第二十七話 神なんてろくでもないって知っている
連理が学校で隠れ里に迷い込んでから、もう二月が経過しました。
十一月も下旬となると気温が下がり雪は舞い始め、冬の様相を増していく。
霜月なんて名付けられたのは伊達ではないのだ。温暖化だ暖冬だと言ってもやはり街歩く人達の装いは冬に相応しい厚さへ変わっていくのである。
流石に「仲冬」という呼び名は今や言い過ぎたような感もするものの、暦の上では立冬を過ぎ小雪となる時節だ。寒さもひとしおである。
荒れ木三度Lossに於いてもそれは変わらない。
秋口から徐々に衣替えが始まり ――社員福祉の観点からその辺りの自由度は高く、一度に全員が冬服に替わったりはしない。厨房スタッフなどはまだ半袖である―― 長袖の冬制服の者も随分と増えた。
といっても冬服もカラーリングは変わらない。白生地に青と赤をあしらったデザイン。聞くところによると、白はシャリ、青は青魚、赤は赤身を表現しているという。
連理やササは身につけることはないが、板前が頭に巻くのは黒い鉢巻きでそちらは当然のように海苔を表わしていた。
本当かどうかは判らないがそのデザインには顔も知らない社長が噛んでいるとの噂もある。妙な社名といい、謎の多い社長であった。
ともあれ、何時ものように商店街を歩く連理とササである。
危険手当とも言うべき報酬が追加された明細は意外な程多く、二ヶ月弱の給料とは思えない程の大金が口座に入っているふたりだ。いや、命を掛けているのだから意外では無いのかも知れないが、年齢不相応の入金に戸惑うばかりの連理だったりする。
ただ、良くも悪くも、双方ともに余り金を使う趣味がない為、基本偶に外食する時に品が良くなる程度しか使っていない。
まあ、最近は冬物購入でそれなりに出費していたりするが。
そんなふたりの近頃の悩みは収納だ。
ワンルームにふたり分、しかもササの分はきっちり隠す必要がある為中々大変ではある。
安アパートでも借りて……、何て方法もない訳ではないがそもそも学生身分の連理がそんな引っ越しをする等普通に考えるなら現実的ではない。資金はあり、コネもあるので出来なくはないのだが、親への連絡等はどうにも困る。
「引っ越すけどお金の心配はいらないから」などと言われて納得する親は、いない訳ではないだろうが決して多くはないだろう。
それに加えて「黙っていても食事が用意されているという生活は何とも捨てがたい」とのササの談だ。多少の手間でそれが省けるのなら十分に過ぎる、という。
実際連理にしても出来る料理など、簡単手間いらずのレンチンか、焼くか炒める男料理くらいなものでしかないのだから納得するしかない。
そんな訳で時間のある時にちょっと収納グッズを見て歩くふたりである。
時節柄、白をベースに緑や赤、黄色で彩られた商店街は見るも華やかで明るい雰囲気を放っていた。
年末商戦、というやつだ。
多少寂れてきた商店街であってもそれは変わらない。寧ろ普段の客入りが減っている分、こういうイベントには地域で協力し盛り上げようと努力を重ねている。
「別段信者という訳でもあるまいに、如何してここまで盛り上がるんじゃろうなぁ?」
「騒げれば何でもいいんじゃないのか? 火事と喧嘩は江戸の華って言うし」
金を使う趣味のないふたり ――悪い言い方に変えれば、何かをしようとする気概のないふたりでもある。勿論金を使わない趣味は多々あろうが、今の世の中、ひとつに集中して物事を成そうとするなら、何処かで金はかかるものだ。
絵を描くならそれなりの種類の画材、字を書くなら筆記用具だが突き詰めるなら一本何万円もするペンが欲しくなるだろう。それかタブレットやノートパソコンか。
歩くだけのウォーキングでも拘るならお高いスニーカーが靴屋には鎮座している。
