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24。ファーストコンタクト

「その子に触るなーっ!」


 私は人間達に向かって走りだした。


 そして、まずフェンリルを触ろうとしていた男に向かって手に持っていた剣を力強く振り下ろす。


 だが、間一髪のところで避けられた。

 更に近くにいた女が魔法で攻撃して私は剣を弾かれた。


「ぐっ!」


 剣を弾かれた勢いで体勢を崩して倒れた私にもう1人の男が腰に付いていた剣を鞘から抜いてすかさず突きつける。


「お前は誰だ?」


 その男は剣先を私の喉に近づける。


「大丈夫?タクッ!」


「あぁ、間一髪だったがなんとか大丈夫だ」


 魔法を使った女は私が襲った男『タク』に安否を確認をしていた。

 そして私に剣を突きつけている男はもう一度と聞いて来た。


「お前は誰だと聞いている!」


 何も言わない私に苛立ったのか剣を持つ手に力が入り、剣先が首に押し当てられ、血が滲む。


 私はその男を睨んでこう叫んだ。


『ラピュス!』


 その言葉を発すると木の影から勢いよく出て来た植物形態の魔獣。


 人間に飛び掛かる前に何があってもいいようにすでに一体魔獣を召喚していたのだ。


 ラピュスは私に剣を突きつける男に向かって手のツルで攻撃をする。

 男は攻撃を避ける為に私から離れた。


 しめた!

 私は彼から距離をとった。


 フェンリルはっ!?


 邪魔が入ったせいで見失ったフェンリルを探すと人間達を挟んで奥で倒れている。


 早く彼の元に行って治療しなくては。ススだらけの彼を見て怒りが込み上げる。きっと受けた攻撃はすごく痛かったに違いない。


「あの子を魔法で襲ったのはあなた達ね。よくも!許さないっ」


 あまりの怒りにそう言って彼らを思い切りにらむ。

 だが、それとは裏腹に人間達は何ごとかと、それぞれ顔を見合わせていた。


「ちょっと待て。なんだその襲ったってのは?その黒焦げの動物のことか?」


 今更何を言っているんだ!?当たり前のことを平然と言う彼らの言葉に苛立った。


「そうよ!その子は私の相棒なの……。なのにあなた達が攻撃したんじゃない!」


「おい!ちゃんと聞け!俺たちがここに来た時に倒れていたのを見つけただけだ」


「うそだっ!」


 人間の言葉を無視して私はラピュスに三人を攻撃するように命令した。


『かしこ参りました』


 ラピュスは両手からツルを伸ばし彼らを攻撃する。

 彼女のツルはまるで鞭のように地面をえぐる。


 人間達はツルに当たらない様にそれぞれ散らばる。

 そして、ラピュスの攻撃を避けながら攻撃を仕掛けていていた。


 それは敵ながら見事な連携プレーだった。

 男達が避けながらもラピュスに切り込み、攻撃を受けそうになると、魔法使いの女が防御魔法で彼らを助けている。


 その様子を見てラピュスだけでは間に合わないと思い私も参戦する。


 まずはあの魔法使いの女!あいつを、倒せばこの連携は崩れると考えた。


 ラピュスに気を取られている彼女はこっちを見ていない。


 チャンスだ。そして、勢いよく剣で切り込んでいった。


 キィーン。


 剣と剣が交わる音が響く。


 さっき私に剣を向けた男が魔法使いの前に立ちはだかっていた。


 一体いつの間に!?

 さっきまで向こうでラピュスの相手をしていたのに。


「おいおい。俺たちの話をちゃんと聞いてくれ?」


「まだ言っているの?しつこいわよ?」


 お互い距離を取る。


「あなた達が違うって言うなら証拠をだしてよ!」


「証拠って」


 その男はポリポリと頭をかいて悩んでいる。


「マリア!回復魔法を使ってその動物を治せるか」


「状態を見てみないと分からないけど」


「じゃあちょっと頼む」


 マリアと呼ばれた女の魔法使いはフェンリルの方へと向かう。


「ちょっと勝手にフェンリルに触らないでっ!」


 魔法使いが彼の元に行かない様に妨げようとすると、またあの男が出て来て私の事を妨害する。


 それを何回か繰り返していた時だった。


 木の茂みから声が聞こえて来た。


「ここの辺りか?さっき魔法で倒した生物が落ちた場所は」


「はっ。確かにこの辺りに落ちて行くのを目撃しました」


 すると、木をかき分けて私達の前に現れた魔族が2人。


 えっ?魔法で倒した?魔族達の話に私はポカンとした。


 それを聞いた人間は、だからさっきから言っているでしょう的な感じでこっちを見る。


 そして魔族達も私達を見て何でここに人間がいるのかという様な目で驚いている。

 だが魔族はすぐ様我に返り、私達の事を敵だと認識してこちらに攻撃を仕掛けて来た。


「ちょっ!?待ってよ」


 やっと魔族に会えたのに。私あなた達の味方だって言う前に攻撃を仕掛けれられた。


 1人は槍を手にもう1人は斧を持ち襲ってくる。それもなぜか私がターゲットになっているようだ。私が彼らとの距離が一番近いからか、2人で私を同時攻撃してくる。


「ねぇ、ちょっと聞い……」


 私が攻撃をなんとか避けながら話しかけるが聞く耳を持ってくれない。


 人間と一緒にいるから敵だと思われている模様。

 まぁ、元々人間だしね。


「おい!何さっきから敵に向かってごちゃごちゃ言っているんだ!」


 今現状を見かねたのか、さっきまで私と剣を交わせていた男が助けに入ってくれた。そして、魔法使いの女も。


 2人が助っ人で入ってくれてからは早かった。

 何よりも男がすごく強くて、あっという間に魔族達をやっつけてくれた。


 いや、やっつけちゃったらライズ達の居場所を聞けないよ。

 ちょっと涙目だ。


 でも、まずやらなくてはいけないことが。

 私は2人間人に向かって土下座した。


「疑って申し訳ありませんでしたーっ!」


 敵とはいえ誤解していた。だから、地面に頭をつけて精一杯の謝罪をしたのであった。


「レンいいよね?」


 マリアはレンと呼んだ男に聞く。


「しゃーない。誤解だったんだ。解けてよかったよ」


「ありがとう」


 そう言って2人は許してくれた。

 2人の話を聞くと、本当はまだ息のあるフェンリルを助けようとした所に私が勘違いして攻撃して来たそうだ。


 全く申し訳ない……


 ん?あれ?ちょっと待って?確かもう1人いたよね……?


 向こうの草むらからラピュスから走って逃げる人間が。


 あっ……。まだ戦っている最中だったのね。

 それにすっかりラピュスのことも忘れていた。


 私はすぐ様ラピュスを解放した。


「はぁはぁ……」


 タクはマリア達の後ろに隠れ、ラピュスが消えたのがわかると、その場に倒れ込んだ。


「……大丈夫か?」


 レンがそう聞くと、


「おまえら、俺のこと忘れただろ……」


「……ごめん」


 その言葉に吹いてしまった私。

 それを見たレンも笑う。

 マリア、タクにも移ってみんなで笑った。


 これが彼ら人間との初めての出会いだった。


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