48。新しい魔獣
うそでしょ!?もう一体いるなんて……
私の前に現れた三体目の魔物。
「ミジュ!?逃げろっ!」
遠くからレンの声がそう聞こえるが、こんな大きな魔物から逃げられそうにはない。
私の脳裏にはハイスピードで魔物との対峙方法を算出しようとするが何も思い浮かばない。
私はこの魔物に勝てるのだろうか?
いつもならフェンリルが近くにいた。でも今は私1人……。
いや……ダメだダメだ!今はそんなこと考えるな!と自分に言い聞かせた。
こうなったら覚悟を決めてやるしかない。
落ち着け私。私の得意とする召喚魔法を駆使するんだ!
今一番強くて召喚できる魔獣……
そうだ!あの子なら……
急いで召喚魔法を口ずさむ。
呪文を口ずさむたびに私の前に魔法陣が描かれていく。
そして、最後の呪文を唱えた。
『いでよ!モンテラン』
その言葉を言うと魔法陣は光を放ち、その中央から私が呼び出した魔獣が姿を現した。
その名はモンテラン。大型魔獣で体調はは私の三倍位はある。
見た目は人間のマッチョで無精髭を生やしてワイルドな感じだ。そんな彼の攻撃方法は力技。手に持っている大剣をおもむろに振り回していた。おっと、私に当たりそうだ。
『ミジュ、呼んだか?』
『うん!あのうねうねしたデカい魔物を倒すのを手伝って!!』
『承知した』
これなら何とかいけるか?
モンテランは私の命令で魔物に向かって突っ走って行く。私も彼に続いて走り出した。
――ミジュが魔獣を召喚した後の事。
魔物と戦いながらそれを見ていたミラニ達とレン達。
「おいおい?なんだあの魔法は!?なんかでけぇおっさんが現れたぞ!!」
「あれは何なの?」
「とりあえず仲間なのか?おい!タクッ!ここはマリアと何とかする。だからミジュの援護を頼む!」
「分かった!」
そしてミラニ達。
「ミラニ様!?あれは……」
「あの魔法は……まさかまだ存在していたなんて……それもミジュが?」
各々がミジュの使用した召喚魔法を見て驚いていた。
そしてそれと同時にニールもその様子を見ていた。
「あれが召喚魔法。とても素晴らしい!!私の使う魔法はあの魔法の模造品。早く解明してもらって自身も使える様になりたいものだ」
彼は安全な場所へと移動をし、高みの見物をしていた。
◇
『モンテランッ!』
『今だっ!』
私は彼と2人で魔物に立ち向かっている最中。
『くっ』
どうやらこっちが不利な状況。攻撃をしているんだけど、力が足りないのか、私の剣はあまり効果はない様だ。だけど、さすがはモンテランと言うところか。彼の攻撃は威力が強く魔物の体力を少しずつ削ぎ落としている。
そして、攻撃の最後に必殺技を繰り出した。かなりの威力だったようで、悶えた魔物が怒り出す。
魔物は大きな口を空高く向けると、勢い良く体液を吐き出してそれが雨の様に降り注いだのだ。
咄嗟に危険を感じて、モンテランと岩の下へと隠れるが、少し体液が服についた様で服が溶けている。
これは酸か?
しばらくすると体液の雨は止み恐る恐る岩の下から出ると岩が溶けているのが分かった。
このままでは奴を倒す前に体が溶けてしまう。
そして、また魔物は体液を吐き出そうと準備をしている……
これでは立ち向かって行くことができない。
この状況を打破する為にもう一体魔獣を呼び出すことを考える。だけど誰を呼び出せば……そう思っていると、久しぶりに私の脳裏に呪文が浮かぶ。
この呪文を唱えろってこと?
何が出るか分からないけど賭けで呪文を唱えることにした。
だけど、モンテランだけでも魔力の消費が激しい。どこまでいけるか?
『いでよ!マルコノール』
次に現れたのは鳥獣だ。顔は人間で手足が鳥のように鉤爪が付いている。
すぐ様召喚した彼女に使える魔法を確認すると、彼女は主に防御魔法を得意としている様だった。
『お願い!この体液の雨を防げるバリアを!』
『かしこ参りました』
彼女が命令に早々と従う。張ってくれたバリアのおかげで魔物の体液を防ぐことに成功した。
だが……体が急にふらつき立膝をつく。
想像通り。いやそれ以上、魔力の消費が激しすぎたのだ。
私が必死に意識を保とうとしていると、そこへタクがこちらへと駆けつけた。
レンの指示でこちらへ加勢しに来てくれた様だった。
「ミジュ大丈夫か?」
だが、魔物は容赦しない。攻撃を開始してまた体液の雨が降ってきた。
「うっ、何だこれは!?」
いけない。早くタクにもバリアを……私はフラフラしながらまたマルコノールに命令する。
『彼にもバリアを……』
するとタクの体はバリアに包まれた。彼は何かを感じ取ったのか自分の体を見る。
「……これはお前の仕業か?」
「うん……」
私の体調が悪いのを見たタクは私を心配している。
だが、私は彼に伝えた。
「今からタクにもう一つ魔法をかける。だからあそこにいるモンテランと一緒に魔物をやっつけて……」
何かを悟ったタクは、うなづくとそれ以上は聞かず応戦中のモンテランの元へ向かって行った。私を信用してくれているって事でいいよね。
次に魔法を使ったら私の魔力はきっと底をつくだろう。だから、タクとモンテランに最後の望みをかけた。さっきマルコーノに使える魔法を聞いた時とんでもない魔法を所持していることが分かったからだ。だから私はそれを使う。これを使えばタク達……いや、みんな魔物に勝てるかもしれないんだ……
『マルコーノ……タクと……それから他の私の仲間に神の加護を!!』
『かしこ参りました』
マルコーノは私の命令を聞くと空へと舞い上がって行く。
そして上空に到着すると、羽を羽ばたかせた。それは風を巻き起こし、一緒にキラキラ光る粒子が地上へと降り注ぐ。
それを受けたレンやミラニ達、そしてタク。
彼らの力が倍増した。
「なんだ?急に力が湧いてくる」
「これは!?」
マルコーノが発動させ神の加護。一時的だが、体力、力、魔力が上昇する魔法なのである。
そして各々が自身の力、魔力が上がるのが感じ取れたのが分かった。
「いける!勝てるぞ!」
みんな手こずっていた魔物に立ち向かっていく。
魔獣のかけてくれた魔法のおかげで、クリティカルヒットを何度も繰り出し、三体の魔物を撃破することに成功したのである。