であるから、そう悪くない言い方であれば、物事に拘らないふたり、とも言えるのかも知れないが。
「何、枯れたこと言ってんの?」
横から声を掛けてきたのは外見は小学生の少女 ――榊 栞だ。その横には父である榊 隆盛もおり、ぎこちない笑顔を見せ軽く頭を下げてくる。
「やあ、こんにちハ。 買い物かイ?」
前回の邂逅以来、榊家の四人はそれなりの頻度でアレクを訪れるようになっていた。組織入りした、という訳ではなく「外部協力者」といった立ち位置に落ち着いている一家は、アレクの庇護下である程度落ち着いた生活を送れないかと模索しているのだ。
それは決定権を持つ香が組織入りを拒否している為、この様な、言うなれば半端な位置にいる状態だ。
もっとも、そうだとしても香としても甘えてばかりいるのを良しとはしていないのだろう。
これまでに入手した大量のテルムを持参しての事だ。
大量の、正しく玉石混交の代物ではあったらしいが、そもそもテルム自体がアレクには余裕がない。 《黄昏》程担い手が少ないモノなら、感傷に浸る期間程度であれば貸し出すことに抵抗はないものの、もし連理が現われなければそう遠くないうちに上坂透の形見となったテルムは回収されていた筈だ。
それくらいには余裕があると言えるし、それ程には余裕がないのだ。
であるから、アレクとしても、この「手土産」は有意義で非常に価値のあるモノであった。
対破魔退魔用のアクセサリーを急遽確保した上で支店近くに拠点を用意する程度には。しかもこの拠点、近場の門 ――それは当然支店内にあるものだ―― へ魔術的に『道』を通したという破格のモノだ。そこには保護という名目と、戦力を確保するという思惑もあるのだが、相互扶助としてはこの上ない形で治まったと言えるだろう。
もっとも、香自身の認識はあくまで「外部協力者」。とは言えその立場は窮屈そうではある。一応顔を立ててくれているのか、スレイヤー襲撃の回数は多少減っているらしいが。
ちなみに耶彦の部屋も隠れ里内の支店の中に確保され、この拠点からはほぼ直通の位置にある。お陰で暁のメンバーとも再会できた彼は皆と同じようにアレク入りしており、里での探索を主とする人員となった。
また耶彦の知見と、当時近場を一帯見渡すこととなった香により、暁メンバーの内行方不明者 ――もしくは死亡者―― がより一層はっきりした為、捜索・探索範囲が狭まる事となった。これで多少なりとも捜索が進展する筈だ。
「あ、こんにちは。 部屋が手狭になってしまって、と言って引っ越す訳にも行かないので、いい収納でもないか、と」
「そういう訳じゃ。 特段今の生活に不満があると言う話でもないんじゃが、わんるーむ? とやらじゃとふたり分の衣類は嵩張るでな」
「なるほド」
応える隆盛の表情は酷く強張って見えるが、この特徴はロジーナと同じく、死の間際に散々顔の肉を抉られた結果だ。きちんと収まるべき場所へ収まりきらなかった肉が、表情を作らせないでいる。
妻より再生能力に優れたアンデッドになった彼だが、そうなってしまう前の古傷は未だ完治しないでいるのだ。特に舌は引き千切られたせいかアクセントがおかしくなったり呂律が回らないことも多くなったと言う。
「ボクには出来ないけど、収納部分を隠れ里に移ス、という方法もあるらしいヨ?」
「お宅のことを聞いた時に確認したんですけど、一旦出来た『道』を消すのは簡単にはいかないそうです。 後一年ちょっとで卒業なんですけど、逆算すると半年も使わないうちに消去する準備を始めなくちゃならないみたいで」
当然その他に然るべきモノが必要な訳だが、それは態々言う必要のないものだろう。
「そうカ。 何事もそう上手くはいかないモノだネ」
