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45。人間に対する意識の変化

 目が覚めるとゴツゴツとした岩の天井が見える。

 そうだ、ここは洞窟の中。


 今は昼なのか、夜なのかさえ分からない。ただ、壁の至る所にランプが取り付けられて、常に明るい状態を保っている様だった。


「起きた?」


 私が眠りから覚めたのに気づいたのか、そばにいたミラニは話しかけてきた。


「あの……助けて頂いてありがとうございます」


「いいのよ。あなた確か名前はミジュだったわよね?」


「はい」


「私はミラニ。で、昨日貴方を困らせていた男性はジュウキって名よ」


「ミラニさん……」


「ミラニでいいわよ、友達だと思ってもっと楽にして?」


「うん……」


 軽い挨拶も済ませ、彼女は私の怪我などを確認し、大丈夫だと分かると少し歩こうとか、洞窟の中を案内してくれた。


 歩きながらこの洞窟の事を説明してくれる。ここは昔ドワーフが住んでいた場所なのだそうだ。この洞窟の事を昔誰かから聞いた事があったそうで。

 魔族から逃げている際にたまたま見つけて現在ここに身を隠していると言う話をされた。


 だけど自分達が来た時は、ドワーフ達の姿はなく間抜けのからだったそうだ。一体彼らはどこにいったのか、何故いなくなったのかは誰も知らない。


 そして私はさっきから気になっていることがあったんだけど……


「あの……みんなミラニの事をミラニ様って言うけど……」


「あっ!そうそう、私この国の王なのよ」


 彼女の前を誰か通るたびにみんな彼女にそう言って一礼して去っていく。だからそう聞いたのだが……そう言われて絶句した。


 めちゃめちゃ呼び捨てにしてましたけど私……


 でもミラニは「みんなミラニ様ミラニ様っていうから……貴方が呼び捨てにしてくれると親近感が湧くなー?」なんて笑いながら言っていたけど。


 一国の王に私はこのまま呼び捨てにしててもいいものなのだろうかとさえ考えてしまったのは言うまでもない。


 そしてミラニの話は続く。彼女達が魔族に国を襲われてここに住まう事になった事を聞かされた。


 そんな彼女の話を聞いて胸の奥がチクリと痛む。だって貴方達が国を滅ぼされた魔族の仲間が今、貴方の目の前にいるんだよ?


 私は彼女にどんな顔をしたらいいのかが分からなかった。ううん、昔だったらそんな話を聞いたって、何とも思わなかっただろう。実際マリア達に初めて会った時だってそんな感情は沸かなかったのだから。


 でも、人間……マリア達と出会い、そして接してみて私の中ではいつの間に人間に対する気持ちが以前までのふわふわしたものから確信に変わっていっているのに気づいた。悪いのは人間ではなくて魔族の方だということが……


 だって、私達魔族がこの世界に攻め込まなかったら、お互いの世界はきっと平和だったに違いない。それに私もライズ達ともずっといつも通りの日常を送れていたに違いないし。だからこんな馬鹿げた戦いが無かったのなら……ライズ達は……


 ……彼らの顔が頭に浮かんでくる。



「……ねえ?ミジュ?」


 後ろを振り返り私を見たニールが驚く。


「ミジュ……なんで泣いているの?」


 私は知らない内に涙を流していた。今だってニールが言っていた事を嘘だって信じている。でも、頭ではそう思っているのに、もしかしたら……と心が悲しい反応を示す。


 ライズに会いたい…フェンリルに会いたい……マリアにだって会いたい……よ。それに……ギルの事も思う。


 貴方は今どこにいるの?すごく辛いよ……会いたいよ。早く迎えに来て……


 私の涙を見たミラニは私の体をそっと抱き寄せた。


「何があったかは知らないけど、大丈夫だよ?私がついている」


 見ず知らずの者になんで彼女はそんなに優しいの?


「ミラニ……ごめん……ごめんなさい」


 そんな彼女の行動に自然とそんな言葉が口から出た。



 ◇

「もう大丈夫?」


「うん……ありがとう」


 私が落ち着くまでずっと私を抱き頭を撫ででくれた。

 彼女は何も聞かずただ「大丈夫だから」と私を励まし続けてくれた。


 洞窟案内もここまでに、元居た場所へと戻ると全然ミラニが戻ってこない事に心配したジュウキが出迎えてくれた。


「お前達、一体どこに行っていたんだ?」


「洞窟の中を案内していただけよ?」


「それにしては戻るのが遅くはないか?」


「女同士色々話す事があるものね。別にいいわよねー?ミジュ?」


「えっ?う、うん」


 私はあまりジュウキという人物が得意ではない様だ。仏頂面でなんかすごく怖い顔をしているからかな?元に質問攻めにもあって苦手意識が湧いていた。だからか、彼がこっちにやって来た時、とっさにミラニの後ろに隠れてしまった。


 それに比べてミラニはジュウキより一枚上手なのか、笑顔で上手くかわしている。当のジュウキもそれが日常茶番時なのか「はいはい」とそれ以上聞くのをやめると姿を見て安心したのか私達の元から去っていって。


 さっきミラニが色々と話してくれた中にもちろんジュウキの話も出てきた。確か……彼女の護衛兼師匠なんだよね?彼女が王という事も知っているはず……でも、何であんなにタメ口なの?とも思ったけど?


 だけど、他の人達と比べて彼女達の関係は逆にすごく親しい感じがする。きっとずっと一緒に過ごしてきたのもあると思うけど、これはミラニの人徳なんだろうなと思った。


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