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26。別れと旅立ち

「ミジュー!おはよう!朝だよ!」


 そう言って私の顔に自分の顔を近づけてきたマリア。

 その声で起きた私は、そんなマリアに眠たいながら何とか挨拶を返して、まだしょぼしょぼしている目を手でこする。


 えーっと……

 たしか昨日はご飯を食べた後、疲れていたのかテントの中で横になったらあっという間に寝ちゃったんだよね。


 体を起こし周りを見るとすでにレンとタクも起きているのか、テントの中にはいなかった。


 フェンリルはというと、まだスヤスヤと眠っていた。まだ全快ではないんだなと思いそのまま彼を寝かせて私はテントの外へと出た。


 テントの外ではまたレンとタクが朝ごはんの準備をしている。


 彼らにも挨拶をすると、昨日と同じでちょっと待っていてと言われたので、先に座っていたマリアの隣へ私も座って談笑しながらご飯ができるのを待った。

 昨日今日でマリアとは結構仲良しになったんだ。お姉ちゃんみたいで私の事をよく気遣ってくれるんだ。


「ねぇ、マリア?ご飯はいつもレン達が作ってくれるの?」


 手際がいい男2人を見ながらマリアに質問する。


「そうなのよ。レン達は料理が上手なの」


 笑いながらそう言う彼女の言葉をへーっと思いながら彼らを見ていると、確かに手際がいい。昨日のスープとかも美味しかったしね。


 ちなみに今日の献立は、肉と野菜が挟んであるサンドウィッチにコーンポタージュだそうだ。


 ご飯の支度ができると、私達は食事をしながら、これからの事について話す。


 イースでは魔族がやって来てから攻め落とされた土地が多々あるそうで。魔王の本拠地があると言われている場所に向かいながらレン達は、道中奪われた土地に立ち寄って奪還しているらしい。


 確か私がダイスにいる時、家を守ってくれていたライズの部下の人達が侵略は順調と言っていたんだよね。それを今奪い返せられていると言うことか。


 彼らの話が終わり、今度はタクが私に質問をしてきた。


「ミジュお前はどこに向かっていく予定だったんだ?」


「私?」


 急な質問にご飯を詰まらせ、ゲホゲホとしていると、隣に座っていだマリアが私に水を差し出してくれ、それを勢いよく飲み干した。


 はぁ。死ぬかと思った……


 涙目の私の背中をさすってくれたマリアにお礼を言う。


 ちなみに昨日の夜ご飯の時も、私が召喚した魔獣のラピュスの事を聞かれて、その時も今日と同じ様にご飯を詰まらせて大変な目にあったのだ。ラピュスの事は上手くはぐらかしたんだけど。また際どい質問がきたな。


「……私は兄を探して旅をしているの」


 咄嗟に出た嘘。まあライズは兄の様な者だし半分は本当だし。


「生き別れたのか?」


「旅に出たまま帰ってこなくって」


「そうか……」


 あなた達の敵である人を探していますなんていえないよね。

 それにしても私は嘘は苦手みたいだ。嫌な汗をかきながら必死に誤魔化しながら彼らに話す。でも彼らはそんなこと気づいてはいない様で、私の話を信じてくれた。


「だったらお前も俺たちと一緒にくるか?1人で旅をするよりも安全だし、もしかすると兄さんに会えるかもしれない」


「そうだよ!ミジュ!私達と一緒に行こうよ」


「えっ?」


 昨日出会ったばかりの私をみんなパーティに入れようとしてくれるなんて、なんて優しいのだ。


 でも、一緒にいてまた魔族に見られて敵だと勘違いされても困るし。それに目覚めた時、フェンリルが何て言うかな……反対されそうだ。でも……


 本当は彼らのことがもっと知りたかった。そして人間達の事をもっと知りたい気持ちもあった。


 ……けど、私は彼らと一緒に行く事はやはりやめた。


 その事を伝えるとみんな残念そうだったけど。


「ごめんね」


「お前が謝る事じゃないよ」


 レンがみんなの代弁をして慰めてくれた。



 ◇


「じゃあ元気で!またどこかで会ったら声をかけてくれ!」


「ミジュー!お元気で!」


「元気でな!!」



「みんな色々とありがとう!!」


 お互いに別れを言い合い、私はみんなが見えなくなるまで見送りった。

 そして彼らの姿が見えなくなると、私達も出発した。


「さあ行こうか、フェンリル!」


『そうだな』


 フェンリルも朝食を食べ終わってテントへと戻ると目を覚ましていた。とても元気になったようで安心したよ。


 そして彼は彼で、目を覚まして私が人間と仲良くしていているのを見てびっくりしたそうだ。


 フェンリルは空から森を偵察していた所までは覚えているみたいなんだけど、攻撃を受けたその時に意識が飛んでから目を覚ました今までの記憶は全くないらしい。


 彼に今までの事情を説明すると、『俺が眠っている間に色々あったんだな、すまなかった』となぜか謝られてしまったけど。



 さて、森の出口までの道のりはレン達から聞いておいた。


 この森は通称『迷いの森』と言われるほど広大な森が広がっているらしい。


 全く無知な私に彼らは、普通イースで生活している者なら知らない人なんていないのに。と言われてしまったが、山奥の小さな村から出て来たもので……となんとか誤魔化しといた。


 ついでに田舎者の私にマリアがもう一つ教えてくれた。


 魔族達がこの世界にやって来た時に、魔王が魔物をイース全体に放った為、道中魔物に出会うかもしれないので気をつける様にとも忠告もくれた。


 まぁ、ダイスにもあちこちに魔物が生息していたからそんなに変わらないとは思うけど。強い魔物がいたらフェンリルが気づくだろうし。


 そして一番聞きたかった魔族がいる場所ももちろん聞いた。


 そこへ行きたいと言うと怪しまられるから、避けて通った方がいい場所を聞いたら自ずとその場所の話が出たのだ。


「とりあえず、一番近いのはフェルドリア王国だね」


『そこにライズかギルがいるといいんだけどな』


「うん……」


 私とフェンリルは彼らに無事に会える事を祈って、目的地へと向かった。


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