FOREVER DAZE
レビュー執筆日:2022/4/27
●序盤はしっかりと勢いのある楽曲を聴かせてくれるものの、それ以降がやや失速気味か。
【収録曲】
1.海馬
2.SHIWAKUCHA Feat. Awich
3.匿名希望
4.TWILIGHT
5.桃源郷
6.夏のせい
7.MAKAFUKA
8.Tokyo Feat. iri
9.うたかた歌 Feat. 菅田将暉
10.犬じゃらし
11.グランドエスケープ
12.かたわれ
13.鋼の羽根
14.SUMMER DAZE 2021
約3年ぶりとなるRADWIMPSのオリジナルアルバム。彼らに対しては、「一作のアルバムの中でも様々な作風の楽曲が存在し、それゆえに『こういう作品だ』と一言で説明するのは難しい」(『2+0+2+1+3+1+1= 10 years 10 songs』は除くとして)というイメージがあるのですが、今作に関しては、様々なジャンルを取り入れながらも「打ち込みやストリングス等の柔らかい音色を大きなスケールでもって強調させた雰囲気」で分かりやすく統一されているように思えました。
また、『人間開花』や『ANTI ANTI GENERATION』と比べるとメロディのインパクトが増したように感じられます。特にそれが活かされているように思えたのが冒頭の5曲。オリエンタルな雰囲気が漂う『海馬』にラッパー・Awichをゲストボーカルに迎えた『SHIWAKUCHA』、前作の『PAPARAZZI』の延長線上にありながら空回り感が上手く解消された印象のある『匿名希望』にノリの良いEDMチューンの『TWILIGHT』、そして、『前前前世』を彷彿とさせる疾走感のあるロックサウンドを聴かせながらも間奏でこれまたEDM調になる『桃源郷』と強度のある楽曲を次々と繰り出していく構成からは良い意味での「勢い」を強く受け取ることができました。
そして、それ以降はテンポを落とした楽曲がメインとなりサウンドのスケール感はさらに増していくのですが、そういった曲が続くと間延びしたように感じられるところもあり、「勢い」が落ち着いていってしまった印象がありました。ただ、一曲一曲を単独で見るとそこまで悪くはなく、そういう意味では今作は「曲自体の出来」というよりも「全体的なバランスの悪さ」がやや足を引っ張っているように感じられます。
個人的には、数曲削って、序盤の5曲→『うたかた歌』→『Tokyo』→『グランドエスケープ』→『MAKAFUKA』→『SUMMER DAZE 2021』という構成にし、全10曲くらいにまとめた方が良かったように思えます。まあ、プレイリストを作って勝手に構成し直せば良いのかもしれませんが、今作が「全14曲・約70分の長尺のアルバム」という形式でリリースされた以上、評価は星4つとさせていただきます。
評価:★★★★