表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/59

53。故郷

 ――私達は丸二日かけてジュウキ……彼等の故郷へと到着した。


 道中は特に問題もなく無事にここまで辿り着く事ができた。


 いや……山を越える時は結構な体力勝負だったのだ。手を縛られてるせいか歩きづらくて大変だった。


 だけど、マリアが私の隣に寄り添って手助けしてくれたんだ。そのおかげでなんとかここまでくる事が出来たのだ。


「あそこだ。俺達とミラニが生まれ住んだ故郷……メルキニア王国だ」


 途中、山の頂上付近で彼等の故郷を見渡せる場所があった。


 山と湖に囲まれたその国はきっと魔族がやってくるまではとても素敵な所だったのだろうと。


 だけど、遠くからでも分かる。他の国同様、無惨な有様だ。


 ――それは近くで見ると更に無惨な光景となって自分たちの前に現れることになる。



 城下町の入り口付近に到着すると、荒れ果てた街の姿が目に映る。


「ここは更にひどいな」


 つい言葉に出してしまうほど、荒れた廃墟と化していたのだ。

 逆を言えばそれほどに魔族と人間の戦いが激しかった証拠でもある。


 ふとジュウキ達を見ると、拳に力が入っているのが分かった。

 きっと故郷を追いやられたのが悔しいに違いない。そう思ったんだ。


「行くぞ」


 ジュウキは居ても立っても居られなくなったのか、皆にそう言うと先へと進む。私達も彼の後を追い歩き出そうとした時、突然ニールの声が辺りに響いた。


「私は城で待っていますよ」


 どこから聞こえてきたのか、その声が聞こえると彼の声はそれ以上聞こえることは無かった。


「城か……」


 私達は意を決して城下町を進む。


 街は静まりを見せている。だけど、急に魔物達が現れて大勢で襲いかかってくるかもしれない。そんな警戒をしながら、城へと向かい進むと案の定、魔物達が私達を待ち構えていたのだが。


「なんだこれは!?」


 タクが先立ってそう言葉を発したが、それはみんな同じ気持ちだった。


 先ほどまで静まり返っていた街だったのに急にドラゴンにスケルトンに例のミミズなどなど大量の魔物が姿を現した。


 それも誰も自分たちよりも大きな巨大な魔物だらけだ。


「スケルトンってあんなにデカかったか?」


「いや……」


 確かライズに聞いたことがある。ニールは珍しい魔物を収集するのが趣味って。だからって……規格外にも程がある。


 魔物達は廃墟を更に破壊しながらこちらへとやってくる。


「何を考えたって仕方がない。やるぞ!」


 ジュウキのその掛け声に彼らは魔物に戦いを挑みに走り出した。


「ちょっと待って!私の拘束を解いてっ!」


 私もみんなと一緒に戦える様にそうお願いしたのだが、ジュウキにあっさりと却下された。


「部下を1人見張りにつける。お前はどこかに隠れていろ」と……


 戦うこともできない私は彼の部下に連れられて壊れた建物の影に隠れる。


 マリアも戦いに参戦しているので私と彼の部下の2人だけ。


 そんなジュウキ達は魔物達と応戦を繰り広げ始めた。


 私は彼の部下に改めてお願いした。


「みんなの力になりたいだけなの。逃げ出しなんかしないから拘束を解いて?」


 しかし、彼もジュウキの命令に従っているだけなので、ジュウキが首を縦に振らないとダメだとの一点張り。


 もう……分からずやばかりだ……



 仕方なく彼らの戦いを安全な場所から確認するが、魔物は大きいが、彼らも強い。

 以前は手こずっていたミミズの魔物にも一度挑んでいるおかげか、今は対応できてるようだった。



 私はしょうがなく、大人しく待つ事にした。その場に座りじっとして、せめて魔物に気づかれない様にと気配を消した。

 彼の部下もじっと周りの様子を警戒しながら、私の監視をしつつ待っていたのだが。


「カタッ」


 何!?


 2人して音がする方を見るが何もない。


「ちょっとここで待っておけ」


 部下は私にそう言うと、その音が聞こえた所まで確認しに向かった。1人になった私。向こうからは戦いの最中であろう爆音が度々聞こえる。だけど、それとは違う別の声が聞こえた。



「……ミジュ……」


 誰か今、私を呼んだ?


 周りを見渡すが今いるのは確認をしに行くジュウキの部下の後ろ姿しか見えない。


 するとまた私を呼ぶ声が聞こえたのが分かった。


「……ミジュ……こっちだよ……?」


 今度はさっきよりはっきりと聞こえる。


 誰なの?あっちだ。


 座っていた体を持ち上げる、声のする方へと向かう。もちろん魔物が出てくる可能性だってあるから慎重に。



 でも、そこにはいたのはとても懐かしい顔だった。


「フェンリルッ!?」


 白くて小さくて可愛い私の友達。

 彼が私の目の前に立っていたのだ。


 だけど、フェンリルは私の顔を見るなりかけだしてしまう。


「ちょっと待ってよ」


 私も必死で彼を追いかけるも途中で見失ってしまった。


「フェンリルーッ?」


 魔物に気づかれない様に小さな声で彼を呼ぶ。だけど姿がない。

 見間違い?いや、あれは絶対フェンリルだった。


 まだ近くにいるはず。私は必死で彼を探した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