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32。ライズと和解

 部屋にあるベットの上で横になりながら考えていた。


 あの時のマリアの事を。


 普通なら裏切られたんだから、怒って当然なのに、彼女は「友達だから」という理由で逆に私に笑顔を見せたのだ。それに……その後一旦その場を離れたが、また食事を持ってもう一度マリアの元に行ったんだけど……


「ミジュ!ご飯持って来てくれたの?ありがとう」


 とお礼を言われてしまった。あれは彼女の性格なのか?今自分が敵に捕まっているという状況を分かっているのだろうか?


「ねぇ、フェンリルはどう思う?」


 他の意見も聞きたいとフェンリルにそう問いかけてみるが、彼は分からないと言った。そもそも自分は魔獣なので、人間の考えている事なんて分からないとのこと。


 はぁ。私彼女の考えていることが分からない。

 そもそも人間の言動ってこんなものなの?どんどんと未知数になっていく。


 コンコン。


 私が頭の中で考えをはびらせていると部屋のドアをノックする音が。


 私の部屋に来る人なんてそんなにはいないから誰か来たかは大体分かる。

「どうぞ」と声をかけると思った通り、ライズが入って来た。


 ライズの話を聞くと、どうやら捕虜の様子を聞きに来たようだ。

 私は彼に「とても、元気だったよ」そう報告すると、えっ?と不思議そうな顔をしていたが。


「そういえばミジュ……」


 続けて何かを言おうとしているが、躊躇っているようだ。

 そうか、捕虜のことは口実かとなんとなく悟った。

 本来の目的は言い合いをしたことを話に来たのだろうきっと。

 私は元々謝るつもりでここに帰って来たのだ。さっき会った時に言おうと思ったけど、マリアのことが会って伝えれなかったから。

 だから今、私は彼よりも先に謝ることにしたのだが。


「ライズ。さっきは酷いこと言ってごめんなさい」

「さっきは言いすぎた。すまんミジュ」


 ライズの前に立ち頭を下げて謝ると、彼もそう言って私に頭を下げた。どうやら同時だっみたいだ。フェンリルが『似たもの同士だな』と笑っている。


 笑われた私達は恥ずかしくなり、お互い頭を上げた。ちょうどライズと目が合い、そして自然と笑みが出た。私達は同じ事を考えていたみたいだ。


 ゴホンッと咳払いをすると、ライズはまた真剣な顔になり私に話しかけた。


「ミジュ。話の続きだが、お前はこのまま此処に残ってもいい。それがいいんだろ?だけど、命の危険が迫ることがあれば真っ先に自分の身を守って逃げろ。それだけは守ってくれるか?」


 私は彼のそのお願い事に頷いた。


 私の頷きに彼も「じゃあ分かった」と言ってくれた。


 謝まったことで胸に引っかかっているものが取れた気がする。後はギルにも謝らなくちゃね。


 彼の事をライズに聞いてみると、あの後すぐに自分の部隊に戻らなくてはいけなくなった様で早々に立ち去ったそうだ。

 ただ、私を説得出来なかったせいか物凄く落ち込んでいたそうだけど。


 ……これはかなり深刻かも。ギルに一緒になろうと言われたのをある意味断ったからだよね。大丈夫かな?嫌われたりしないかな……?


 本当はすぐにでも謝りに行きたいけど、まだレン達との戦いは終わっていない。レンを誘き出す為にマリアを捕虜にしているんだ。だからいつ彼らがやってるかもしれないし、戦いが始まってもおかしくない。


 だから……。この戦いが終わったら、彼にちゃんと謝ろう。そして彼と一緒になろうと思った。ちなみにライズには2人で報告したいからそれまで秘密だ。


 ◇


「マリア。ご飯持って来たよ」


 次の日マリアの為にご飯を作り彼女がいる牢屋まで運ぶ。


「ミジュ!ありがとう!」


 彼女は相変わらず私に笑顔を見せてくれる。


「どう?不憫な事はない?」


「ありがとう。大丈夫……あっ!?」


 急に何かを思い出したのか声を上げたマリア。


「ミジュと一緒にご飯が食べたいな?」


「私と?」


「うん!前みたいにね!君もおいでね?フェンリル!」


『……くうーん』


 敵と一緒にご飯……少し悩んだが、それ位の望みだったら叶えてもいいかな?私もマリアと色々話がしたかったし。


 ご飯がまだだった私は、自分の食事をマリアがいる牢屋の中まで運び向かい合う様に座った。ちなみにフェンリルもいる。彼は誘われて戸惑っていたが、以前傷を治してくれたお礼もあり、渋々だが一緒に来た。

 そして、もちろん牢屋を守る門番には止められたが、何とか上手く丸め込んだ。


 前の時も思ったが、マリアと話していたすごく楽しい。

 ライズとは、フェンリルとは違う何か。

 何というか、私の興味を惹きつける様な話をしてくれる。


 そしてフェンリルはというと。


 マリアの膝の上で丸くなって寝そべっていた。正直、私以外でこんなに懐くなんて珍しいから驚いた。


 そんな楽しい時間はあっという間だった。


 ご飯を食べ終わるとまた次のご飯も一緒に食べようと約束をした。

 そして、次のご飯の時間……


「ミジュ。昨日会った時に気づいたんだけど、何か嫌な事あった?目が腫れていたからさ」



 えっ?すごく感が働くなマリア。私の心をまるで見透かしているかの様だ。


「う、うん。昨日は兄と彼氏と喧嘩をしちゃって」


「そっか。それで大丈夫なの?」


「うん。兄とは和解した。後は彼氏なんだけど……」


「よかったら話聞くよ?」


 そう言ってくれて、私はギルの事を彼女に話した。マリアはうんうんと、親身に話を聞いてくれたし、私も悩みを聞いてもらったら、少し気持ちが楽になった。


 それから数日、私はご飯をマリアと一緒に食べる様になった。

 何気ない話をしたり、時にはマリアの昔の恋愛話を聞いたり。ダイスに残っていたら知り得なかった事を教えてくれたんだ。


 私は、彼女と色々話す様になって思ったことがある。

 やっぱりマリアは悪いやつには思えないんだ。


 だから、彼女を此処から逃がそうと考えた。

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