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39。決着

 タクとマリアは砂煙の方へと走って向かうと、二つの影を見つけた。


 だんだん、砂煙が落ち着き周りの様子がはっきり分かると彼らの姿に驚いた。


 2人とも衣服はボロボロで体力もすでに限界を超えている様だった。


「レンッ!?」


 マリアがレンに向かって叫び、彼の元へと向かって回復の魔法を施そうとしたが、それをライズの部下に阻止された。


「ライズ様の戦いの邪魔はさせん」


 そう言ってマリアとタクの前に立ちはだかったのだ。


「2人の戦いの邪魔はさせないってことか」


 タクも拳を握り、マリアも杖を出して戦闘体制に入った。


 ――彼女の声に気づいたレンはマリアの姿を見て安堵する。


 無事に助ける事が出来たんだなと。


 それとは裏腹にライズは逃げ出したと言っていた女が今目の前にいる。もしかしてミジュもこの戦場に一緒に来ているのでは?と辺りを見ていたが、どうやら共に来てはいない様でホッと安心していた。


 そんなライズは何を思ったのかふーっと息を吐く急に剣先を地面に下ろした。


 その動作にレンは驚く。なぜなら戦いの真っ只中だからだ。

 そんなレンをよそに、ライズは笑いながら彼を見て話しかける。


「次の一撃でお互い勝負が決まる。そうだろ?だから、ちょっと話をしないか?」


 お互い後、剣を一振りする力が残っていない事を分かっていた。だからライズはこう提案をしたのだ。普段こうやって敵とは話したりはしないのだが、ライズはレンに一言言いたい事があったのだ。


「いいだろう」


 レンもライズの言葉に同意をした。ただ、罠かもしれないので剣は構えたままだ。


「前とは比べものにならない位強くなったな。正直驚いたよ」


「それはどーも。こっちは人間の人生がかかってるから必死でね」


「ははは。そうか、それはこっちも一緒だけどな」


 と他愛もない話が終わるとライズが改めて息を整えて話をする。


「お前にこれだけは言っておきたかった」


「なんだ?」


「……妹のミジュが世話になったそうだな、感謝する」


「……ミジュ?ちょっと待て、ミジュって……」


 ライズはそう言うと剣を構えた。


 彼は義理堅く、敵であれミジュを救ってくれたのだからと一言礼を伝えたかったのだ。


 レンはミジュの名前が出て動揺したがライズが剣を構えたことに反応して、すぐに気持ちを切り替えた。


 そしてお互いの最後の力を振り絞った一撃が炸裂した。



 ◇


「レーンッ!?」


 マリアの叫ぶ声がこの場所周辺に響く。


 最後の凄まじい攻撃に飛び散った砂や埃で周りが見えない。


 マリア達の前に立ちはだかっていた敵もこの爆風でどこかに吹っ飛んでいってしまった。だけど、マリア達は彼女の魔法のおかげでこの爆風から身を守り飛ばされる事を防げた。


 レンは無事なのか?マリアとタクは彼の安否が確認したいが、辺りが見えないのだ確認のしようがなかった。

 早く早くと急かす気持ちを抑えていると、周りの視界が少しづつだがはれてきた。


「「レンッ」」


 レンを見つけた2人は急いで彼の元へと駆け寄る。


 彼は地面に膝をつけて、剣を地面に突き刺して何とか倒れない様に堪えている様だった。


「ハァ……ハァ……」


「レン!しっかりしてすぐに回復魔法を、使うから!」


 マリアは息をするだけで精一杯のレンをすぐ様回復魔法を発動して治療を始める。


 その2人の様子を見ながら、タクは周りを警戒しながらライズの生死を確認していたのだが、彼を見つけて動揺する。


「まだだ!まだ戦いは終わっていない!!」


 マリアはその言葉に寒気が走る。


「まだ生きているの!?」


「あぁ。何てしぶといんだ」


 完全に周りの視界が良好になった時ライズの姿を見て驚愕した。彼は倒れてはいなかった。だが、もうすでに大量の限界は超えている様で、立っているのが精一杯と言うのが見て分かる。


 だけど、あの攻撃を喰らっても生き延びるなんて……


「叩くなら今だ。俺が決着をつける!」


 そう言ってタクがライズに近づこうとすると、一匹の白い魔物がライズの前に降りて来た。


「フ……フェンリルッ!?」


 マリアはその魔物の名前を叫んだ。そう、フェンリルがライズを助けに来たのだ。


『大丈夫か?ライズ?』


「……あぁ。何とか……な」


 フェンリルに心配されたライズは必死に声を振り絞り彼の問いに答えた。


『死ぬなよ?ミジュの悲しむ顔を見たくないんだ』


「……言われなくても……分かってるよ」


 タクはフェンリルが出て来たことにより動揺することになる。

 そしてマリアに問うた。


「あの魔物ってミジュと一緒にいた魔物だよな?それにお前さっきミジュの名前を出していたけど……もしかして」


 マリアも覚悟を決める。


「そう。あの人はミジュのお兄さん。ミジュは私達の敵だったの」


 その言葉にタクは頭を掻きむしる。


「なんだってーっ!?じゃあ俺達は騙されてたって事か?」


「タクッ!落ち着いて!ミジュは敵だけど……でも私を助けてくれたんだよ!」


 苛立つタクを宥めるマリア。


 敵なのに助けられた?頭が混乱しているタクだが、レンが戦えない今、自分が彼を仕留めるしかない。そう考えを出すとそれ以外の他のことを考えるのをやめた。


「マリア、ミジュのことは後からレンと聞く。今はここを打ち勝つ。行けるか?」


「……うん。レン少し離れるけどちょっと待っててね」


 マリアは回復魔法を一旦止めてレンから離れ、タクの横に並び戦いに参戦した。


 ――一方、フェンリルは……


『ライズ、お前はもう動く気力もなさそうだな』


 ライズを見て既に戦える状況ではない事を察する。


『ここで少し休んでろ』


 そう言ってタクとマリアがいる前へと自ら赴いていく。


 そして彼らを目の前に叫んだ。


『お前ら、このまま大人しく降参してくれないよな??』


 フェンリルの言葉にマリアは首を横に降る。それと同時に動揺するタク。


「マリア……あいつ言葉話せるのか?」


「うん」


 マリアはフェンリルの問いにこう返す。


「あなた達こそ、もうこんな戦いは辞めませんか?」


 彼女の問いにフェンリルは笑う。彼女らしい考えだなと。


 そして同じ様に首を横に振った。


 相手が降参しないというのであれば……もうここまできたら戦うしかないのだ。


 折角ミジュの計らいでマリアを逃したが、結果こうなってしまったのは致し方ない。

 ミジュも魔族側の人間だ、もし彼女が死んでも分かってくれるだろうと。


 フェンリルは気合を入れる為、一声雄叫びを上げた。すると体がみるみると大きくなり、人1人乗せれる大きさまで大きくなる。


 それを見たマリア達も戦闘体制へと入った。


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