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44。助けられて

 私にそう言った人間の男は、私を空中でキャッチしたと思ったら、また別の方向に投げられた。


「えっ……ちょっ……」


 何が起こったのか分からない。


 ただ投げられた私はまた別の誰かにキャッチされたのが分かった。


 顔を見ると女性だ。それにとても綺麗な顔立ちをしている。

 その人に見惚れていると、私の視線に気づいた彼女は「もう大丈夫よ」と私を安心させるような言葉をかけてくれた。


 彼女は私を抱き抱えたまま地上が近づいてくると、ふわりと重力に逆らい、激突しないように着陸した。魔法か?


 そのまま抱えられた私は地上に降り立つと、私達を出迎えていた他の人間達に引き渡され、私を助けてくれた女性を先頭に少し離れた洞窟へ運ばれた。


「あ、あの……」


 ここはどこなのか?今自分の状況を少しで知りたくて声をかけたのだが、私のその声は無視されてしまった。周りの人間達はバタバタと慌ただしい。


 でも、辺りを見回してみると沢山の人間達がいるのが分かった。

 それに洞窟の中はとても広い空洞になっていて、他にも空洞があるのか、壁には至る所に道があるのか穴が掘られていた。

 まるで要塞だ。


「ミラニ様、この方は?」


「この子怪我をしているから治療をお願い。魔族に襲われていたの」


 ミラニはその言葉だけを言い、私の治療を頼んですぐにこの場を離れて来た道を戻って行った。さっきの場所に行ったのかな?


 私は手当を受け……といってもかすり傷程度だけど。何よりライズ達の事があって精神的な消耗が激しく、まあ、どちらにしろ体があまり動かなかったので治療を施されて助かっていた。


 それからしばらくして、そのミラ二と呼ばれていた女性と、私をニールから助けてくれた男性がここへと帰って来る。その他、数名の人間もいる。


「どうでしたか?」


「魔族はあいつ1人だけだ」


「この周辺も調べてみたけど間違いないな」


 帰って来た兵士達は近情報告をしあっているようだ。

 私は治療を施された後は地面に寝かされいた。彼らが近くで話していたと言うこともあり、横になりながら彼らの話を聞いていた。


 だけど、私が盗み聞きしているのに気づいたのか、私を一番初めに助けてくれた男性がこちらへと近づいて来た。


「どうだ?落ち着いたか?」


「あ、ありがとうございます……」


「ちなみに伝えとくが、例の魔族は逃げていったぞ」



 ニールの事が気になっていたので、いなくなったと分かってホッとしたのだが、彼からの質問の本題はここからだった。


「お前、名前は?」


「……ミジュです」


「お前は魔族になんで追っかけられていたんだ?」


「それは……」


「それは?」


「なんと言うか……」


「なんと言うか何?」


 何かすごく尋問されている気がする……質問攻めでしろどもどろになっていると、ミラ二と呼ばれていた女性が割って入って助け舟をだしてくれた。


「ほら、怖がっているじゃないの。ねぇ?心配ないで今はゆっくり休んで?」


「……ありがとう……ございます……」


 その言葉で救われた私。ミラニはその男を無理やり引っ張っていき私の元を離れた。


 ◇

 ミジュが疲れで眠りについている頃、別の場所でミラ二とミジュを助けてくれた男=ジュウキ、その他上層部の人間らしき数名がテーブルを囲んで話をしていた。


「では、魔族にこの場所が見つかったわけではないんですね?」


「どうやらそのようだ」


「でも、なんであの魔族はあの少女を?」


「それは彼女に直接聞かないと分からない」


「じゃあ今すぐにでも!?もしかすると魔族の手先かもしれないのですぞ!?」


 みんながそれぞれ自分の意見を口に出していると、突如立ち上がった人物がいた。それはミラニだ。


「みんな落ち着いて。ここの場所は魔族にはまだバレていません。だから心配しないように」


 その声に全員口を閉ざした。静かになった所でまたミラニは話し出す。


「彼女の事は私に任せて下さい。どういった経緯でここ来たのか、彼女自身が落ち着いたら私が伺います。だからそれまでは今まで通り魔族の動向を探っていて下さい」


「ですが……」


 立ち上がった1人の老人がそう答えようとしたが、ミラニはその言葉を遮った。


「これはメルキニア王国の王である私の命令です。それに従う事ができないのであればここから去りなさい」


 そう言われた老人は何も言えなくなり、渋い顔をしながら椅子に大人しく座った。



 ――彼女は人間の王国の王であった。


 ◇


 程なくして、会議は終わる。みんなが立ち去った部屋の中にはミラ二とジュウキの姿だけあった。


「全く、歳をとると頭が硬いんだから!!」


「それはしょうがない。みんなこの国の民のことを思っての考え」


 ふーっとため息を吐きミラニが椅子へとどかっと座る。


 近くで足を組んで座っていたジュウキはその姿を見て静かに微笑む。


「なによ?」


「いや、お姫様らしくないと思ってな」


「あなたまで、私をそんな目で見るの?」


「とても勇敢なお姫様だよ。いや、今は王か」


 その言葉に、「分かっているならいいわよ」とジュウキ横目に部屋から去っていく。その後を追う様にジュウキも椅子から立ち上がり後を追った。


 実は彼女達は魔族の手によって滅ぼされたメルキニア王国の者。

 前の王と王妃は国が堕ちる分かると一人娘のミラニを逃し、魔族に殺された。そんな両親の犠牲の上に彼女は生きていた。


 国から逃げるギリギリまで彼女は逃げる事を拒否していたが、王家の血が讃えはならないこと。それに国を指揮する者がいなくては民達は不安になる。そう言い聞かせられて仕方なく承諾したのである。


 だけど、彼女は普通のお姫様とは違う。兵士に囲まれてビクビクするような事はせず、自ら戦いに出向くような勇敢な姫だった。


 そして、ミラニのそばにいるジュウキは彼女の護衛兼、彼女に剣の扱いを教えた師匠である。


 彼女は元々魔法に長けていたのだが、ジュウキに剣を教わり魔法剣士として残った国の民達を守っていた。だが、周りからは女だから、王族だからというだけで蔑まされた目で見られているのが分かっていた。


 そんなミラニ達は現在、魔族達の情報を集め時期を見計らっていた。


 いつか自分達の国を取り返す為に……


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