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37。雲一つない晴天な空

『マリアこっちだ』


 ミジュと一旦別れたフェンリルとマリア。


 フェンリルに秘密の通路までの道のりを案内されながら進んでいく。


 そして誰にも会わない様に警戒しながら城の通路を進み、何とか秘密の通路の入り口まで到着する事が出来た。


『この花の真ん中にある石をあそこにはめて?』


 フェンリルの指示に従いながら壁から石を抜き取り別の花へと石をはめる。

 すると、壁の一部が回転して中から道が現れた。


「すごい……」


『さぁ中へ行こう!』


 勝手に開いたドアを見ながら感動していると、フェンリルに急かされるマリア。だが、別行動を取っているミジュの事が気になっていた。


「ミジュは?ここで待ってなくても大丈夫?」


『あいつもこの仕組みは知っている。だから、大丈夫だ。さあ、誰かに見つかる前に先に進もう』


「そう……分かった」


 マリアは彼女の事を考えながら先へと進む。


 ミジュと合流する前にレン達に出会ってしまったら、もう彼女とはちゃんと話は出来ないだろうと思ったからだ。だってミジュは本来敵だから。


 だからその前にもう一度話をしたい。もう一度ちゃんとお礼を言いたかったのだけど……


 でも、今はそんな事を考えている状況ではない事は分かっている、切羽詰まった状態だ。ミジュ達がせっかく作ってくれたこの機会を無駄にしないようにと、マリアはレン達と合流することだけを考えて先を進むことにした。


『ここだ』


 通路を進み行き止まった所で、そう言って彼が教えてくれた壁を力を込めて押してみる。すると少しづつだが壁が動き、更に押すと隙間から光が差し込んできた。


 マリアは人1人が通れるくらいまで開けると、その隙間から周りを警戒しつつ外へと出た。


どうやら出て来た所は戦いが繰り広げられている場所から少し離れている場所に出た様だ。



 ――外は日が上り雲一つない晴天



 こんなに気持ち良い天気なのに……



 外へと出たマリアは空を見上げて思う。こんなに平和な色をしているのにこの世界は……そんな気持ちがよぎる。


 もし、今この時が平和であったのなら、ミジュやフェンリルともこの先きっとずっと仲良くできたのに……


 マリアが空を見て思いに浸っていると、フェンリルも外へと出てきた。


 遠くの方で爆発音が聞こえる。フェンリルは周りに誰かいないか音と匂いで確認した。


『ここの近くには誰もいない様だ。早くレン達を探そう』


 その言葉にマリアは頷いた。


 フェンリルが先を行きその後にマリアが続く。彼らはレン達をを探す為に、戦いの最中へと飛び込んでいった。



 場所は変わり――


 ライズとレンの戦いは繰り広げられていた。

 彼らの戦いは凄まじい。


「どうした小僧!?もうへたったのか?」


「お前こそ疲れてるんじゃないのか?」


 彼らはお互い挑発を繰り返しながら剣と剣を交わらす。


 2人のあまりの凄まじい戦いに周りで戦っていた双方の者達が見守る程だ。


 いや、正確に言えば自身が巻き添えを食わないように彼らの動向を見守っていたのである。


 レンと共に旅をしていたタクもその1人だった。

 皆と同じように彼らを見守っていたのだが、そこに人間側の偵察部隊の1人が彼の元を訪れた。


「タク様……あの、これは一体……」


 タクの元に来たのは良いのだが、そのすぐ近くでレン達が戦っているのを見て驚き、戸惑っていた。だが、タクはレン達から離さずその者に質問する。


「どうした?」


「えっ?あっ……たっ大変です!マリア様が……」


 その言葉にタクの形相が変わる。


「マリアがどうしたっ!?」


 偵察部隊の者の肩を掴みどうしたと言わんばかりにゆする。だが、ゆすられている方はたまったもんじゃない。


「ちょっ……ちゃんと話しますから、とりあえず手を離して落ち着いて下さい」


「あっ、悪い」


 手を離して、その者が持って来た情報を改めて聞く。すると驚いた報告を受けた。


「マリアらしき人を見かけただって?それもこの近くでか?」


「はいっ、だからタク様に本人が確認してもらいたくて……」


「分かった、すぐ案内しろ!」


 マリアがこの近くに……うまく逃げ出せたのだろうか?まだ本人とは決まった訳ではない。心が高鳴るのを抑えてタクはその目撃したという場所まで急いだ。


どうかマリアであって欲しいと願いながら……



「ここです。ここでマリア様らしき人物を……」


 そう言われて辺りを見回すが、すでに遅しか。

 人がいる気配がないのだ。一足遅かったかとタクは思う。でも念の為にと、諦めきれない彼は共に引き連れて来た数名の部下にマリアを探す様指示を出して自身も探し始めた。


「マリアーっ!?」


 大声を出して彼女の名前を叫ぶ。敵に見つかる可能性もあるが、リスクを負ってでも自分がここにいるという事を彼女に知らせたかった。


 ――でもそれが功を成したのである。


「……タク?」


 誰かに見つからない様に身を隠しなが移動していたマリアだったが、タクの叫ぶ声を聞いて表に現れた。

 そんなマリアの声を聞いたタクは、彼女の姿を見つけると一目散に駆け出しそして抱き合った。


「マリア!」


「タクッ!」


 マリアもタクを受け入れる様に抱き返した。2人とも涙を流しながら……


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