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20。ペンダント

 ――それからあっという間に二ヶ月の月日が流れた。


 ギルは約束した通り、少しの時間だけでも会いに来てくれた。

 そしてイースへ出発する前日も彼は私に会いにきてくれたのだ。


 ギルが家に迎えに来てから、秘密基地に向かう。

 そして到着すると2人で近くの岩場に座った。


 ライズに話したことをその後ギルに出会った時、同じ様に話をしたが、彼もライズと同意見で私がイース行く事を反対した。


「私も行きたいのに」


「ライズさんも俺もお前が来たら心配でたまらないんだよ」


 分かってるよ。みんなの気持ちはすごく伝わっているよ?

 でも……


 私が悲しそうな顔をしていると、ギルは頭をポンポンっと撫でてくれる。そしてギルはポケットから何かを取り出し、拳の中へと隠し、私の顔の前に。


「何?」


「見たい?」


「見たい」


 拳を私の顔の前に持ってきたから、その拳に触れようとしたらギルは手を引っ込めた。そして私が手を引くとまた顔の前に突き出してくる。それを何回か繰り返しやられた。


「何なの!?」


 私がむすっとすると、ごめんごめんと言いながら拳を開いてくれた。


 ギルの手の中にはペンダントが二つ重なって収まっていた。


 片方は赤い石が。もう片方には青い石が付いている。


「ほら。お前は赤い方だ」


 そう言って2つの内の1つのペンダントを私に渡してくれた。


「えっ!?もらって良いの?」


 突然のプレゼント。


 ワクワクしながらもらい、そしてペンダントを太陽の光に当ててみると石が透けて光っていてとても綺麗だった。


 ギルは「貸してごらん」と私からそのペンダントを受け取ると、後ろからそっと私の首につける。


「どう?」


「うん。いいね!俺もミジュにつけてもらいたいな」


「うん!」


 私もギルからペンダントを受け取り彼の首につけた。


「2人だけの宝物だな」


 そんなことを言われたらニヤニヤしてしまう。

 ギルも私の顔を見て嬉しそうだ。


「ちなみにこの石には特別な力があってな。石を両手で握りしめて祈ると、共鳴し合うんだ」


「すごい!」


 ギルの話では、『共鳴の石』と言うらしい。結構レアなものらしく手に入れるのに苦労したとかしないとか。 


 色が違うけど同じ石から取れたそうだ。なんか加工工程で色が変わったと言って、難しそうな話しをしだしたので、話を途中で切り上げさせてもらった。



 そして嬉しさのあまり私はギルを抱きしめた。そして彼の唇にそっと自分の唇を重ねた。


 いきなりの事にギルは少し驚いていたけど。


「絶対帰ってきてよ……」


「当たり前だろ?」


 ギルもそう言って私を抱きしめ返してくれた。


 嬉しい反面寂しいさもあった。だからキスをしたんだ。

 無事に戻ってきます様にと願をかける為に……




 ◇

 ――そしていよいよイースに攻め込む日が訪れる。


 ライズは日が空に上がる前に家を出た。


「じゃあ行ってくる。良い子で留守番してるんだぞ?」


 ライズとお互いをぎゅっと抱きしめ、それが終わると彼はフェンリルの頭を撫でた。


「留守を頼むぞ」


『まかせろ』


「お前達も頼むぞ!」


「「はっ!」」


 私達の家の周りにはライズがマルジン対策として2人の護衛を配置してくれた。


 この2人はライズは直属の部下で、彼曰く2人ともかなりの強者との事。


 逆に私なんかの護衛をしてもらっても良いのだろうか?とさえ思う。


 まあ、マルジンもライズ達と同じようにイースに出向くことになっているとの情報が入っているが、念の為。


 そして、食料など衣食はその部下に頼めば手配もしてくれる。


 私が何不自由なく暮らせる様にとライズが取り計らってくれたのである。



 ……また会える。絶対会えるんだから。


 涙を堪えながら彼の姿が見えなくなるまでずっとずっと彼を見送った。そして……


「行っちゃったね」


『あぁ』


 彼を見送った後、無性に寂しさが私を襲った。昨日はギルと別れ、今日はライズとの別れ。

 だめだ、だめだ。涙を服の袖で拭いた。フェンリルにも誰にも見られない様に……



 ◇

「ライズさん!」


 イースへ攻め込む為に人間と魔族の世界を繋ぐ【ワープホール】。


 そこの近くで準備をしていたライズの元にギルがやってきた。


「ギルか」


「ミジュは大丈夫でした?」


「大丈夫だ。大人しく見送ってくれたよ。ここの場所も知られてないし、マルジン対策で俺の部下も付けておいたしイースには来ないだろう」


「良かった」


 ギルは安堵した。


 ミジュが一緒にイースに来るのではないかと心配をしていたのだ。

 ずっとみんなと一緒にイースに行きたいと駄々をこねていたからどうなるかと思ったが。


 愛する人をみすみす戦いの場へ赴けたくはない。


「じゃあ、ライズさん!お互い死なないように頑張りましょう」


「ああ」


 その言葉に苦笑しながら返事をしたライズであった。




 ◇

 ライズ達がイースへと出向いて数週間が流れた。


 私は彼らの無事を祈りつつ平和な日常を過ごしている。


「ライズ達は今頃戦っているんだよね」


 横にいるフェンリルにそう呟きながら、ベッドに寝転がっていた。


「あっ光った!」


 ギルからもらったペンダントは定期的に光を放ち共鳴する。


 きっと彼が私を思ってペンダントから合図を送ってくれているのだろう。


 離れているから顔も見れないし、話もできない。今はただ、このペンダントが彼との唯一のつながり。


 私も早速ペンダントを両手で握りギルの無事を祈る。もちろんライズの事もね。


 この光が、私の思いが彼に届きますようにと……


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