「ウチに収納できる場所空いてるけど、貸す?」
そう口を挟むのは栞である。
代謝が極限まで減っている彼女らは、衣類というモノの必要性は低くなっている。
当然羞恥心は持ち合わせているのでゼロにはならないし、おしゃれを気にするならその必要性は一気に増すが、逆に気にしなければ着た切り雀でも余り問題にならない。
というかアレクの用意した拠点はお屋敷や一軒家とは言わないものの、それなりに豪華なマンションのワンフロア丸ごとである。これから事情ありきのファンタズマが隣人になっていく、はずだがそれまでは榊家の貸し切り状態となる。
それでも最低限ひとり一室が約束されており、収納スペースは広い。
「ありがたい申し出ではあるけど、今いるのが寮だからな。 一度や二度なら見つかっても何ら言い訳は出来そうだけど、頻度が高いと怪しまれそうなんだよな……」
「そう言うって事は以前に同じ様な話ガ?」
「はい、前に支店経由でどうにかならないかって。 でもどう考えても怪しいんですよね。 段ボール一箱ないくらいとは言え、ちょこちょこ持ち出しするって」
箱を持つ仕種をしてみせる連理だが、確かに手荷物サイズとは言え、それが頻繁に持ち出されるとなると間違いなく目を引くだろう。しかもその半分はササの ――つまり女性物になるのだ。
「……まあ、確かに……? 冬物だとカバンなんかに隠すのも限度がありそうね」
出逢いの時点で解ってはいたが、この幼く見える少女は随分と気さくである。遠慮無しに寿司に食らいつく様は正直見たまま小学生のものであったが、それ以外の部分は寧ろ年嵩の女性のようにすら思える時がある。
「じゃろ? 幻術で誤魔化せる範囲じゃがスレイヤーに見つかると厄介そうじゃしな」
「ん? 学校にいるの?」
「上坂の話だと『いてもおかしくない』とさ。 たまに使い魔が消されるらしい。 勿論事故や別の要因もあるだろうけど。
まあ、少なくとも頭のイカレた様なヤツは見たことないんだけどな」
スレイヤーはアクマへの復讐の為に組織入りする者が半数を占める。
復讐の一念でちからを追い求めた者達は、結果ちからを得られない時、アクマを捕食しデモノイーターとなったり、テルムと適合する為に自らの躰を改造しクリエイションへ変えたりするのだ。
そしてそうなった者達は精神も肉体も変容させていく。 ヒトとは違うモノに変わっていくのだ。
そうでない殺戮者達はある意味最初からおかしい訳だが。
「ゴキブリね、まるで」
何処にでも湧く害虫に対するような、そんな嫌悪感を隠さずに言う栞の瞳は昏い。物理的には、今細目でいるから暗く見えるだけのはずなのに、それ以上の昏さを感じてしまうのは何故なのだろう?
認識の違いだけである筈なのに、そう感じてしまうのは何故なのだろう?
「そうか」
彼女がそう言う事に納得は出来る。そう言ってしまう気持ちに納得は出来る。
一方で、今まで会ったことのないタイプのスレイヤーである渡来絢との邂逅が連理の内心を密かに揺らしていた。
それまでのスレイヤーと言えば「単純悪」であり「襲撃者」であった。だからこそ刃を向けることに折り合いを付けられた。
――知人のファンタズマの為に自身を危険に晒したスレイヤー。
彼女が敵となって目の前に立ち塞がる時、自分は立ち向かえるのだろうか?
自身にそう問わざるを得ない。近場に居を構えるであろう彼女は、いつか敵として会うことになる筈だ。
想定しなくてはいけないのだ。
戦いを。
また、そんな知人が出来てしまったからこそ、単純に栞の言葉に同意できなくなった自分がいた。
栞に、榊姉妹に連理は言った。
復讐を止める権利はない、と。
ならそれは相手がスレイヤーでも当てはまる言葉ではないのだろうか?
