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18。ライズとの関係

 不意にされたキス。


 いきなりの事で思いっきり目を見開いてしまったが……


 そんな私の驚く顔を見て、照れながら喜ぶ彼がいる。

 何かギルが照れているのが可愛いく見える。


 いつもとどこか違う一面を見てキュンとしていると、ギルはまた私を抱きしめる。


「本当に……本当に大好きだ。ミジュ」


 そう言って力強く抱きしめられた。


「うん。私も……」


 これが好きと言うものなんだ。そう心の中で思い、また彼の温もりを噛み締めた…



 ――それから帰る時間までは2人の時間を楽しんだ。



 他愛のない話をしながら手を繋いで、キスをして。

 そして顔を寄せ合って笑って。


 だが、そんなとても楽しい時間が過ぎて行くのは、あっという間だ。窓から差し込んでいた日差しはいつの間にか無くなり、空はもう真っ暗だ。


「じゃあ、そろそろ送っていくよ」


「……うん」


「……離れるのは寂しいけど」


 そんな会話を終え、私たちは手を繋いだまま家の外へと出た。そして、ギルが呪文を唱えるとふわりと体が浮き2人の体は空を舞った。


 移動呪文を唱えたのだ。


 夜なので暗く、昼間見た様な景色は見えなかったが、家まで帰るのにそんなに長く時間を感じなかった。逆にもっと家が遠ければ良いのにとさえ思う。


 ギルと一緒にいるからかな?


 家の周辺までくると、大体の場所しか知らないギルに家の場所を案内をする。


「あっ?あそこの家!灯りがついてるとこ」


 既にライズ達は帰っている様で家に灯りが灯っている。

 しかし、家の場所を教えたのにギルは家の少し離れた場所で降り立った。


 なんで離れたところで降りたのだろう?


 私が疑問そうな顔をしていたのが分かったのか、ギルは恥ずかしそうに私に言った。


「俺たちのこと、ライズ様に報告しといた方がいいよな」


 そうだった……甘い時間に酔いしれていた私は肝心なことを忘れていた。


 私達付き合うことになりました!! 


 なんて言ったら彼らは驚くかな?

 さっきまでお気楽な気持ちだったのが、急に緊張する。


「一応伝えた方がいいよね。その方が会いやすいし」


「そうだな」


 2人で話を合わせて緊張しながら家の前までやって来ると、深呼吸する。


 ……よし。


 家の扉を開けようと扉のノブに手をかけようした時、ギルの手が私の手を引きよせて、突然私にキスをする。


 えっ!?今する!?扉の向こうにはライズ達がいるのに!!


 こんな所を見られたらとハラハラしたが、「しばらく出来ないから」とギルは笑いながら私に言った。


 っっもう!


 気を取り直して、家のドアを開けた。


「ただいま!」


 私の声に反応したライズとフェンリルが家の中から急いで私の元へと駆け寄る。


「ミジュ!」


 顔を見た途端ライズは私を抱きしめた。


 その力強さは心配していたからだろう。

 彼の力強さに苦しそうにしていたのが伝わったのか、私から慌てて離れた。


「もう大丈夫か?痺れとか、痛いところとか」


「……うん、大丈夫。心配してくれてありがとう」


 そうだ。浮かれていて、拉致られそうになったりと大変な目に遭っていたことを忘れていた。そんな私とは逆にライズ達はきっとずっと心配してくれていたのだろう。


 とても申し訳ない気持ちが溢れてきた。だからライズ達を安心させようと一杯の笑顔を見せた。

 私の笑顔を見て彼らもホッとした顔をし、私との話が終わるとライズはギルへと目線を変えて改めてお礼を言っていた。


 そんなギルはタイミングを見計らってお礼を言われた後にライズを呼ぶ。


「なんだ?」


「実は……俺。ミジュと付き合うことになりました」


「…………そうか。ミジュを頼むぞ」


 その言葉にライズは一瞬何とも言えない顔をていたが、間を少しおきその言葉だけを残して家の中へと去ってしまった。


 えっ?それだけ??


