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14。ライズのお供

 あの老人は一体何者だったんだろう。

 いいものを見せてもらったって言ってた。


 ライズ達も色々と聞きたいみたいなので、今日起きた出来事を彼らに話した。


『なんでミジュはこう魔族や魔物とこんなに関わるんだ?』


 それはこっちだって聞きたい。なんで私ばかりがこんな目に遭うんだろう?


「で、その老人に召喚魔法を使ったところを見せてしまったんだな」


「うん……だって魔法を使わないと私、魔物にやられると思って」


 次から次へと頭が痛いことが起こってばかりだと思うライズ。


 だが、ミジュはやはり誰かに狙われているのはよく分かった。

 それも多分召喚魔法が鍵となる?か。

 あんな魔法を見せられたら誰だって彼女を欲しがるのも無理はないと思う。


そして、ミジュ達が助けた魔族の男の仲間だという可能性もあることを忘れてはいけない。


 ライズは考えて考えて……そして答えを出した。


「ミジュ。しばらく俺のそばにお前を置いておく。だから、これから俺が出かける時もお前を連れて行くことにする」


「えっ!?私も?」


「俺がいない間に何かあっても困るからな。今日の午後、早速出かけるから一緒に行くぞ?」


 24時間一緒にいることは難しいが、少しでも自分の近くに置くことでミジュを守ろうとしたライズの答えがそれ。フェンリルに任せてもいいが、前例もある。


 自分が近くにいればすぐに駆けつけることだって出来る。


 そう考えた。


 そんなことに気づかない私は今までお留守番ばかりだったからちょっとだけ嬉しかったことは秘密だ。


 そして出発の時刻時間。


「あんまり人間だというのが分かると良くないからな」


 ライズはフードがついたワインレッド色のローブを手渡してくれた。


 これを着て人間だと言うのを隠くせということだ。


 ライズは既に魔族達に顔を知られているから問題ないそうなのだが、新参者の人間が現れると良いように思われない。

そりゃそうだ、格下の人間にいい顔なんてしない。


 なんかすぐにバレそうな気もするけど、何もしないよりマシだということで、服の上から羽織ってみた。


 ローブを覆うことまるで不審者のような姿だが、仕方ない。

 そしてフードを被ると顔がすっぽりと隠れる。なんか視界が悪いが色々とバレるといけないからと言うことで我慢する。


『似合ってるじゃん』


 これのどこがだよ?


 私とフェンリルがマントのことで言い争いをしているのを呆れた顔で見ていたライズだったが、そろそろ出る時間になった様で彼に促されて外へと出た。


 いつもの様にフェンリルに大きくなってもらい、ライズと私は彼にまたがった。


『しっかり掴まっていろよ?』


「うん!」


 いつもの様にフェンリルが走り出す。そしてふわりと宙を舞った。


「えっ!?」


 急に空を舞い出したフェンリル。

 それに私はとても驚いたのだ。

 今まで走ったフェンリルに乗ったことはあったけど。

 まさか空を飛べるなんて思っても見なかった。

 だっていつも森の中を走り抜けていたし。


「知らなかったのか?」


 ライズにそう聞かれたが、本当に知らなかった。


確かにフェンリルには翼はあるが使うことはなかったのだ。だからてっきり飾りだと思っていた。


ちなみにライズはフェンリルに送ってもらう時はいつも空を飛んでいたそうだ。

 

 ……私だけ知らなかったのね。


フェンリルに何で教えてくれなかったと問いただすも、はぐらかされるし……私、ライズよりもフェンリルと一緒にいる時間が長いのに。

 なんて不貞腐れていたのも束の間、空の上からの景色を見てそれもあっという間に消えた。


「うわーっ!」


 初めての空の旅。

 自分達がいた山が下にある。

 フェンリルは私達を気遣ってくれているのか、ゆっくりと空を舞う。


『どうだ?』


「すごーい」


 私が感動していると今度はスピードが速くなる。


『スピードを出すからな』


 そういうと、体が持っていかれそうな位スピードが早くなった。


 目的地までは空を飛ぶ。

そして、あっという間に目的地に到着した。


 到着したのは崖に聳え立つ城。きっとあれが魔王が住んでいる城だ。


 城に近づくと、周辺には護衛している兵士たちがいるのが分かる。そして執事姿の魔族も見えた。


 フェンリルが城の入り口に降り立つとさっき確認した執事姿の魔族が私達の元へと近づいてきた。


「これはようこそライズ様」


「今日はもう1人連れてきた。会合が終わるまでこの者に別室を用意してくれ」


「かしこ参りました」


 ライズは彼らのやり取りを不安に見ていた私に気がついたのか、私の頭を撫でながら大丈夫だという顔をした。


 ライズは結構名が知れ渡っている人間の様だ。魔族の従事者は客人の様に丁寧にライズに対応している。


 そしてしばらく待つと準備ができたと言うことで従事者に案内さた部屋に入った。


 そこはとても広い部屋だった。

 こんな大きな部屋を私とフェンリルで使うのは如何なものかとも思ったが、折角用意してくれた部屋だ。大いに使用することにした。

従事者が扉を閉めてフェンリルと2人きりになると鬱陶しかったローブを脱いだ。フードのせいか髪の毛はぺちゃんこだ。


「ねえねえ、飲み物とお菓子が置いてあるよ?」


 まず目に留まったのはテーブルに用意されていた茶菓子。

 沢山用意してあってどれもみるからに美味しそうだ。


「食べてもいいかな?」


 せっかく用意されているので頂くことにした。


「おいしい!」


 なんなんだこのお菓子は!?

 ライズだってこんなお菓子は用意してくれない。


 一つ食べまた一つ食べ。

 うっ!うまい!沢山あったお菓子はあっという間になくなってしまった。

 フェンリルは呆れていたが、食べてしまったものはしょうがないのだ。


 満腹でソファにどかっと座りながらようやく部屋の中を観察してみると、まぁ高価そうか品物がたくさんある。


 さすがは魔王の城と言った所か。


 しかし、やることがなくなってしまった……

 ちなみにライズと別れてからまだそんなに時間は経っていない。


「……ねぇ。フェンリル?」


『なんだ?』


「ちょっとこのお城の中を探索してみない?」


『……ミジュ。お前は……』


 うそうそ!冗談だと言っても怪しい目つきで見られている。


 城を探索したいと言ったのは正直本当だったけど、もし途中で何かあったら怖いし。ライズに申し訳ないし。


 って事で大人しく部屋で待つことにした。


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