50。召喚魔法の秘密
「ミジュ?安心して?レンもタクもあなたの本当の正体を知っているの」
そう言いながらマリアは地面に這いつくばっていた私をそっと立たせてくれた。
そして今度はジュウキの前へと出た。
「ねぇ、ジュウキと言ったわね。ミジュは魔王側の人間だとしてもそんな悪に染まった子では無いの……もちろんミラニの奪還だって私達も協力する。だからお願い……この子のことを許してあげて」
今度はマリアが私の代わりにジュウキに謝罪をしてくれる。
「マリア……」
それに賛同してレンとタクもジュウキを説得する。
それを見かねたジュウキ。
「確かに人間の敵である事を隠していたことも、ミラニが身代わりになってしまった事も許せない。だが、それ以上にお前が使った召喚魔法の事が一番問題なんだ」
召喚魔法が……?
レン達も初めて聞いた魔法の様でなんなんだと言う顔をしている。
「なぜ?教えて!私自身この魔法の事が分からないの。気づいたら使える様になっていて」
私にはなんでこの魔法を使えるのかが本当に分からない。でもジュウキもミラニも何か知っていそうだった。なぜそんなに私を危険視するのかを知りたかった。
「お前……本当に何も知らないのか?」
その問いにうなづいた。
ジュウキは悩んだ挙句、召喚魔法の事を話してくれる事に。
とりあえず私達はミラニ達が拠点としていた洞窟へと一旦戻り話はそれからと言う事になった。それに今後の事も話し合わなくてはいけない。そんな時、異変を感じ取った兵士が何事かとこちらへ到着した。
彼らに手を貸してもらいながら洞窟へと戻ると暖かく出迎えてくれる民達。だが、皆ミラニがいない事を問うたが、ジュウキはそれをうまく誤魔化して上層部に伝えるべく一旦私達と離れた。
そんな私達も怪我の治療をし、彼が戻ってくるのを待つ。
「ミジュ……落ち込まないで?」
「うん」
マリアが暗い顔の私を励ましてくれる。
――それから少ししてジュウキが戻ってきた。
ミラニの事を報告してかなり上層部は混乱しているそうだ。なんなら私をすぐにでも拘束しろと命令まで出ているそうだ。
ミラニを助けるのに必要だからと今の所拘束は免れているが……
「さて、始めに言っておく。俺もこれはミラニから聞いた話だが」
この言葉で彼の話は始まった。
私達はテーブルを囲んで彼の話を聞く。
ミラニ達がいるメルキニア王国は太古からある古い国の一つ。その城の地下には書庫があり、昔の歴史珍しい書物が厳重に管理されていたそうだ。
まぁ、今は魔物に攻めいられてそれも残っているかは分からないが……と言っていた。
で、その中の一つに召喚魔法にまつわる書物もあった。
メルキニア王国では20歳になると次期王の教育として、そんな大事な書物を使って過去の歴史等を教えられるそうだ。
そして問題の召喚魔法の事が書かれている書物にはこう記されていたそうだ。
はるか昔のこと。この世界は人間、魔族、幻獣族の3種族がいた。
「人間と、魔族は分かるよな?」
「あぁ」
幻獣族とは最も神に近い存在そして、神秘的な力を持つ魔獣を呼び出す事ができた種族。
3種族は当時平和に暮らしていた。いや、幻獣族自体は人間達と同等の力しか持ち得ないが、召喚で呼び出した魔獣は下手をしたら彼らの力を上回る程の力を待っている。それ以上に王は圧倒的な強さの魔獣を呼び出す事ができ、それに敵わない人間と魔族は彼らに従うしかなかった。
血の気が多かった人間と魔族は幻獣族がいたおかげで争うことはせず平和な世が続いていたのだ。
だが、人間と魔族達は幻獣族を煙たがり彼らを抹殺しようと企てた。
人間と魔族はお互いに手を組み、幻獣族は彼らの策略にハマり次々と殺されていく。
それに怒った幻獣族の王は人間と魔族達を返り討ちにする。自分の命と引き換えにとある魔獣を使って……
平和だった世界はその魔獣によって壊滅状態に。
だけど、生き残った人間と魔族は王が不在の幻獣族を討伐するのには時間が掛からなかったそうで……
やがて幻獣族は滅んだ。
そして、残った人間と魔族。彼らはどちらもこの世界の頂点に立ちたい事から2種族での戦いが始まった。
ここでレンが割って入る。
「人間と魔族は現在、別世界に住んでいるじゃ無いか?それに俺達は彼らがこの世界に攻め込むまで魔族のことを知らなかった。なのに……一体いつ違う世界に分かれて住む事になったんだ?」
「ワープホールって知ってるか?」
「あぁ。世界と世界を繋ぐ道だよな?」
「そうだ」
実はすでに世界は幻獣王が放った魔獣のせいで壊滅状態。そして人間と魔族は互角で決着がつかなかった。そんな時に現れたのが二つのがワープホール。
ワープホールの事を彼らは知っていた。不定期に現れ、新たな大地へと行ける道として……
彼らはすでに戦う事に疲れていたこともあり、魔族は人間の事を、人間は魔族のことを存在自体を封印し、それぞれ平和に過ごす為に、新たな地を求めてワープホールを進んだ。
結果、別世界に住む事になった。
それから何百年もの月日が流れ、お互いのことを知っている者はいなくなったが、自分達の国にこの様な書物があるのだから、古くからある国、そして魔族側でもきっと何らかの記録が残っているに違いないとジュウキは話した。




