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27。潜入

 みんなと別れた私達はレン達から教えてもらった道を進む。


 彼らは私が道に迷わない様にと簡単だけど地図も書いてくれたんだ。


 地図には目印になるものも書いてあり、とても分かりやすく書いてくれたおかげで森を見事抜ける事が出来た。



 ――そして今、目の前には草原地帯が広がっている。



「やっと森を抜けたよー」


 そんなに日にち経っていないけど、すごく長い間森にいた気がするな。


 その場で地図を改めて確認して、今度はフェルドリア王国を探すことに。


「えっと……あった!この草原を抜けて少し言った所だね」


 地図には何個か避けるべき場所がわかる様にばつ印がついている。そこが魔族達が攻め落とした土地だ。私達は逆にそこに向かっていけば良いのだ。


 ちなみにレン達はフェルドリアとは反対の方角に向かっている。



「ライズ達とレン達が出会わないといいけど……」


 出会わなければいいけど……でも、いつかはきっと出会うだろう。


 だって、敵同士なのだから。


 その時、私もレン達と戦うことになるのかな?嫌だな……彼らとは戦いたくないと思う。


 考えれば考えるほど嫌な方へと考えてしまうな。

 ダメだダメだと頬を手のひらで叩き、気を取り直して先へと進むことにした。


 草原地帯の草は私の背丈位伸びており、すっぽりと自分の姿が隠れる。

 魔物に見つかりにくい分、相手も発見しにくいなここは。

 これはフェンリルに特に周りを注意してもらい進まなくては……


『ミジュ!何かいる!西の方角!』


 そう思っていたら、早速魔物が現れたみたい。


 フェンリルが言った西の方をじっと身を潜めて観察する。

 すると、カサカサと何かが移動している音がした。


『戦うか?』


 フェンリルが小声で私にそう聞いて来たが、私は首を横に振った。


「出来るだけ戦いは避けたい」


 幸運な事に相手はこっちに気づいてはいない。近くまで音が聞こえたが、また離れていった様で、音はどんどん遠のいて行った。


 一応、最悪の場合を考えて剣をいつでも抜ける様にとグリップを握り待機していたが、難が去って手を解放した。


 ……何事もなくて良かった。


 完全に気配が無くなったのを確認すると、私達もこの場をすぐ様離れた。



 ◇


 ここがフェルドリア王国……

 酷い……


 何度か草原地帯では魔物に出会いそうになったが、フェンリルのおかげで回避することが出来た。


 そして私達は無事に、フェルドリア王国へと到着したのだが。


 私が見た光景はまるで地獄絵の様だった。


 城下町と思われる所は戦いの名残が残っており、ひどく建物が破壊されている。田畑も荒らされ、あちこち火をつけられたのか焼け野原の様になっているし、異臭も酷い。


 それに人の気配は全くなく、殺されたのか、逃げ出したのか。何の気配も感じられなかった。


 これが生死を分ける戦いなのか……


 初めて見た光景に吐き気がする。


『大丈夫か?』


 顔色が悪い私をフェンリルが心配してくれたが、大丈夫だとお礼を言うと、道があったであろう道を進んだ。


 さあ、早くここを指揮している者が誰なのか確認しなくては。


 きっと城に指揮者はいるはず。だから城に近づくにつれて、魔族や魔物に出くわす確率が上がるに違いない。だから、この城下町を誰にも見つからない様に慎重に城へと急いだ。


 それにどうせ魔族に出会っても、味方だといってもきっと信じてもらえないだろう。この前レン達と一緒にいた時に出会った魔族だって、私の事を知らなかったし。


 門前払いを喰らうかもしれない。いや、それどころか殺されるだろう。

 そして、もしここにライズやギルがいなかった場合速やかに逃げれる様にとも。


 だからこっそり様子を伺いながら顔見知りを探すことにした。


 実はライズの配下の人達とは何回か出会ったことがあるのだ。もちろん顔も覚えている。

 だから、誰か1人でも顔を知っている人を見つければ何とかなると信じて。


『ミジュ!誰か来る!』


 フェンリルが探知し、私達はとっさに建物の陰に隠れる。

 身を隠すと魔族が2人が武器を持ってこっちに歩いてきた。


 それを建物の陰から伺う。

 下っ端が見回りをしている様だ。


 2人が通り過ぎるのを確認し、更に奥へと進んだ。


 やはり城に近づくにつれて魔族や魔物に出会う機会が増えていた。その度に身を隠して何とかやり過ごしていたが、遂に見つかってしまう。


 うかつにも、身を隠した時に隠れようとした壁がもろくなっていて崩れてしまった。


「おい!何かいるぞ!」


 魔族の1人と目線が合ってしまった。やばい……見つかった。


「人間だーっ!」


「迎え撃てーっ!」


「ちょっと待って!?」


 やはり私の言葉なんて聴く耳なんて持ってくれない。


 この場から走って逃げるが、逃げれば逃げるほど魔族が私達を捕らえようと、どんどん集まってくる。



『ミジュ!こうなったら戦うしかない』


 (らち)が明かないのを悟ったのか、フェンリルは立ち止まり体を大きくして戦闘体制に入る。


「でも……」


『戦わないとこっちが殺されるぞ』


「うっ」


 私も覚悟を決めるしかなかった。


 相手は10人以上はいるであろう。

 こっちは私とフェンリルのみだ。


 こうなったらこっちも!!   


 呪文を唱えて召喚魔法を発動させ、火の使い手ダルクを召喚した。


 魔族はダルクの姿を見て一瞬怯んだが、1人が襲いかかると後を追う様に次々と襲いかかって来た。


『ダルク!こいつらの相手を!!』


『かしこ参りました』


 ダルクは手のひらから出した火の塊を魔族達に投げつけ、見事に命中した魔族は火だるまとなって倒れた。


 フェンリルも他の奴らに飛びかかり、鋭い爪と牙で応戦している。


 そして私も剣を抜き、戦いに参戦した。


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