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閑話 妖精

 背後からの奇襲強襲は、戦いという本分から見ると当たり前の事でしょう。

 でもそれを、勇者や英雄と言った人間が行うと「おやっ?」っと思ってしまうのは仕方のない事なのかも知れませんが、ちょっと大変ですよね。 周囲の目を気にして正々堂々としか戦えないとか、罰ゲームですよ。




 コンピューターゲームというのは意外と古くから存在する。


 家庭用ゲーム機の先駆けと言えば任天堂から1983年に発売されたファミリーコンピューターだが、家庭用と銘打っているのは伊達ではない。

 1972年当時、既にアーケードゲームと言われた大型ゲーム筐体は全国の喫茶店や雀荘といった場所のみならずスーパーの片隅やボウリング場等に設置され、のちに若者達が入り浸るゲームセンターと呼ばれたアミューズメントセンターも起ち上げられた。

 そもそも同じく任天堂から発売された携帯用ゲーム機ゲームウォッチは1980年の発売であり、ファミコンよりも前である。

 またパソコンで作られたゲームは1960年代にあったとされており、ファミコンより二十年も前にあったというのが解るだろう。



◇ ◇ ◇



 何時もの様に室内では、ササのプレイする単音で構成されたレトロな曲が流れていた。


 フィールドマップはほぼ緑色で埋め尽くされているが、それは場所が草原だからだろう。 マップから考えると随分と巨大な川、というかブロックで区切られているから水路だろうか? そんなものもあり、モンスターだらけの世界でよくそんな物を造れたなあ、と思わせる。


 そんな草原の彼方此方には、以前プレイしたドルアーガの塔にもいた、スライムと酷似した敵性存在が確認出来る。 まあ、スライムだが。

 フィールドマップを囲うメニュー部分は何故か紫色っぽいの煉瓦。 その右上にはタイトルロゴらしいモノが書かれているが、ドットが荒いのに意匠を凝らしすぎて、微妙に読みにくい。

 ちなみにカセットやパッケージに描かれたイラストは秀麗だ。 ドット絵キャラとは似ても似つかない。


「ひゃっ!?」


 ササが悲鳴を上げる。

 何せスライムと正面からぶつかった主人公のLIFEがガクンと減ったのだから驚いたのだろう。

 そう、このゲームではどんな相手でも「正面」からぶつかってはいけないのだ。



 ――ハイドライドスペシャル。


 フェアリーランドは三つの宝石により平和が保たれてきたのだが、とある盗人が宮殿へ侵入、そのうちのひとつを盗みだし、その結果悪魔バラリスが復活してしまう。

 バラリスはアン王女をどうやってか三体の妖精(フェアリー)に分け、国の彼方此方に封印し、自身を封じていた残りの宝石も隠してしまった。

 主人公ジムはそんなバラリスを倒す為、何故かひとり立ち上がったのだ。


 話としてはありきたりな流れでありながら、ツッコミどころ満載。

 当時はクソゲーとも評価された作品で、パソコンから移植されたフィールドタイプアクションRPGである。


 マップが解りにくい、宝箱の出し方が解らない、何をしたら良いのか解らない、等と言った情報不足が主だった原因だ。

 もっとも、マップが解りにくいのは、表示される範囲が狭いだけなので、慣れてしまえばどうにかなる。

 宝箱は、実際なくてもクリア自体は可能だ。

 マップを精査し、行ける場所を増やしていけば、自ずと出来る事が解るので、クソゲーと言われた原因はある程度取り除けたりするのだが。

 実のところ、そんな部分よりも大変な要因があるのが、このハイドライドスペシャルなのだ。



 まず、正面からぶつかるとこちらが大ダメージを受ける。 こちらから攻撃を仕掛けるのは、敵の横か背後からが鉄則だ。

 仕方なく正面からぶつかる場合はATTACKモードではなくDEFENSEモードで接敵し、やり過ごすか敵の背後へ回るのだ。

 だというのに、これをし難いのがスタート地点の側にいるスライムや迷宮内に潜むローパーである。 どちらを向いているか非常に判別し難いこの二者はある意味このゲームの鬼門なのだ。



「あっという間にLIFEが半減!? これ如何するんじゃ!?」


 そしてこのゲーム、もうひとつ鬼門があるのだ。


 恐ろしい事にこのハイドライドはRPGという戦いを繰り返すゲームであるにも関わらず、薬草やポーションと言ったLIFEを回復する為の手段が極めて少ないのである。

 作中で、LIFEを回復出来るアイテムは水竜を倒して手に入れられる「不死の薬」一個のみ。 不死と言いつつ効果はLIFEがゼロになった際一度だけの体力回復だ。

 後は「何もせずに待つ」という手段でしか回復出来ないのである。 その速度は酷く遅い。 しかも迷宮内だと更に鈍化するのだ。


「動くな。 さすれば救われる」


 連理は片手を立て、所謂帝釈天印と呼ばれる片手手印を構えながら、厳かに言った。 片手を縦に伸ばし、人差し指を中指に引っ掛ける手印である。


「無茶言うでないっ!?」


 当然アクションRPGであるから、こちらが何もしなくても敵は動く。

 作中に何カ所かある「安全地帯」を見つけられないと、詰む事はなくともかなり厳しいのだ。


「そこの画面右上のスライム、後ろからちょいちょい(つつ)いて倒しちゃえよ」


「後ろ……って何処じゃ!?」


 Q:戦いのコツはありますか?


