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41。頼み

 ――地面が揺れる。


 ライズもマリア達もこの地面の揺れに動揺していた。


「一体何なんだ!?」


 揺れが始まるとニールは一足に高い所へと避難する。


「じゃあ後は頑張ってください」


「待てっ!?」


 タクがその言葉を投げかけるが、ニールは早々とミジュを連れてどこかへと去ってしまった。



「お前達……」


 ライズは近くにいたタク達に声をかけた。何かを察したのだろう。

 と言ってもマリアはフェンリルの治療で手が離せないので耳だけ傾けている。


 ライズはこのまま仲違いしてもどちらもやられてしまう事を彼らに伝えた。そして、今元凶の元であるニールのことを話す。


 この地響き、多分これはニールが飼っている魔物に違いないということ。以前から彼は変わった魔物を収集するのが趣味だったそうだ。


「じゃあこの揺れも奴の魔物の仕業!?」


 そのタクの言葉にライズは頷く。


「どの魔物かは分からない。だがな……お前達も今手傷を追っているから……この戦いはかなり不利になる……そうだろ?だから……」


「逃げろと言っているのか?」


 タクはライズの言った言葉を察してそう発言したが、それは正解だった。


「……そうだ。それが……今一番の最善策だろう」


 ライズはそう言い、タクは悩む。だが今はマリアもフェンリルのの世話で忙しいし、レンも疲れ果てて倒れている。


 正直、自身の体力が後少ししかない……


 拳を握り締め苦渋の決断をした。


「……分かった。今回はこのまま身を引く。だがそいつから逃げれる保証はあるのか?」


「任せろ。俺が命をかけて……お前達を逃す。だが……一つだけ頼みたいことがある。……そこにいるフェンリルの事を、それに……ミジュを助けてくれないか?」


 ライズはレン達をここから逃す代わりにミジュ達のことを頼んだ。タクは渋っていたが、この返答はマリアがすることとなる。


「当たり前じゃない?ミジュもフェンリルも私の友達。だから安心して?」


 タクは一瞬ギョッとマリアを見たが、彼も仕方なく覚悟を決める。



 ――ここで揺れがさらに激しくなり、そして揺れは最高点に達する。



「もう時間がない……早く……行けっ!ミジュ達を頼んだぞ……」


 もうすぐ近くまで魔物が来ているとライズが悟りでた言葉。


 タクもそれを察して焦った。


「マリア!そいつを連れてずらかるぞ!お前らも手伝えっ!」


 マリアと近くにいた部下に指示を出しながら、タクは急いでレンの元へ行き彼を担ぐ。


 彼女は応急処置としてフェンリルに一時的だが、止血を施し、彼を抱き抱えた。


「こっちも準備できたわ!」


 タク達は揺れる大地を急いで走り抜ける。

 そして、彼らの姿はどんどん小さくなりやがて見えなくなった。


 彼らを見送ったライズは「さてと……」と、剣を杖代わりにして立ち上がる。


 そして自分に気合を入れる様に雄叫びを上げると剣を構えた。


 ずっと揺れていた地面は急に落ち着きを取り戻す。


 そして……


『ヴィァァーッ……!!』


 地面を割ってミミズ型の魔物が現れると、その魔物の声が辺り一体に響き渡った。


 そいつは口の周りに牙が張り巡らされており、体からは体液なのか、ヌメリを伴った液体をまとい、太陽の光に照らされて光っていた。

 それに地上に出ているのは体の一部だ。一体、全長はどれだけあるのだろうか?



 だが、目の前に現れた魔物の姿にライズは驚く処か呆れていた。


 全く……ニール、あいつは何処でこんな魔物を見つけてくるのか……と。


 そして、それ以上考えるのを辞めた。


「ミジュ、フェンリル、今までありがとう。どうかこの先も無事に切り抜けて行け!!」


 ライズはその言葉を呪文の様に唱えた。まるで、そうなるかの様に祈りを込めて……


 そして、彼は剣に最後の精一杯の力を込めて、こちらに目掛けて襲ってきた魔物に向かって行った――



 ◇

「はぁ、はぁ……ここまで来れば大丈夫か?」


 タク達はライズ達との戦いに備えて、城下町から少し離れた安全な場所を確保して、陣を張っていた。戦いで怪我を負った者などはこの後方まで退却させ、治療を施していた。


 そして、彼らはそこまで戻ってきたのだ。


「タク様っ!?」


 前線で戦っている彼がここに現れた事に驚き、ここの指揮を任されている者がタクの元へと訪れる。


「ちょっと色々あってな。詳しい事は後でみんなに話す」


 そう言って指揮官にレンやフェンリル達の傷の手当てを彼に依頼する。


 彼らを引き渡したタクは城下町の方を何か変化がないかじっと見ていた。


「追っては来てはいないみたいね」


 マリアもフェンリルを治療部隊に預けてタクの隣で城下町の方を見つめる。


「もし、追って来ていれば今頃ここもすでに地響きの範囲内のはず。だが、静かだ」



 あの男が魔物を倒してくれたのか、時間を稼いでくれたのか。どちらにしろ俺達は無事にここまで逃げる事が出来た。


 であればこちらも……と改めて心に決めたタクであった。


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