 フェンリルはギルの言葉にすごく驚いていたのに、ライズは特に驚く様子がない。


 なぜ?なんかすごく違和感がある。


 拍子抜けの私達だったが、大仕事を終えたギルは私の横でホッとしていた。そして、明日もまた早くに出かけなくてはいけないみたいで、次の会う約束をして早々に退散した。


 別れ際にまたキスされそうになったがフェンリルがいたので上手くかわしたけど……



 彼の見送りが終わり、家の中に入ろうとする私にフェンリルが興味津々に聞いてくる。


『ミジュ!ギルと付き合うの!?』


「……うん」


『……そうなんだ』


 あれ?フェンリルも浮かない様子。

 何か私達、祝福されていない感じなのかな。


 これからしばらくの間、何故かライズとフェンリルとの微妙な空気が漂ようことになる――



 ◇


 ――少し時間を戻し、ここは魔王が住まう城。ギルとミジュが去った後、そこにはライズとフリードが城の頂上付近にあるテラスで外を見ながら立ち話していた。


 もちろん周りに誰もいないことを確認して。


 フェンリルはというと、近くにあるソファの上でスヤスヤと眠っている。


「フリード殿、ミジュの事を助けてもらって感謝する」


 ライズは改めて彼に礼を言っていた。


「その事なんだが……彼女は一体何者だ?お前の本当の妹では無さそうだが」


 マルジンが狙うくらいだ。彼女には人間ながらに隠れた力を持っている。そう確信していた。

 だが、逆にライズはその言葉に戸惑いを見せた。


「まあ、そちらの事情だ。ちょっと気になってな。先ほども言ったが、言いたくなければ特に深追いはしないが」


 助けてもらった借もある。

 ライズはミジュの力の事は伏せて彼女のことを話した。


 話を聞いたフリード。


「そうか。実は彼女の世話を任せたギルという男だが。ミジュの事を慕っていてな」


 その言葉に一瞬、顔が凍りついた。

 背を向けて話していたフリードはそんなこととは知らず話を続けた。


「ギルは助けともらった時、私に彼女のことを話していた。そしてもしかしたら彼女を好いているような気がしてな。だから、ミジュの世話を申し出たんだが。もし、彼女もギルの事を好いていたら、交際を認めてやってはくれないか?」


 あの男と、ミジュが!?


 心の中でそう思うライズ。


 だが、もし、ミジュがそう望んでいるのであれば自分から何もいう事がない。俺は俺は彼女が幸せになるんだったら。ライズは己の気持ちを封印して身をひこうと思うことにした。


「はじめはどこの人間が分からないから心配していたが、ライズの知り合いとなれば話は別だ。私はあの2人を祝福したい。ライズはどうだ?」


「俺もだ。彼女が幸せになるのであれば何もいう事はない」


 ライズの意志を確認してフリードも安堵する。


 大事な俺の息子だ。


 出来れば彼には幸せになってもらいたかった。

 ギルはああ見えて何事も真面目だった。

 だから逆に心配していた。


 彼を小さい頃から養父としてギルを見ていたフリード。


 彼の両親は幼い頃事故で亡くなっていた。そんな彼の父親とは仲が良い友人であり、良きライバルだった。


 だから身寄りが亡くなったギルをフリードは息子として育てることを決め、養子として迎えた。


 ギルには少しでも幸せになって欲しい。

 これから人間との戦いが待っているのだから。


 だが、もしだめでもそれはそれで仕方がない。

 でも、2人が相思相愛だった場合、まず2人に立ちはだかるのはライズだと思った。

 だからフリードはライズに事前に確認することにした。



 ――話は元の時間軸に戻る。


 その話を事前にフリードから聞いていたライズ。


 実際にミジュ達から付き合うと聞いてショックが隠せず、拳に自ずと力が入る。


 まさかこんなに早くその言葉を聞くことになるとはな。


 出来ればミジュを自分のものにしたかった。でも彼女の幸せそうな顔を見たらそんな事はできない。


 自分の気持ちを封印すると考えていたのに。俺もまたまだ甘いな。なんて思いながら。頭をかきむしっていた。


『ライズ』


 はっとして後ろを見るとフェンリルの姿が。


 今の挙動不審を見られたか?


 何事もなかったかのように接する。


「どうした?お前も早く寝ろ」


『俺は知っていたよ。ライズがミジュの事を……好きだったのを』


 フェンリルにそう言われて驚くライズ。


「一体いつから……?」


『ミジュは気づいてはいなかったけど、ライズのミジュを見る優しい目を見てそう感じたんだ。本当にこれでいいのか?』


 こいつなかなか鋭い観察力しているじゃないか。


 ライズはフェンリルに自分の心を見透かされ笑う。

 そして、遠くを見つめながら彼女の幸せを願った。


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