2+0+2+1+3+1+1= 10 years 10 songs
レビュー執筆日:2021/8/5
●こういう作品を出そうという姿勢自体は非常に素晴らしいと思うが、一枚のアルバムとしてはそこまで高く評価できない。
【収録曲】
1.白日 -10 years ver.-
2.ブリキ
3.カイコ
4.あいとわ
5.春灯
6.空窓
7.夜の淵
8.世界の果て
9.かくれんぼ
10.あいたい
2012年からほぼ毎年、東日本大震災が起こった3月11日にRADWIMPSが発表してきた楽曲をまとめたアルバム。あの大災害を受けて多くのアーティストが様々な楽曲を発表してきましたが、こうやってアルバムとしてまとめられるほど数多くの楽曲を制作したアーティストはそうそういないのではないでしょうか。
ただ、「数」は多くてもバリエーションはそこまで広くはありません。歌詞に関しては自身の無力さを綴る悲しげな雰囲気で完全に統一されていますし、アレンジに関しても、バンドサウンドで再録された『白日』やある種の壮大さをストリングスで表現した『あいたい』のような曲もあるものの、全体的にあえて盛り上がりを抑えたようなものが目立ち、アルバムとして聴くには非常に「地味」に感じられました(元々アルバムとしてまとめるつもりはなかったのかもしれませんが)。もっとも、テーマがテーマだけあって「一日くらいはあったかな この世の誰一人泣かなかった日は」(カイコ)や「原発が吹き飛ぼうとも 少年が自爆しようとも」(あいとわ)のように印象的な歌詞もあるのですが、そういったものもアルバム全体に漂う「地味」な雰囲気に塗り潰されてしまっているように感じられ、そういう意味では非常にもったいなく思えました。
あの大災害からすでに10年という短いとは言い切れない時が過ぎており、そういうタイミングでこういった作品を出そうとする姿勢自体は非常に素晴らしいと思いますが、一枚のアルバムとしてはそこまで高く評価できないというのが私の率直な感想となります。元々彼らは曲調の幅が広いバンドなので、例えば攻撃的なラップ等で「怒り」を表現したような曲があっても良かったと思うのですが。
評価:★★★