51。ニールからの手紙
召喚魔法の事が書かれていた本……
「確かライズ……私の兄も昔、魔族の世界で召喚魔法の本を少しだけだけど、見たことがある様な事を言っていた。でも、今ジュウキが話してくれた内容が少し違う様な……。あっ、兄って言っても血は繋がっていないけど……」
うっかりいつもの設定でライズの事を兄と言ってしまった。私と同じ様に召喚魔法を使うと勘違いされても困るので弁明はしたが。私の言葉にジュウキは可能性として、その理由を教えてくれる。
「正直、召喚魔法の事は魔族も人間もタブー。もしかすると、こっそり原本を写して持ち出そうとした者がいたのかもな。その時に内容を写し間違った可能性だってあるに違いない。まぁ、どちらの書物が本物なのかなんて誰も分からないがな」
そっか。それに……ライズは人間だ。もしかすると魔族の文字を読み間違っているって可能性もある。
でも……それでも彼がその書物を見たことがあると言うことはやはり召喚魔法の事は魔王も知っているって事だよね?
人間には幻獣族の事を目の敵にされている。私がその魔法を使える事は多分まだマルジンの一味にしか知られていないはず。彼等は内々に処理しようとしていたし。だけど、魔王がその事を知ったら魔族にも同じ様に……
私がそんな事を考えていると、ジュウキが話終わりそこに今度はマリアが割って入る。
「じゃあ、ミジュは幻獣族の生き残りって事?それに話を聞く分には幻獣族には非はない。なのになんでミジュを……」
ジュウキはマリアを見ると、少し間を開けてまた話だした。
「本当はこんな話をミジュにしてしまったらいけなかったのかもしれない。いや、いつかは知る事になろう。だから今ここで話した。もし今後お前が俺たちを恨み、王が使った魔獣をもしおまえが使えるとしたら……?この世界は滅ぶぞ?それだけ、その魔法……いや、お前の存在は人類の脅威なんだよ」
ジュウキのその回答に私は反論する。
「私、みんなのことを恨んでもいないし、そんなことしないよ!?」
だってそれは昔の話。今を生きている私には関係ない。
「それは今の時点での話だろう?今後お前が心変わりをするかもしれん」
冷たく言い放ったジュウキの言葉に怒りを覚えたタクは急に立ち上がるとジュウキの肩を掴んだ。
「ちょっと待てよ!そんな力があるからって、昔のいざこざのせいで何も知らないミジュを殺すってことか!?それはおかしいんじゃないか?」
だが、ジュウキは同時ない。
「しょうがないじゃないか。それだけ彼女は危険だと言っている」
どちらも平行線を保ったまま。
だけど、彼らが話している間、何かを考えていたレンが突然ある提案をした。
「じゃあこうするのはどうかな?ミジュは俺達の管理下に置く。もし怪しい行動をするのであればその時は容赦はしない」
「えっ?」
「お前にそれができるのか?」
「俺は勇者と呼ばれている男だぞ?」
何だろう、何とも言えない空気が漂っていたのだが……
ジュウキは少し悩んだ後、レンの提案の回答をする。
「これは俺の意思だけでは決定できない。ミラニを奪還した後改めて彼女に話す。それでいいか?」
「あぁ。それでいい」
話はまとまった様だ。
と、丁度そこへ兵士の1人が息を切らしながら私達がいる部屋へとやってきた。
「ジュウキ様っ!?先ほど外で見回りをしていたら不思議な文字が書かれた紙が木に張られていて」
その兵士は手に持っていた紙を急いで彼に渡した。
「これは……!?どうやらあの魔族からの手紙か?この文字、人間が使う文字では無いな」
私はその手紙を見せてもらう事にした。
やはり、魔族が使う文字が書かれている。
その言葉を読めるのは私しかいないので、代弁してみんなの前で読んだ。
「えっと……メルキニア王国で待つ。って書かれているよ」
「メルキニア王国だと!?舐めた事をしやがって」
ジュウキは私からニールの手紙を奪うと力任せにくしゃくしゃにして地面は殴り捨てた。
そうだ、確かその国はミラニ達が魔族の手によって追い払われた国だ。
「ミジュ分かっているな?逃げるなよ?」
「もちろんだよ」
「よし!準備を整えたらすぐに出発するぞ」
凄く冷たい目で私を見るとジュウキは準備の為にすぐ様この場所を後にした……
◇
レンやタクも出発の為に準備を進めている頃、私は部屋で軟禁されていた。部屋の入り口には兵士が2名立っている。
私が逃げるのを阻止する為だ。そんな事はしないと言ったんだけど、私は恨まれているから信じて貰えるわけもない。そんな私を見て、1人では寂しいからとマリアが一緒に残ってくれたんだ。
「色々とごめんね」
「何言ってるの?私はここに居たかったから残っただけ」
「……うん」
マリアは私の頭をポンポンっとすると撫でてくれる。
きっと私の顔を死にそうな顔をしているのかな?マリアがすごく気遣ってくれるのがわかるんだ。
「そういえばねミジュ。ライズとフェンリルも生きているわよ」
「え……本当に?」
「えぇ。本当はもっと早くに伝えたかっだけど……今は私達の仲間が彼等を診ているわ。ただ、彼等の怪我はとても酷くて、まだ意識は戻っていない」
「そう」
ライズ達が生きている。意識は戻っていないとしても、ずっと死んでしまったんではないかと思っていた私に少しだけ希望が持てた。
大丈夫。きっと彼等は目を覚ますはず……
私はマリアにお礼を言った。彼等を助けてくれた事を感謝したんだ。
そんなマリアは私が知らなかった事の経緯を詳しく教えてくれた。