スレイヤーに所属する復讐者達。彼ら彼女らを止める権利など自身にあるのだろうか、と。
「何よ~、にえ切らないっ」
連理の反応に栞は納得がいかないのか見るからに不機嫌な様子になった。
腕を組み、顔はそっぽを向いてこちらを見ようとはしない。何というか、構って欲しがっている子どもの仕種だ。
父たる隆盛はその様子を見て苦笑い。
「あ~、すまんすまん。 ちょっと考えることがあってな」
その様子に、連理は然したる意味もなく彼女の頭に手を乗せた。あえて理由を付けるなら、小さい子どもの注意を引く為の、自分はキミに気にかけているんだよ、と解って貰う、その程度の「ポンポン」だ。
一瞬、触れた手から彼女が硬直したのが判った。
彼女が反応する前に彼の思考は「不味い」と理解した。だがそれ以上のことは解らないし出来なかった。気づいたとて、刹那とも言える時間に何が出来ようはずもない。
「――ぃやっ!!!!」
栞はたったそれだけの行為に激しい反応を示した。
即座に連理の手を払いのけると隆盛の後ろへ回り込む。一瞬見えたその瞳は酷く怯えて見えたがすぐに視界から消えた。
今にも泣き出してしまいそうな、恐怖に震える瞳を認識した事で、漸く連理は己の失敗に気づいた。
だが、気づいただけだ。
多少仲良くなれたとしても、知り合って一週間程度の「男」が軽々しく触れるべきではなかったと、そう気づけただけだった。
目の前で、自身が正しく恐怖の対象だと認めた、小刻みに震える少女にどう対処したらいいのか解らず、ただ硬直する。
――頭が真っ白になるってのはこういう事か――
そんなことを考える余地はあるのにそれ以上の事は全く考えられない。
どうしたらいいのか、という気持ちさえ形にならずに脳裏を漂う。
「……――あ……いや、違……」
少女が何かを言っている。いや、言えないでいるのか?
震える瞳が何時の間にかこちらを見ている。
聞こえない? 今なんて……?
「連理ぃ!!!」
耳元でササが叫ぶ。
衝撃すら感じる声に、気を取り直した彼は自身の名を呼んだササを見て、前を見て、そこに気落ちした様子の隆盛しかいないのを理解した。
栞は最後に少しは気を取り直したものの、それでも動揺したまま逃げ出したのか。
不用意に、不必要に触れてしまった連理から。
連理は己の動揺を隠せないまま、少し彼女に触れた手を見ていたが、それでも隆盛の方へ体を向けそのまま頭を下げた。
「すいません、オレが不用意にあんな……」
「……いや、すまないボク達の責任だヨ。 いくら普段から明るく振る舞っていてモ、アレがトラウマになっていない筈がなかったんダ……。 全く、そんな事に気づけないなんテ、親としてホント情けない限りだヨ」
確かに事情を知る者として、連理の行動は不用意であったと言わざるを得ない。
その辺りは敢えて接触を控えていた夕陽ら「暁」の面々が理知的であったと言える。
しかし、連理と彼女の邂逅は唐突であったし、その後の付き合いにも可笑しな所はなかった。伝え聞いただけの話で付き合い方を変える、とはならなかったのだ。
仕方ない、そう言える状況では、ある。
「何にせよ、ここは大人の出番ダ。 頼りにならない大人だけれド、ネ」
苦笑して隆盛は続ける。
見ただけでも栞はアレクの人間達と良い関係を作れていると思う。香は内心どうも物怖じしている様だが、時間の問題だろう。
栞は香と違い実際の被害に遭っている分、関係の薄い男性に対しては恐怖症とも言うべき症状を患っていたのかもしれない。香の思考は憎悪や殺意といった方向へ向いたせいか、そういった症状には表れていないが。
いや、栞の状態に気づけなかった親が香の症状に気づけていたと考えるなど傲慢か。香にも見えていないだけで別の症状があると考えるべきだろう。
今考えるのは栞の事だが、あの娘には黒澤耶彦という問題なく接触できた前例がいる。
恐らく慣れの問題もあるのだ。
なら――――。
「キミなら栞を抱きしめておけるだろウ? いざという場合はボクが許可すル。 ぎゅーっと抱きしめてやってくレ」
