57。魔道具の破壊
タクとマリアが魔道具の壺をどうやって壊そうか作戦を練っていた時……
と、そこへ何者かの聞こえる。
マリアと同じ考えにたどり着いたのかジュウキの部下が二人魔道具が置いてある場所に到着した様のだ。
「あれだ!見つけたぞ!」
「やっぱり、思ったとおりだ!それに、どうやら俺達が一番乗りみたいだ」
と壺を見つけた事に意気揚々と、つい大きな声を出してしまったものだから、案の定、見張り役の魔族に見つかり……そのまま戦闘になった。
「バカか、あいつらは……」
全く周りをよく見ろよ……とタクはため息を吐く。折角穏便に済まされるようにと作戦を練っていたのに……と呆れたように話すが、しょうがないと思ったのか、マリアを残してタクも戦闘に加担しに向かうことに。
「マリア!この隙に便乗して壺を破壊するんだ」と言葉を残して……
あぁ。そうね。これは逆にある意味これはこれでチャンスかもしれないわ。
マリアは身を潜めながら、壺を破壊するタイミングを計る事にした。
初めは魔物が壺を守るように近くで戦っていた彼ら。だが、タクが起点を効かせているのか、彼らに手こずっているのか、上手く少しずつだが魔族が壺から離れて行くのが分かる。
そして、壺の周囲がガラ空きになる――
「今だ!」
マリアはチャンスだと思い、呪文を唱える。
失敗したら魔族に気づかれて警戒されてしまう。だから一発で確実に壊さなくてはいけない。
彼女は自分が持てる最大の攻撃魔法を唱える事にした。
「メソッド!!」
彼女が持つ杖から凄まじい業火が吹き出し、それが壺に目掛けて繰り出される。
これだけの威力の魔法だ。タク達と戦っていた魔族もマリアの存在に気づき、戦いをほっぽり出し壺を守りに向かう。
だが、それも遅し。
マリアの魔法のスピードの方が早く、彼女の攻撃が先に壺に命中した。
そしてついに壺は割れた。
「やった!……きゃぁっ!?」
マリアはその場で喜び勇んでいたが、それを見た魔族は怒り、矛先を彼女に向けて攻撃を繰り出した。
マリアにその攻撃が届きそうだったが、タクがすかさず割って入り、間一髪の所で回避した。
「気を緩めるな!ここは戦場だぞ!」
「ごめん、つい嬉しくって」
反省ているマリアを横に再び魔族に立ち向かって行くタク。
そして彼は他の二人と協力して、無事魔族を倒す事に成功した。
魔物を倒してホッと喜ぶのも束の間、ジュウキの代わりに彼らに説教を垂れだしたタクがいた。だけど、マリアがまぁまぁ……と彼を嗜め、部下達も反省の意を見せていた事もあり、彼の説教は何とか終わりを迎えた。
「これでもう魔物は増えないな」
「早くレン達の所へ戻って加勢しよう」
「そうだね」
タク達は壺があった場所を後にして、レン達の応援に向かった。
――一方レン達はと言うと……
相変わらず、魔物達との戦いが続いていた。
だけどライズ、フェンリルが加わった事により、魔物の数は変わらないが戦いが有利に動いていた。
それぞれ皆実力者の持ち主。人数は減ったが、ジュウキも部下の心配をする事がない為、思う存分自分の力を出す事ができ、戦いやすい状況下にあった。
それに……戦い出してしばらくして、少し離れた所から爆音がするのを耳にする。
それを聞いた彼らは魔道具の破壊に成功したと確信したのだ。
「後少しだ!きっと魔物の数は減少するだろう!」
その言葉に皆が頷き士気が上がる。
案の定、魔物を倒して行くと、それ以上増えることはなく数は減っていく。やがてタク達も合流して、見事に魔物を撃破したのである。
「やっと終わったー」
レンはその場で倒れ込み息を整えている所にマリアとタクが合流する。
ジュウキの周りには戻ってきた部下達が歓声を上げている。
ライズはフェンリルと共に少し離れた所で休憩をしていた。
皆それぞれ束の間の休息を取って所、ジュウキがライズを気にかけ、途中から戦いに参戦した彼の元に歩み寄り話しかけていた。
「戦いに手助けしてくれた事に感謝する。君は……」
「俺は、ミジュの兄だ」
その問いに包み隠さず正直に述べるライズ。
「ミジュの兄だと!?じゃあお前も!?」
ジュウキの顔が一瞬でこわばったのが分かる。
そんなライズは彼を鼻で笑い睨みつける。
まだ、疲れが取れていない中、剣を抜きライズに向けたが、ライズは微動だにしない。
「ジュウキと言ったか、妹に酷い事をしてくれた様だな」
「っっ!?何を言っている!元はと言えば全てミジュのせいだ!あの女のせいで、ミラニも連れ去られたんだ!」
「ミジュは何もしていない。そいつが勝手に捕まっただけだろう?それに召喚魔法が何だっていうんだ。彼女は好きでその力を手に入れたのではない。なのに寄ってたかって彼女を悪者するなよ」
ライズは今までの気持ちを静かに怒りをこめてジュウキに言葉をぶつける。
「ちょっと、あなた達!落ち着いてよ。ここはまだ戦場よ!」
お互いが睨み、一発触発な感じであったが、マリアが彼らの異変に気づきいち早く駆けつけると、起点を効かせて何とかその場を落ち着かせた。