 A:正面からは戦わないで下さい。 側面か後方から攻撃しましょう。


 Q:スライムの正面ってどこやねん


 A:進行方向を確認しましょう


 ってなもんである。

 とは言っても、急にUターンしてくる場合もあるので正面の判らない敵は中々辛いかったりもする。

 しかし、このハイドライド、イースより先に秘技「半キャラずらし」を世に広めた功労者でもある。 敵キャラクターと直線上に自キャラを配置せずに、キャラクターを半分程ずらして攻撃するのだ。 すると大体敵から受ける攻撃の回数が半分程になる。

 だが悲しいかな、こちらは障害物等に自キャラであるジムくんを引っ掛けないと上手くいかないのだ。

 イースの主人公アドル=クリスティンは正面からの半キャラずらしで楽に倒していけるのだ。 もっとも、イースⅢは横アクションスクロールRPGになっているので伝統芸と化した半キャラずらしは存在していないのだが。

 ちなみに迷宮内で死にやすいのが、障害物に引っかかってその隙に攻撃されるパターンだ。 何せ障害物に引っ掛けられると言う事は、それを自動的には避けてくれないという事でもある。 今時のゲームの様に障害に沿ってひょいひょいと移動したりはしないのだ。 その為、敵の攻撃を躱そうと急ぎ脇道へ逸れる時が一番危険なのである。

 逆に言えば咄嗟に半キャラずらしで攻撃出来るほど操作を熟達できたのなら、このゲームはそれ程難しいものではない。

 だが、それは初心者に出来る様なものではない。


「あっ、やられたのじゃ」


 コミカルな音を立ててGAMEOVERの文字が表示される。


「敵、強くないかの?」


 スライムの外見はドルアーガの塔とほぼ一緒で、あちらでは一撃必殺であった。 Wizardryでいうならクリーピングクラッドになるのだろうが、あちらも戦闘職ならほぼ一撃で倒せる。

 というかファミコンだとスライムは大抵弱い。 強めのスライムはファイナルファンタジーシリーズのグリーンスライムやグレイウーズ系とマドゥーラの翼のニュールなど極一部に過ぎないのだ。(ただしほぼ全ての敵がスライム・ゲル状っぽく見えるエイリアンシンドロームを除く)


「その辺はまあリアリティ、なのかね?」


「……リアル、かのぉ?」


 「此方側」に実在するスライムはヤバいくらい強い。

 ほぼあらゆる種類で物理攻撃が効かず、ある程度広く効果を現すのが熱・火炎系の攻撃。 だが、それでも効かないヤツには効かないので、それだけで相手取るのは無謀だ。 ありがちな「核」なども存在しないのだ。

 直接攻撃しか出来ない上、液体・気体の攻撃には滅法弱い膝丸健斗などは会ったら逃げるしかない。


「経験を得られるくらいだと、自分と相手は同じ様な実力だろ? 単純に同じステータスと仮定したら、お互い同じくらい殴れば倒せる訳だ。 と言ってそれだと流石にゲームにならないから自キャラより若干弱いくらいになってるんじゃないのか?」


「……まあ、そう考えるとリアルなのかの?」


 それは戦い強くなる上で、リアリティが欲しいならあった方が納得出来るシステムだろう。 普通弱い相手を倒して得られる経験など殆どなく、例えば一撃で倒せる様な相手など、それが千であろうが万であろうが身になるはずもない。 あっても精々が素振りと同等の経験だ。


 デザイナーにそういう考えがあるかどうかはさておき、このゲームでは自身のレベルに応じて取得経験値が下がる。 常に強い相手と戦わなくてはいけない、難儀なシステムなのだ。

 ちなみに序盤の経験値稼ぎで有効なのがローパー、中盤であればサンドウォームだろう。

 ローパーは迷宮から、サンドウォームは砂漠から出て来ない上に、このゲームは画面が切り替わっ(スクロールし)ても敵のLIFEは減ったままであり、常に動いている敵キャラは回復する事もない。

 ちくちく攻撃しては自身は安全地帯でLIFEを回復、そしてまた攻撃という卑怯な手もこのゲームには必要なテクニックである。

 これに更にシールドアタックを加えるとかなりレベルが上の敵でもどうにかなる場合もある。 まあ、手間に見合う経験値が貰えるか、というと微妙だが。


「……何か、みみっちいのぉ」


 そんなテクニックを聞いたササは、ちょっと引いた。 いかにも主人公らしくない攻撃の数々は必要と言われても納得しがたい。

 だが、城の守り手であるウォータードラゴンもラスボスのバラリスも、そうしなければ倒せない強敵である。 というかATTACKで突っ込むと死ぬしかない。 LIFEがフルであっても一撃死だ。


「気にすんな。 この主人公は勇者とか英雄みたいな他と隔絶した存在なんかじゃなくて、普通の騎士なんだから」


 己のプライドより、国の平和を守るのが騎士である。




 小学生くらいの時に、初めて見たパソコンゲームは記憶媒体が「カセットテープ」のハイドライドでした。

 ロード時間は極めて遅く、ゲームを開始するまで20~30分は掛かったような……?

 一度読み込んでしまえば、フロッピーディスクの様に一々読み込む事なく、スムーズにプレイ出来た様な気がします。

 でも子どもだったので、読み込んでいる間に他の事に気を取られてしまうんですけどね。

カセット>>>FD>昔のCD>MO>今の光学メディア類>USB>HD>SSD

 実際使った速度感は体感じだとこんなモン? USBは規格差が大きいので一概には言えませんが。 MDは使った事がないので解りません。


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― 新着の感想 ―
ハイドライドスペシャルはFC版を少しだけプレイ。 これも途中で投げました〜! ヾ(・ω・*)ノ 立ち止まって回復くらいしか、もう覚えてないです。 (^~^;)ゞ MOはCDより遅かった記憶……。 …
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