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28。懐かしい声

 魔族達の相手をするが、倒しても次から次へと加勢が来る。


 これじゃあ、キリがない……


 フェンリルとダルクの様子を見て見るが、彼らも疲れている様で息が上がっていた。


 ちなみに、戦いの最中に何度か魔族にコンタクトを試みてみたがやはりダメだった。聞く耳なんて持ってはくれない。これではライズ達を探すことすらできない。


 このまま戦いを続けてもこちらの体力が奪われるだけ。

 相手は次から次へと集まりつつあるのだ。


 くそっ!戦いながら考える。

 ここまで来て悔しいけど、一旦引くしかないのか?そもそもこんなに敵がいて、ここを逃げ切ることができるのか?不安しかない……


「フェンリル!」


『あぁ。分かっている』


 フェンリルもこの状況が不利だと思っていた様で、私の掛け声に頷ずきこっちに来た。


『退くか?』


 その言葉に頷くしかない私。


『……じゃあ、俺が囮になるから、その間に逃げろ』


「えっ!?フェンリル何を言っているの……!?」


 元々こんな状況になった時にと考えていたのか、すぐにその言葉が出た。


 そんなこと出来るわけが無い。私は彼の案を却下した。


『そんな悠長なこと言ってられないだろ!!』


「だって……」


 攻撃を避けながらフェンリルと言い合いしていると……



「そこまでだっ!」


 頭上から誰かの声が聞こえてきた。

 この声はとても懐かしく聞き覚えのある声……


 もしかしてと、声の主を見ると崩れかけた建物の屋上にライズが立っていた。


「ライズ!!」


 出会えた嬉しさから思い切り彼の名を叫んでしまったが、私が叫ぶも無視され、ライズは険しい顔をしていた。


 そんな彼は配下達に呼びかけ、私達に向けていた武器を下ろさせた。


 ライズが地面に降りると今度は私達に向かってくる。私の周りを取り囲んでいた魔族達はライズの為に道を開けて、そして敬礼した。


 私の元までやってくると、すごく冷たい目線を私とフェンリルに送る。

 久しぶりに会えて飛びつきそうな勢いだった私はその目に恐縮した。


 すごく怒っているのが伝わってきたのだ。


「ラ……ライズ……」


「お前との話は後だ。まず魔獣の召喚を解けミジュ。フェンリルも戦闘体制を解くんだ」


『う……うん』


 私はライズに言われた通りダルクの召喚を解き、フェンリルも体を小さく戻していつもの小さなサイズになった。


「ニール」


 ライズの声に反応した1人の魔族が姿を現す。


「はっ」


「怪我人に手当てを。怪我がない者は立場に戻せ」


「はっ。承知しました」



 彼はライズの片腕と呼ばれている位ライズに信頼されている人。

 私も以前ニールと出会ったことがある。


 彼は魔族なのに、初対の私にすごく優しくしてくれて、あっという間に仲良くなったんだったよな。


「ミジュ様、ご無事で何よりです」


「……ニール」


 私の顔を見るなり、ニールが温かい言葉をかけてくれた。

 ライズに冷たくされた後だから、彼の優しい言葉が救われる。


「ミジュ、フェンリル、こっちへ来い」


 ニールのその言葉に面白くなかったのかライズは私の手を掴んで城の中へと連れて行かれた。



 ◇

「全くどう言うことだ!!」


 只今ライズにこっぴどく叱られている最中です……



 城の中へと連れて行かれた私達は大きな部屋に通された。


 部屋に入るや否やライズが私を思いっきりギュと抱いた。


「怪我はないか?心配したぞ」


 さっきまでの冷徹な感じは無くなりいつものライズに戻っていた。


「ライズ、ごめんなさい。でも会いたかったんだ」


 私も彼に謝り抱き返す。久しぶりの彼の声。ずっと会い人にやっと会えて自然と涙が出てくる。


 だが、感動の再会はすぐに終わりを告げたのである。


 私がまだ久しぶりの再会に浸っている最中に、ライズはぎゅと私の体を抱いていた手を解き急に鬼の形相に……


「……ちょっとそこへ座れ。フェンリルも」


 あまりの恐ろしい顔にフェンリルもビビっているし。

 ライズの言われた通り私達は彼の前へと正座した。


 それからライズの説教が始まったのである。

 散々お灸を据えられて只でさえ先程の戦いで疲れているのに。フラフラになる私達。


 彼曰く、ダイスで私達の事を守ってくれてた部下から報告があったそうだ。

 そして今さっき、魔物を従える女と白い魔物がこの陣地で暴れていると報告があったらしく、まさかと思って出向いてみたら私達が居たそうだ。 


「全く……あれほどイースには来るなと言っただろう!!」


 『「……はい。ごめんなさい。」』



 怒られている最中に部屋のドアがノックされ、ニースがお茶を持って現れた。

 そして私達に助け舟を出してくれたのだ。


「まぁまぁライズ様。久しぶりの再会なんですから、お説教はそれ位にしてお茶にしませんか」と……


 なんて優しいんだ!ニール!!


 説教でへとへとになっていた私を椅子へと導いてくれて、お茶をくれる。

 ライズはまだ物足りなさそうだったが、ニースに言われるがままに渋々お茶をすすって落ち着いてくれた。


 それから、ライズは私達にここまでどうやって来たのかを問われたので勇者に会った事などや、ここまでの道中の事を話す。


「それは本当か!?それでどっちの方向へ行った?」


 まぁ、そうだよね?。今後の戦いに関わってくるから、凄く色々と聞かれた。何人パーティーだったかとか。他の仲間の職業は?とか

 レン達のことは好きだけど、嘘偽りなく報告する。


 ちなみに彼らの人柄やそして人間が悪者に思えなかった事も話した。ライズは私の話を聞いて神妙な顔をしていたが。


 分かってるよ。ライズは人間に裏切られたから、今魔族達と戦っている事を。だから、それ以上は何も言わなかった。


 ライズと話をした後、私はフェンリルと用意された個室で休むことになった。


 そして私達が休んでいる間に、彼はギルに連絡を取ってくれたのであった。


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