「なんでそうなるんじゃ――――っ!!?」
目の前で「浮気」を勧める「大人」に、ササは思わず突っ込みを入れるのだった。
◇ ◇ ◇
「おや、珍しい。 礼拝堂に来るなんて初めてではないですか?」
小さな丸眼鏡を掛けた神父が来訪者に言ったのはそんな台詞。
歓迎の意は見受けられない。といって拒絶している訳ではない。
ただ、ありのままに受け入れる。
「別に大した用じゃねーさ。 街中が賑やかしいからよ、ここなら上手いモン食わせてくれるかと思った……ん、だが?」
声を掛けられたのは如何にもなチンピラ風の男。以前よりも一層数を増やした装飾が煌びやかに光を照り返す。
彼は普段と何ら変わらない ――彼がここに来たのは初めてで、彼自身にそれを見極める術はないが―― 礼拝堂を見て、不思議そうに首を傾げた。
「何故、街中が賑やかだと食事が出るという話に?」
「あ? そこにいる髭のオッサンの誕生日なんだろう?」
チンピラ ――掛居東誠の示す先には磔にされたキリストの彫像がある。その彫像は何故か頭部が砕けており、髭部分だけが名残惜しそうに胸部へ張り付いていた。
「……11月ですよ?」
神父は呆れたようにわざとらしく溜息を吐き、そう言った。いや、間違いなく呆れているのだろう。 口調が、表情がそう言っている。
「あん?」
掛居は不思議そうに真藤を見る。その表情に普段の凶悪さはなく、まるで子どもの様にすら見えた。
いや、ある意味純粋な彼は何時でも子どもの様だと言えるのかも知れないが。
「ですから、今月は11月ですよ、掛居さん。 一月、早いですね」
そのせい、という訳ではないだろうが真藤の口調は子どもに言い聞かせるような、一句一句句切る様な話し方だ。
「ああ!? マジか!?」
「ええ。 ですが、先日も特別報償を貰いませんでしたか? 態々ここへ来なくても好きなものを食べたらいいでしょうに」
スレイヤーの特別報償はアクマを殺した数や質に応じて支払われる賞与扱いの給料だ。シャドウのようにすぐ消えてしまうモノは画像に残せた分だけ、そうでないものは屍体を適当に持っていけばポイントに変えてくれる。
狩りに手慣れた者は一月から、そうでなくても半年に一度はポイントを精査し、賞与として受け取るのだ。
「ばっかやろ、他人の金で食うのがいいんじゃねーか」
当たり前のようにそう言う掛居ではあるが、少なくとも真藤は滅多に集られた事はなかった。意外としっかりしている、と言う可能性は低そうであるから、何処かに金づるがいるのであろう。
「……良いでしょう。 わたしも掛居さんにはお世話になっていますから、それくらいは出させて頂きましょう」
「お、言ってみるモンだな! よっし、早く行こうぜ」
「はい、少々お待ちください」
そう言っても上着を羽織るくらいのものだ。人など殆ど来ない廃教会も同然の場所である。普段着る上着など部屋まで行かなくとも適当な椅子に掛けてあった。
「アンタも報償結構貰ってるよな? アレ直さねーのか?」
壊れた彫像を指さしチンピラは言う。
別に直せばいいと思っている訳ではなく、ただの話題。彼にとって神など踏みにじるモノに過ぎない。
「神だなんて碌でもないモノを崇めると言い出した自称救世主様など、これでいいんですよ。 神などいないと知っておきながら、結局は金稼ぎの名分に過ぎない『教え』を世界中に広めた稀代の詐欺師。 これがお似合いです」
鼻で笑う。
真藤紅にとって、神は打ち砕くモノ。 破戒するモノ。
神を語り、神の想いを口上とし、神の家とすら称される教会に居を構え、神を敬う様な衣装を身に纏い、神を称える聖書を持ち、神を象るロザリオを掛けていようとも。
彼にとって、神も神の子も敵であり仇であった。
栞の台詞に、妙にひらがなが多いのは学習レベルが低いからです。
お父さんは教えようとしますが本人にはやる気がありません。現状、魔術を覚える方が面白いと思っているので。
お母さんは学校の授業についてはあまりうるさく言いません。魔女の後継である姉妹に薬学や魔術を教えるのが楽しいので。




