33。隠し通路
マリアを逃すと言っても、牢屋付近や城の中には沢山の魔族や魔物が徘徊しているから、そう易々とはいかない。
城の中をあちこちを見て回って逃すための経路を探してみたけど。うーん……一筋縄では行かないなこれは。
「なんならいっそ強行突破とか?」
『ばか。すぐ捕まるに決まってるだろ』
非現実的な考えをフェンリルに話したら呆れられてしまった。
しょぼんと落ち込んでいた私にマリアが励ましてくれる。
そう。今2人と一匹でご飯を食べながら作戦会議中なのだ。
見張りはいるけど、声が聞こえない様にマリアが魔法で牢屋内に膜な様なモノを張ってくれた。だから安心して話すことができるのだ。ちなみにフェンリルが話が出来ることは知っている。と言うか、彼がついうっかりマリアの前で言葉を話してしまったのがきっかけだ。まぁ彼女ならいいんだけどね。
そして、実はマリア本人にも今回のことを話した。
話を聞いた彼女は当初は私に迷惑がかかるからと拒否をしていたが、このまま捕まっていたらレン達が戦闘時に不利になるかもしれないと説得した。
だが、脱走に了承したものの、逃走ルートがまだ定まっていないのだ。
「お城には大体何かあった時のために、隠し通路があると思うんだけど。何か壁とか変わったところは無かった?」
マリアの問いに私は首を横に振った。違和感がある場所は特に見つからなかった。だが、私の横でフェンリルが神妙な顔をしている。
『実はさっき此処にくると途中で、気になる場所があった』
「えっ?なんで言ってくれないんだよ?」
『だって、ライズが一緒だったじゃないか』
「あっ……」
実は牢屋に来る直前までライズと一緒に此処まで来ていた。
最近マイアと親しくしているのが気になっている様で、適度な距離感でと注意をされていた。
「わかってるって!」
ちょっとキレ気味にライズに言うと、その言葉に傷ついたのか、なんとも言えない顔をしていたのだが、見なかったことにして彼を置いて牢屋に来た之である。
今思うとちょっと可哀想なことをしてしまったかなと思うがまぁ、今更だよね。
話を戻すが、ご飯も終わりマリアとは一旦別れた。私はフェンリルが気になる所が……と言っていた場所に向かうことにした。
来た道を戻る。ここはさっきライズに説教を受けて立ち止まっていた所だ。
『こっちだ』
足を止めていた私にフェンリルは呼ぶ。
此処の場所から、すぐ近くに別の通路に行くための分岐部がある。彼はその分岐部を通り、もう一つの通路に向かった。
そして少し進んだ先の壁の前で座った。
『ここだ』
「ここ?」
このの通路の先は確か荷物が沢山置いてある倉庫の様な部屋しかない。
あまり人気がない場所だが、周りを気にしながら彼が言う壁をそっと触る。他の壁はシンプルだったのに対してここ壁には絵が描かれている。
この絵は草原の様だ。風になびかれて草が揺れているのが描かれている。
絵を見終わると、少しの違和感も見逃さない様に念入りに調べに入った。すると……
「壁の隙間から風が通っている」
顔に風が当たり前髪が髪が揺れた。
この壁は外に面していないし、城の内側にある壁なので風なんて通らないはず。
『だろ?きっとこの壁の先は空洞になっていてどこかに繋がっているんだよ』
フェンリルの言葉に頷き、この壁を動かす仕掛けがあるはず。
風が吹く隙間の近くをくまなく探すと、壁に窪みがあるのがわかった。
それは草原の中に咲く花の一つに窪みがあった。
花びらの弁の所が凹んでいる。
「フェンリル!ここに窪みがあるよ?」
『本当か!?』
フェンリルも近より確認する。
この窪みをどうにかすれば壁が動くんだろうか?
『なぁ。他の花は窪んだ所に石らしきものが埋め込まれていないか?』
本当だ。他に描かれている花を確認する弁の所にカラフルな色の石がはめこまれている。
じゃあ、ここの窪みに同じ様に石をはめ込めば??
でも辺りを見回すがその石なんてどこにもないし。
試しに近くの埋め込まれている石を取り出そうと触ってみるが、しっかりと埋まっていて外れない。
でも、まだ描かれた花はいくつもある。
私は一つ一つ石が外れるか手で確認した。見事に壁にくっついていたのだが、最後の最後に確認した一番小さく描かれていた花に埋め込まれていた石がポロッと外れたのだ。
「やった!!」
喜びを噛み締めながら、外れた石を見つけた窪みにはめてみるとピッタリとハマったではないか。
『やったな!』
フェンリルに褒められてドヤ顔をしていた私なのだが、石はハマったものの何も音沙汰がない。
あれれ?石をツンツンと触って見るが特に反応はない。次にギュッと試しに押してみたら石が壁へと吸い込まれていった。
そして……
「ガチャッ」と何かカギらしきものが開いた音がした。
音を聞いた私はまた風を感じた壁の前へと立つ。そして、壁を恐る恐る押してみると……
ゴゴゴッと音を立てて壁が回転して奥へ続く道が現れた。
「やっ……やったよ!見つけたよフェンリル!!」
彼を抱きしめ、喜びを分かち合う。
『じゃあ、早速中へ入ってみるぞ!』
「うん!」
私達は発見した隠し通路に足を踏みいれた。




