早くお金を貯めようとするなら、知名度を無視して地元獣を倒していこう、という思考に傾きがちなのだが、知名度は上げにくく、そもそも異次元獣は実入りが少ない相手が殆どなのだ。
レベルがカンストしているのに知名度の為だけに強敵と戦わざるを得ないというのは、ちょっとした苦行である。
正しくマゾゲーだ。
「というか、オレに対する認識がヒドくないか?」
「いや、正しい認識じゃと思うとるよ?」
ササの尻尾が、隣りに座った連理の顔を叩く。 ふわふわしていて、当然痛くはないのだが、くすぐったい。 肉体的には勿論、精神的にもくすぐったい気持ちだ。
と言って甘んじて受け続けるのもバツが悪い気がして、連理はその尻尾を膝の上に置くと犬の背でも撫でる様に手を動かし始めた。
「ん………」
「……そういや今さらかも知れんけど、トリミング用のブラシとか、あった方がいいんかね?」
「んぁ…………。
抜け毛くらい……自分で処理をしておるわ。
じゃが、ぶらっしんぐをしてくれるというなら吝かではないのじゃ」
少しだけ頬を赤くした彼女は、そう言って連理の頬へ軽く口づけた。
いつもの様に舐めるではなく啄むではなく、その金にも見える瞳を潤ませながら、そっと口づけた。
ワタシは四人目が仲間に出来ず、諦めたクチです。 知名度の高さが必要なのにー7000くらいまで下がってしまった知名度に絶望しました。
一応エンディングは見てますよ? 雑誌に載ってた最強パスワードとか使って……。
攻略本にワンカットだけ載っていたデフォルメテラリンさま(ラスボス)が大変可愛らしいかったのだけど、この広大なネットの海でもぼやけた画像しか探し出せなかったんだよね。 イラストレーターさんは誰だったんだろう?




